神田須田町、ご近所ガイド

世界大戦を生き延びた、歴史あふれる街を巡る
けむり
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福尾商店
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小山弓具
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ぼたん
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作成者: Time Out Tokyo Editors |
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テキスト:間庭典子

アニメと電気製品の街・秋葉原から川を渡ると、江戸情緒あふれる神田須田町が広がる。第二次世界大戦の戦火を奇跡的に逃れた木造入母屋造りの老舗が並び、まるで時代劇の世界に入り込んだような感覚になれる地域だ。創業からの味を守る料理店や、職人の手わざが光る専門店が多く、都内の中でも異色を放つ。歴史あふれる神田須田町を紹介する。

レトロな空間で腹を満たす

レストラン

老舗で時代劇主人公を気取る。

icon-location-pin 淡路町

いせ源 本館

創業は、江戸時代末期の1830(天保元)年。大正時代に、現在のアンコウ専門店のスタイルになったそうだ。関東大震災で店舗が全焼したものの、1930(昭和5)年に再建。第二次世界大戦の戦火を逃れ、現在も当時の風情を残している。2階の大広間は、時代劇のセットそのもので、圧巻の渋さだ。

アンコウは、主に津軽海峡沖で生きたまま水揚げされた活きアンコウを厳選。ぷりぷりの身を味わえる。8,500円〜のコースでは、アンコウ鍋以外にも肝刺しや唐揚げ、煮こごりなどを堪能できる。4〜10月はランチ営業もしている。

レストラン, 日本料理

親子丼にもん絶する。

icon-location-pin 淡路町

ぼたん

第2次世界大戦の戦火を奇跡的に逃れた老舗とりすき焼き専門店で、店舗は都歴史的建造物に選ばれている。メニューは、創業した1897(明治30)年以来、備長炭で煮込んだとりすき焼きのみ。お膳のように小さなテーブルを囲むスタイルで、着物姿の仲居が、鶏肉や豆腐、白滝などをやや浅めの鉄鍋に手際よく入れ、調理くれる。ほろほろと口の中でほどけるようなつくねも絶品だ。煮込むにしたがい出汁が染み出す割り下で作る親子丼は究極のシメになるだろう。

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レストラン

夜はしっぽり過ごす。

icon-location-pin 淡路町

けむり

燻製バーのけむりは、昭和の初めまで連雀町と呼ばれた地域にある。ぼたんや、いせ源などの老舗料亭、二つ目専門のこじんまりとした寄席の連雀亭などがある、粋な街並みだ。木造3階建てのけむりは、昭和30年代に建てられ、比較的新しい。昭和レトロな内装が心地よく、夕暮れ時は格子窓による陰翳が美しい。食事前の一杯に、または店が早めに閉まる神田須田町でのディナーの2軒目として立ち寄る人も多いという。燻製の盛り合わせ(1人前1,100円)は、カモやベーコンなどのほかに、餅などユニークな燻製も味わえる。

レストラン

小粋にすする。

icon-location-pin 淡路町

神田まつや

江戸からの製法を貫いた手打ちの蕎麦が自慢で、文豪・池波正太郎が下駄ばきで通っていたと言われる。「挽(ひ)きぐるみ」と言われる、石臼で引いたそば粉のみを使用した製法で提供する蕎麦屋だ。特徴は、打ちたて、茹でたてならではの爽やかな香りと甘み。職人の手わざが生み出すなめらかなのどごしを味わってほしい。つゆは、下町らしい出汁のしっかりした辛めの江戸前で、これがシメの蕎麦湯によく合う。

老舗の風格がありながら、もりそば、かけそばをいずれも650円で堪能できる。行列が絶えない人気店で、15〜17時が比較的狙い目だ。

 

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レストラン

地元民と利き酒に挑む。

icon-location-pin 岩本町

アキバの酒場

立ち飲みスタンドのアキバの酒場を訪れれば、日本酒の豊富さと良心的な価格設定に驚くはずだ。17時の開店直後から日本酒好きが集まり、店内はあっという間に大賑わいになる。利き酒師の店主が全国の蔵から厳選した希少酒が1合500円、半合弱300円の破格で提供されており、飲み比べができる。燗(かん)はセルフなのもユニークだ。築地直送の新鮮な魚を使った料理も充実。特に平日限定の桝盛(480円)は、1合升(ます)にマグロやブリなどの刺身がざくざく盛られており、美しい。生のアジを揚げた骨せんべい付きの生アジフライ(380円)も試してほしい。

ユニークな一品を探す

ショッピング

鉄道マニアの聖地をのぞく。

icon-location-pin 神田

カワイモデル

昭和レトロなビルに店を構えるのは、鉄道模型のカワイモデル。1928年創業で、現存する日本最古の鉄道模型メーカーだ。当時、博物館での展示など、教育教材的な側面が強かった鉄道模型を、趣味の分野に普及させた。オリジナルの模型も数多くリリースし、鉄道マニアのカリスマ的存在であり続けている。Nゲージの鉄道模型の大きさが実際の車両の1/150、線路幅が9ミリなのに対し、カワイモデルで主に販売するHOゲージは縮尺1/80、線路幅は16.5ミリ。リアルで迫力のある世界観に驚くだろう。店内には、模型以外にジオラマ制作に必要な部品や塗料などもある。

