UNIVERSOUNDS
Photo: Keisuke Tanigawa
Photo: Keisuke Tanigawa

体感フィジカルメディアガイド

レコード・紙など、五感で浸る宝物を探す

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スマホ一台で、どんな音楽も言葉も手に入る。そんな便利な時代だからこそ、「手触り」の魅力に浸りたい。

レコードの溝に針が落ちる瞬間の高揚感や、丁寧に刷られた紙の端正な佇まい。そこには、画面を眺めるだけでは決して味わえない、温度と重みがある。アジアを支える製造工場の熱気から、1400年続く伝統の工房、誰にも届かない手紙が流れ着く場所まで。単なる情報の器ではなく、五感を揺さぶる体験そのものを探してほしい。

本記事では、レコードと紙という「形あるメディア」の深淵に触れられる場所を紹介する。効率やスピードを手放して、指先に伝わる質感に身を委ねよう。

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レコード天国

日本はレコードの聖地といわれている。一時はアジア唯一だった製造工場が現役稼働しており、シーンを支えるマニアたちは、中古盤の価値をよく知り、決して損なわせず流通させている。

音楽と空間に真摯に向き合えるレコードバーがいくつもあり、良質なひと時が手軽に楽しめる。工業製品ながら、人の手が加わることで出来上がる魅惑の円盤は、音という目に見えないものが形になって現れる奇跡だ。

ここでは、作る・ディグる・聴くという角度から日本のレコードカルチャーを紹介する。

  • Osaka

INC & SONS

2016年に創業したレコードバー「INC & SONS(インク&サンズ)」。店内はカウンター席とソファ席を合わせて約50席と、広々としている。

1950〜60年代の音楽をALTECのビンテージスピーカー・A7を通して聴けば、まさにその当時の音が楽しめる。流れるのはジャズを中心に、季節によってはレゲエなど幅広い。音量は、会話を邪魔しないよう絶妙に調整されている。

スマートフォンはいったん置いて、シグネチャーカクテルの「和牛 オールドファッション」を片手に、オイスターをつまみながらリラックスしよう。この空間でじっくりと音楽に耳を傾けているうちに、プレイヤーたちが吹き込んだ音がそのまま聴こえてくるはずだ。

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  • 音楽
  • 川崎

東洋化成 末広工場

2000年代後半には「アジア唯一のレコード製造工場」となった「東洋化成 末広工場」。社内から事業撤退の声が上がったこともあるが、創業者の信念で維持。その後訪れたレコードブームにより、技術継承が果たされた。

東洋化成で作られるレコードの品質の高さは、徹底した確認作業から生まれる。アジア圏からの注文が多く、特に東南アジアでは「メイドインジャパン」ブランドが評価されている。また、細かい注文に対応できるのは、盤の製造からジャケットの印刷までオールインワンで行える、世界的にも珍しい工場だからだという。

工場見学ができるマーケットイベントも不定期で開催している。

  • 音楽
  • 高円寺

UNIVERSOUNDS

主にジャズを扱い、特にスピリチュアルジャズやフリージャズなどに注力している中古レコード店「UNIVERSOUNDS(ユニバーサウンズ)」。棚は主要なレーベルやアルファベット順で整理されており、中には「日本企画」「日本人ジャズ」のコーナーも設置されている。

店主の尾川雄介は、『インディペンデント・ブラック・ジャズ・オブ・アメリカ』『和ジャズ・ディスク・ガイド Japanese Jazz 1950s-1980s』などのディスクガイドの執筆や、希少なレコードの再発シリーズの監修でも知られる人物だ。

「日本のコレクターはレコードの扱いが丁寧だからか、海外より状態のいい中古盤が多い印象です。また、国内プレスのレコード、特にジャズに関してはこんなものまで日本盤で出ていたのかという発見があります」と尾川は語る。広大なジャズの宇宙の入り口である同店で、より深く潜る同志たちと、お気に入りの1枚を探す喜びに浸ろう。

紙天国

紙は、読み書きや暮らしなど日本の文化に深く根付いており、ペーパーレス化がどれほど進んでも、その魅力に引き付けられる人は多い。

ここでは、1400年以上の歴史を誇る日本の唐紙を用いた手紙、世界のZINEシーンにおいて不可欠な存在である印刷機「リソグラフ」、それを使ったユニークな雑誌、さらに地域に根差し、その土地のディープな情報を発信する書店などを紹介する。

  • Things to do
  • 原宿

COPY CORNER

日本が誇る印刷機「リソグラフ」(理想科学工業)の印刷体験が手軽にできるスペース。原宿の「ハラカド」3階のわずか18平方メートルのスペースに、レーベル、ファクトリー、ショップの機能を備えている。

リソグラフが生み出すアナログ感のある仕上がりは海外では「RISOART」と呼ばれ、アートやZINEシーンで注目を集めている。ここでは、そんなリソグラフの印刷体験ワークショップを定期的に行っている。

なかでもスマートフォンなどで撮影した写真をリソグラフを通じて印刷できる「HARD COPYCLUB」がおすすめ。色のズレやインクの風合いが新しい表情をもたらしてくれる。きっと特別な1枚になるだろう。

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  • Things to do
  • 横浜

NEUTRAL COLORS

トラベルカルチャー誌『TRANSIT』元編集長・加藤直徳らが手がける出版社であり、雑誌名でもある。出版社が出版だけでなく、印刷、製本、流通までを一貫して行う、新しい形のインディペンデント雑誌。

印刷はオフセットとリソグラフを融合させており、紙の雑誌でしか体感できない驚きが詰まっている。

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  • Things to do
  • Kagawa

漂流郵便局

瀬戸内海にある粟島には毎週土曜日、13時から16時の3時間だけ開局する不思議な郵便局がある。そこは届け先の分からないはがきを受け付ける場所だ。

はがきはその場で書いて投函できるほか、流れ着いた他の人のはがきを読むこともできる。行き場のない思いを胸に世界中から多くの人が訪れている。

  • ショッピング
  • Kyoto

かみ添

奈良時代に中国の唐から伝わった、美しい文様の伝統工芸品「唐紙」の工房兼ショップ。文様には、人の手で写されたものならではの風合いがある。

便箋やメッセージカードを購入し、大切な人へ旅先から手紙を出してみるのもいいだろう。

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