もう一つの東京五輪、国立代々木競技場が重要文化財に指定

重文指定中最も新しい完成年、設計は丹下健三

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文化審議会(会長は佐藤信)は2021年5月21日、1964年の東京五輪を機に建設され、東京都渋谷区にある国立代々木競技場を重要文化財に指定するように文部科学相に答申した。答申の対象は同競技場本館(第1体育館)、別館(第2体育館)で、重要文化財としては最も新しい完成年の建築となる。

文化庁の報道発表によると、「屋根および観客席を支えるダイナミックな外観と、中央が伸び上がる壮大な内部空間を創出する。意匠的にも技術的にも秀でた戦後建築を代表する作品の一つ」として評価された。ほかにも御前崎(おまえさき)灯台など7件が指定される。

代々木競技場は戦後日本を代表する建築家の一人、丹下健三の設計で、「吊り屋根式」の体育館だ。2本の主柱を全長280メートルの2本のワイヤーロープが結び、そこから競技場の屋根が吊り下げられている。同競技場の公式ウェブサイトによると、この工法は当時まだ前例の少なかったにもかかわらず、1963年2月1日〜1964年8月31日という短期間で完成したというから驚きだ。

1964年の五輪では、第1体育館は水泳、第2体育館はバスケットボールの会場として使用された。2021年の東京2020オリンピック・パラリンピックでも、第1体育館がハンドボールなどの会場としての使用を予定している。こうした予定や東京2020オリンピック・パラリンピック開催の是非を巡る議論が高まる中、今回の指定は意味深な想像をかきたてるものだ。

なお、同競技場は、指定された施設を含めて東京五輪に備えて現在営業を休止しているが、岡本太郎の陶板壁画や丹下の依頼で制作された篠田桃紅の作品など多くの美術作品も点在している。営業再開された際には、雄大な建築とともに楽しんでみるのもいいだろう。

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