スポーツ

武士に心を馳せる。

icon-location-pin 淡路町

小山弓具

都内でも珍しい弓道具専門店。江戸時代から、弓馬術礼法小笠原流宗家の弓具製作に携わってきた御用弓師で、その技術を今も代々受け継いでいる。店内には弓と矢がずらりと並び、入り口には試射用の的も。店内を見上げると本物の甲冑がディスプレイされており、弓道が武士の武術であり作法であることに改めて気づかされる。現代の弓道もまた、的の的中率だけでなく、所作の美しさも問われる競技。古来からの製法を守りつつ、矢にカーボン素材も取り入れるなど、時代に合わせて技術を向上させ、現代の侍たちをサポートしている。

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ショッピング

重機で童心に帰る。

icon-location-pin 秋葉原

ケンクラフト

重機マニアは一度はケンクラフト(Ken Kraft)を訪ねておくべきだろう。店内には、クレーン車やブルドーザーなどの模型がずらりと並んでいる。重機モデル専門店は世界でも珍しい。精巧なミニチュアモデルは、CAT(キャタピラー)、LIEBEHERR(リーブヘル)、KOMATSU(コマツ)など、実在の重機メーカーにより製作されたもの。元は、実際のサイズや機能を伝えるためのプロモーション目的の模型だったが、マニアに注目され、業者向けの非売品モデルを販売するようになった。コレクターでもある同店の社長は、世界中の重機モデルを輸入しており、現在はオリジナル作品も制作販売する。眠っていた子供心を刺激するショールームだ。

ショッピング

オリジナル江戸小物を手に入れる。

icon-location-pin 淡路町

神田 ちょん子

懐かしさとモダンさを感じさせる江戸小物をそろえる店。アンティークのキセルや煙草ケースなどもあり、海外からの旅行者にも人気だ。店主自らが塗り、文字入れをしてくれるウルシのアクセサリーなど、ハンドメイドの小物も多い。注目は、店主の妻手製の模型。祭りの屋台や、いせ源、神田まつやなどの実在する神田須田町の老舗をそのまま再現した精巧な作品だ。神田の老舗の人気メニューを忠実に描いたピンバッチ(2,900円)にも感動するだろう。

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ショッピング

レトロモダンな高架下を巡る。

icon-location-pin 秋葉原

マーチエキュート神田万世橋

1912年の鉄道遺構をリノベトした神田万世橋の商業施設。神田駅とお茶の水駅の間にある。モダンなデザインショップやクラフトビールのバー、静岡県の塩辛専門店のバルなど、多種多彩な店舗が連なっている。期間限定ショップも多く、イベントスペース的な機能も備えており、訪れれば新しい何かに出会えるエリアと言えよう。

1943年まで営業していた旧万世橋駅の駅舎が活用されており、施設内の各所にその痕跡を感じることができる。再開発の波に飲み込まれることなく保存されてきた空間で、ランドマーク的なフォトジェニックスポットだ。

疲れたら一息つく

ショッピング

あんみつはできたてにする。

icon-location-pin 神田

福尾商店

福尾商店は、1886年の創業当時からの製法を受け継ぐ寒天専門店。伊豆や伊豆諸島など産地の異なる最高級の天草数種類を合わせた寒天はこしがあり、風味が豊か。奥の製造所で作られたばかりのところてんや、くず餅、梅寒天を店頭でも販売している。人気は黒蜜や赤えんどう豆、こしあんなどが全て自家製のあんみつ。添加物を一切加えていない、素材そのもの味に感動することだろう。1人前のカップ入り(380円)もあるので、散歩途中に公園などで味わうのもいい。3人前のあんみつは750円、6人前は1,400円で土産用に買い求める人も多い。

レストラン, ティールーム

歴史的空間で甘味をたしなむ。

icon-location-pin 淡路町

竹むら

1930(昭和5)年創業の甘味処・竹むらは、入母屋造り、木造3階建てで、都歴史的建造物にも選ばれている。近隣には、いせ源本館、ぼたんなどの老舗が並び、昭和初期にタイムスリップした気分になれるだろう。小説「鬼平犯科帳」で知られる池波正太郎も贔屓(ひいき)にしていた名店だが、最近ではアニメ「ラブライブ」主人公の実家のモデルにもなっており、多くのファンが聖地巡礼に訪れる。

名物は、さくさくの揚げまんじゅう。あんみつやかき氷などの定番メニューもある。座敷席も用意されており、歴史的な空間で寛いで過ごせる貴重なスポットだ。

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ショッピング

由緒正しさを味わう。

icon-location-pin 淡路町

庄之助 神田須田町店

庄之助は、神田の老舗和菓子司。大相撲の名行司であった22代木村庄之助の子孫が1949年に創業したことから、『軍配最中』や『軍配型くづ湯』などが名物として知られている。

神田須田町にある本店は、1坪ほどの小さな店舗ながら、季節の上生菓子やごま大福など品数が豊富で、常連客でにぎわっている。特に『極上お赤飯、萬祝』は、午前中に売り切れるほどの人気だ。日本相撲協会も御用達の赤飯で、婚礼や出産など祝いごとのたびに皇室に献上しているという。基本的に予約制のため、店頭に並んでいたら幸運に感謝しよう。

夜は食い歩く...

Things to do

夜の門前仲町ガイド

夜の門前仲町は面白い。江戸時代からの情緒が残るこの下町は、富岡八幡宮や深川不動尊など寺社があることから、昼間は家族連れや観光客で賑わっている。一方、夜になれば、小道に並ぶ無数の居酒屋やバー、小料理屋に明かりが灯り、昼とは違う顔を見せる。良心的な価格で旨い酒や料理が味わえる店が多いことが特徴的で、酒やグルメ好きが集っている。特集では、夕方からのはしごに最適なスポットを紹介する。

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