世界遺産
Photograph: Shutterstock

ユネスコ世界遺産に42件が新規登録

文化遺産と自然遺産が追加され合計1199件に

Liv Kelly
テキスト:
Liv Kelly
翻訳:
Minami Imai
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今日、世界では、保護が必要な遺産の数が増加の一途をたどっている。気候変動や、ウクライナの場合のように戦争などによって、多くの価値ある場所が存続の危機に直面しているのだ。

2023年9月25日、「第45回ユネスコ世界遺産委員会」が閉幕した。今回の委員会では、文化遺産33件と自然遺産9件の合計42件が新たに世界遺産として登録されることが決定。それにより、世界遺産は合計1199件となり、保有国は168カ国となった。

今回選ばれた世界遺産の一例は、「伽耶古墳群(Gaya Tumuli)」(韓国)だ。1〜6世紀に朝鮮半島南部に存在した小国家群の存在を知る上で、重要な考古学的遺産である。ほかにも、デンマークの「バイキング時代の円形要塞(ようさい)群(Viking Age Ring Fortresses)」や、カナダの「アンティコスティ(Anticosti)」なども新たに登録された。アンティコスティは、地球上で最も早い時期に起きた大量絶滅を示すもので、保存状態の良さが際立っている。

また、3件の「負の遺産」が登録されたことも注目に値する。そのうちの1件はルワンダの「ジェノサイド記憶の場:ニャマタ、ムランビ、ギソッチ、ビセセロ」で、アフリカの世界遺産登録数はおよそ100件となった。同様に、アルゼンチンの旧軍事独裁政権による暴虐の歴史を伝える「ESMA博物館」と関連施設、フランスとベルギーにまたがる第一次世界大戦の激戦地「西部戦線」も登録された。

世界遺産への登録は、大きな影響力を持つ出来事である。登録された場所は十分な保護を受けることができ、ユネスコからの技術的または経済的な援助を受けることも可能となる。

だが、世界遺産として有名になることで、逆に危うい状況を招くこともある。イタリアのベネチアを例に取ろう。ベネチアは、気候変動やオーバーツーリズムへの対応が不十分だとして、ユネスコから、世界遺産の価値が危ぶまれる「危機遺産」登録の勧告を受けている。現在のところ登録は免れているものの、イタリア政府は対応を迫られている状況だ。

新たに登録された42件のほかに、既に登録されていた以下の5件で登録範囲の変更が行われた。

・クタマク、バタマリバ人の土地(Koutammakou, the Land of the Batammariba)/トーゴ
・ギマイランス歴史地区とコウロス地区(Historic Centre of Guimarães and Couros Zone)/ポルトガル
・アンドレファナの乾燥林(Andrefana Dry Forests)/マダガスカル
・ハロン湾・カットバー群島(Ha Long Bay - Cat Ba Archipelago)/ベトナム
・ヒルカニアの森林群(Hyrcanian Forests)/アゼルバイジャン、イラン

リストの全体は、ユネスコの公式ウェブサイトで確認してほしい。

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