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2025年4月の平日。ランチタイムのラストオーダーの直前でも、店は多くの人でにぎわっていた。天気が良かったこともあるが、誰も彼も楽しそうに見える。「ピッツェリア エ トラットリア ダ イーサ(Pizzeria e trattoria da ISA)」は、多くの食通が愛してやまないピッツェリアだ。小麦の香ばしい匂いに包まれながら、知り合いが「耳(外縁部)まで美味しい!」と興奮気味に語っていたことを思い出した。

オーナーシェフを務めるのは山本尚徳(やまもと・ひさのり)。イタリア料理店「ナプレ」でシェフを務めていた山本は、2002年から2006年に同店を一時休職し、イタリアへ。ナポリの名店「イル ピッツァイオーロ デル プレジデンテ」で、ナポリのピザ職人、故エルネスト・カチャッリに師事した。
帰国後、2007年に初出場した「世界ピッツア選手権」で「オリジナル部門」と「総合」で優勝し、2008年には同大会で2年連続の「オリジナル部門」で優勝し、「芸術部門」でも優勝を果たした。2009年には「マルゲリータ部門」で3位入賞している。

帰国後、2010年に中目黒に「ピッツェリア エ トラットリア ダ イーサ」をオープン。山本がナポリの人たちから呼ばれていた「ISA」と、イタリア語で「~の、~からの」という意味を持つ「da」を組み合わせて命名した同店は、瞬く間に行列の絶えない店となる。そして2024年11月、同じ中目黒駅エリアに移転オープンを果たした。店のアイコンとなっている子どものイラストは、山本の師匠の孫がモデルになっているそうだ。

新店舗は、都内有数の桜の名所である目黒川沿いに位置。愛犬を同伴できるテラス席もある。1、2人でいろいろな味を試したければ、ハーフ&ハーフにするという選択肢もある。

何を食べようかと迷っていたところ、「これが当店のいちばん人気です」とスタッフから「マルゲリータ コヤーブ(水牛とモッツァレラとアンチョビのピッツァ)」(2,805円、以下全て税込み)をすすめられた。ピッツァ好きで知られる、吉本新喜劇の小籔千豊が開発したことからその名が付けられたという。
2番目は「クァットロフォルマッジ(4種類のチーズ)」(3,025円)。次いで、定番の「マルゲリータ」(2,420円)が人気だ。

なお、移転後は「前菜の盛り合わせ」(1人前1,980円。2人前から)が新登場。これも、その時々のおいしい食材を使い、山本が中心となって作っている。メインにピッツァが控えているので、ビネガーなどを使い、酸味があるすっきりとした味わいに仕上げている。

ほどなくして運ばれてきたピッツァ生地は、もっちりとした食感で、小麦のうまみがたっぷり。噂に違わぬおいしさだった。
他の店では残されることも多い耳(外縁部)もここではご馳走。ざらりとドライに仕上がっているように見えるが、中はふっくら。高温の薪窯で一気に焼き上げているからだろうか。噛んでみるともちもちで、なるほど、「ダ イーサのピッツァは耳まで食べ尽くしたい」というものもよくわかる。ソースを付けなくても十分うまい。

営業時間中、窯の前から離れない山本に代わり、スタッフがその自慢の生地について、話を聞かせてくれた。「山本が試行錯誤してブレンドした粉で生地を、山本自身がこね、練り、寝かせたものを使っています。焼き上げるのも山本です」
ピッツァ窯は、移転前の店同様、山本の修業先のものを踏襲しているそうだ。スタッフはさらにこう続ける。「僕も都内のいろいろなピッツァを食べ歩きましたが、ここのピッツァがダントツにおいしかった。ある意味バケモノです(笑)。迷いなく、ここで働くことを決めました」

著名人や食通にも多くのファンを持ち、「イタリアで食べるよりもおいしい」と絶賛するイタリア人も少なくない。混雑必至だが、予約も受け付けている。唯一無二のピッツァ、ぜひ一度体感してみては。
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