合作社
Photo: Yui

台湾人が手がけるレトロな小吃食堂「合作社」の2号店が高田馬場にオープン

現地式のユーモラスなスローガンやタイルなどのディープな内装に注目

編集:
Genya Aoki
寄稿:
Michikusa Okutani
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2023年2月10日、高田馬場に本格台湾料理店「合作社」の2号店がオープンした。合作社は新宿駅南口近くに2021年オープン。現地そのままのおいしい小吃(軽食)を手軽にありつけるとあって、日本在住の台湾人や台湾マニアが詰めかけ、行列必至の人気を誇る店である。台湾人店主の黃(ファン)が古き良き台湾の味にこだわり、一品ずつ丁寧に仕上げていく。

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Photo: Yui

その勢いに乗ってオープンしたのが高田馬場店だ。店舗は2階建ての一軒家で、座席数は20席。メニューは本店の新宿店に準ずる形で展開。ルーロー飯、まんじゅうの生地にぶ厚い豚肉を挟んだ特製台湾バーガー、台湾人絶讃の台湾風唐揚げジーパイ、卵巻きダンピン(意外なうまさのポテト入りが人気)といった、日本にも浸透してきた定番の看板商品などが味わえる。

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Photo: Yui

このほか、台湾風揚げソーセージや、名前はおどろおどしいがクセがなく独特のもちもち感が魅力の「豚の血ケーキ」、独特のサックリ感が楽しい台湾揚げ出し豆腐、優しく温かい口当たりが新鮮な温仙草ゼリーとバラエティーに富む。飲み物も、タピオカミルクティーはもちろんのこと、タロイモのスムージー、豆乳紅茶などがおすすめだ。

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Photo: Yui温仙草ゼリー
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Photo: Yui豚の血ケーキ

台湾好きなら、遊び心あふれる内装や小物にも目を向けてほしい。新宿店も現地の街角にそのままありそうなポップな内装と雰囲気が楽しいが、2号店はその経験を生かし、ディテールがより凝った仕様になっている。

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Photo: Yui

入り口脇の郵便箱と住所表記から始まり、1階の壁面を覆う白とひすい色のタイルと、カウンターのレトロ柄の曇りガラスは希少な台湾製を使用。壁に並ぶアクリル板の品書きも現地で書いてもらったものだという。こういったこだわりが、リアルな現地感をさりげなく生み出している。

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Photo: Yui

2階はグレー基調のシンプルな造りだが、台湾らしさは失われていない。1〜2階の照明に記されたスローガンの数々に注目してほしい。台湾語(標準語とは別に昔から使われている福建系の中国語)で書かれているあたりが何ともディープである。

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意訳すると、「合作社一級棒」は「合作社はナンバーワンの美味」、「好酒沈甕底」は「美酒は瓶の底に潜む(逸品は最後に現れる)」、「食飯皇帝大」は「食べている時は皇帝だ(食事の邪魔をするな)」といったユーモラスな内容。もともと合作社の店名は「学校の購買部」のこと。台湾人ならではの遊び心あふれるセンスが発揮され、店の隠し味となっている。

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ほかにも、セルフサービスで使われる水用グラスには「乎乾啦(カンパイ!)」なんて刻まれているし、昔の映画館の掲示板をまねたボードで、おすすめ商品を告知するといった具合。そういったセンスの根底に流れるのは、古き良き台湾への憧憬(しょうけい)、現代における「柑仔店(ガマディアム)」の復活である。

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柑仔店とは台湾におけるローカルなよろずや、雑貨店のこと。生活に不可欠なまき、米、油、塩、醤油、酢、茶を販売し、子ども向けの菓子なども扱う。日々、近隣の人々が訪れ、人情味あふれる昔ながらの社交場でもあった。しかし、時代の流れとともにコンビニエンスストアやスーパーに取って代わられ、「利便性と引き替えとなった味気ない雰囲気に息苦しさを感じていた」と黃。そうした中で「柑仔店の雰囲気を現代によみがえらせたい」と思い立って店を開いたという。

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Photo: Yui店主の傅(真ん中)とスタッフ

「高田馬場は新宿と違って、学生や地元民が多い場所。メニューなどにも今後少しずつそうした違いを反映させていきたい」と2号店の店主である傅(フー)は言う。近くには台湾サンドイッチの老舗「洪瑞珍」も偶然ながら3月末に実店舗を進出予定。春風とともに新たな台湾の息吹が、高田馬場に広がりそうだ。

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