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2025年4月29日(火・祝)、二子玉川の「玉川高島屋S・C」に新たなフードコート「ピー(P.)」がオープンする。元々は駐車場だった場所をリニューアルし、個性的なテナントと気鋭のディレクター陣のアイデアを詰め込んだ空間に変貌した。この開放的でアットホームな新たな食空間でしかできないことを紹介しよう。

個性的な「フレンズ」の虜になる。
玉川高島屋S・Cに面した通り「西館ストリート」を、地域に開かれた場所へと生まれ変わらせたい──そんな思いから、ピーの物語は始まった。
ディレクションを手がけたのは、CEKAIの安田昂弘とDDAA代表の元木大輔、そしてクリエーティブディレクターのマックス・ハウゼガ(Max Houtzager)。いずれも、今注目を集めるクリエーターたちだ。
ディレクターの一人で、池尻大橋の人気カフェレストラン「マッシーフ(Massif)」を手がけるマックスの呼びかけにより、同所には「ミニマッシーフ(Mini Massif)」、中目黒にあるモダンネパール料理「アディ(ADI)」の姉妹店である「アディカリー(ADICURRY)」、ハンバーガーとビールの「ミッケラーバーガー(Mikkeller Burger)」、ニューヨークスタイルのピザを提供する「ピザスライス(PIZZA SLICE)」の4店舗が出店。それぞれ、都内で人気を集める名店が一堂に楽しめる夢の空間になった。
同フードコートではこれらの出店テナントを、愛情を込めて「P.フレンズ」と呼ぶ。店舗同士が一丸となって、一つのコミュニティーのようにプロジェクトを進めてきたという。
ミニマッシーフ:モーニングはナチュラルワインでゆるりと過ごす

ミニマッシーフは、本店の魅力を凝縮し、「ミニ」にしたPのための店舗。朝9時からコーヒーやラテ、「クロワッサン」や「ブラウニー」など焼きたてのパティスリーやナチュラルワインを提供する。11時からのランチタイムには、本店でも人気の「トマトと生姜のスープ」や「カムヒョン混ぜ麺」、同店限定のラザニアなどをラインアップする。
アディカリー:絶品カレーと本場の付け合わせを味わう

アディカリーは、これまでアディのイベントメニューとして提供されるたび即完売していたカレーを手がけてきた敏腕シェフ、アディカリ・カンチャンが監修。同店では、その絶品カレーが毎日味わえる。チキンカレーや月替わりのカレーをはじめ、南インドのスープ「ラッサム」やトマトの漬物「トマトアチャール」など、シェフこだわりの付け合わせが楽しみだ。
さらに、ネパールのパン「ロティ」や「サモサ」などのサイドメニューも充実。彼が手がけるネパールティー専門店「チヤバ(Chiyaba)」のチャイに加え、ラッシー、ネパールビール、ラムチャイなど、南インドのドリンクも見逃せない。
ミッケラーバーガー:和牛バーガーをビールで流し込む

惜しまれつつ閉店した「ミッケラーカンダ(Mikkeller Kanda)」が移転し、新たにオープンしたミッケラーバーガー。名物の和牛を使用したスマッシュバーガーは、「チーズバーガー」「ベーコンチーズバーガー」「マッシュルームチーズバーガー」など5種類ある。パテの量をカスタムすることも可能。
フライドポテトとピクルスが付くセットをオーダーして、おなかいっぱい楽しむもよし、帰り道に「チョコチップクッキー」を持ち帰るのもよし。スタッフが「めちゃくちゃおいしい」と教えてくれた、野菜コロッケの「ベジバーガー」も試したい。

定番の「ミッケラービール」をはじめ、日本のゲストブルワリーによるビールなど、常に変化する10種類のタップビールを用意。さらに、缶やボトルのビールもバラエティー豊かに取り揃える。
ピザスライス:クリスピーなNYピザを頬張る

日本橋のフードコート「カミサリー(COMMISARY)」内にある「ピザスライス カミサリー(PIZZA SLICE COMMISSARY)」が人気を博しており、フードコートの新たな定番として期待大な「ピザスライス」。スライスピザは「チーズスライス」「ペパロニスライス」「マッシュルームスライス」といったニューヨークの定番フレーバーをはじめ、常時約8種類をラインアップしている。スタッフおすすめの「ニューヨーク マルゲリータ」は渋谷店と二子玉川だけの限定商品で、特別に焼き上げたクリスピーな生地が特徴。しゃりしゃりとした新鮮な歯応えが食べやすく、とろーりチーズとジューシーなトマトとマッチする。

クラムチャウダーやチキンナゲット、アイスクリームなどサイドメニューも必見。一度に9つ買っていく客もいるほど根強い人気のニューヨーク風のパン「ガーリックノット」は、土産にするのもいいだろう。
お気に入りの時間帯を見つける
間借り営業のスタイルをヒントに、あえてテナントごとに営業時間を統一しないことで、時間帯によって異なる雰囲気が楽しめるのも特徴だ。
朝9時にはミニマッシーフが営業を開始し、コーヒーとモーニングで一日がスタート。11時ごろからは、ほかのテナントもランチの準備で盛り上がり始め、夜にはミッケラーバーガーのバータイムへと移り変わっていく。何度か足を運んだら、お気に入りの時間帯が見つかりそうだ。

街に「はみ出して」いくフードコートで憩う
個性あふれるおいしい食事はもちろん、空間づくりにも目を見張るものがある。
空間設計を担当した元木が、「フードコートでありながら、街のコーヒースタンドのような存在をイメージした」と語るように、店舗がストリートに自然に溶け込み、人々が思わず立ち寄りたくなる仕掛けが随所にちりばめられている。
テラコッタ色の大きな「P」型カウンターは、曲線部分が街に飛び出すユニークな形状だ。カウンターに腰掛ければ、P.フレンズの一員としてリラックスした優しい気持ちを味わえるだろう。

通常、店舗設計では屋内面積を確保するため、壁を外側へと押し出す手法が取られる。しかしピーでは、あえて壁を後ろに下げ、外部空間を広げる構成を採用。空間が道へとにじみ出すような、開かれた造りとなっている。歩道を歩いていると、つい「ここはどんな店だろう?」と足を止めたくなるような存在感を生み出す。
さらにファサードの引き戸を開けば、どこからでも店内に出入りでき、ファサードの一部には大きく開け放てる回転式の窓が設けられている。また、店内の床には、外のストリートと同じ石畳を使用しており、ここでも内と外が曖昧に感じられる。

目に飛び込んでくるような、ビジュアルに使用されている印象的なオレンジ色は、かつて駐車場だった時代の柱の色を受け継いだもの。さらに店内には、当時外壁に使われていた大理石を再利用したテーブルも設置されており、過去の記憶をさりげなく残しながら、新たな空間として生まれ変わっている。
隅々にまでこだわりながらも、温かくリラックスした空気が流れる同店。フードコートにとどまらず、人と人、人と街がシームレスにつながる場所として、新たなカルチャーの発信地となりそうだ。
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