ロシアの人気ラッパーOxxxymironが反戦を積極アピール

イスタンブールやロンドンでウクライナ支援ライブを開催

Ed Cunningham
テキスト:
Ed Cunningham
翻訳:
Time Out Tokyo Editors
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今ロシア人が、プーチンのウクライナ戦争に抗議するのは、かなりの勇気が必要だといえる。政府の考え方への異論を厳しく取り締まるロシアでは、反戦デモで多くの人が逮捕されている。「二つの言葉」を訴えた人たちだけでなく、白紙のプラカードを掲げた人たちまで警官に引きずられていく様子の動画を見たことがあるだろう。

そうした状況の中、ロシアで最も影響力のあるミュージシャンの一人であるラッパーのOxxxymiron(オキシミロン)が立ち上がり、自分ができる活動を通して、ロシアの国内世論を戦争反対へ向かわせようとしている。

Oxxxymironの本名は、ミロン・ヤノビッチ・フョードロフ。1985年にサンクトペテルブルク(当時はレニングラード)生まれ、15歳で渡英。オックスフォード大学で学位を取得する一方、ラッパー、ソングライターとしてのキャリアを積む。ラップバトルで有名になり、世界で最も注目されるバトルラッパーの一人になった。 

有名人のアクティビズムというと時に少し空虚で、一般とは切り離されもの、あるいは少しばかばかしいものと感じることもある。しかし多くの人々にインパクトを与えることができるのも確かだ。大勢のファンがいる有名人の影響力はあなどれない。最近では、政治家やジャーナリストよりも、尊敬するセレブから影響を受ける人々も多いかもしれない。

Oxxxymironはまず、モスクワとサンクトペテルブルクで完売していた6回のコンサートをキャンセル。ウクライナ人にミサイルが落ちる中、ロシア人のために演奏することはできないと言い切った。そして今、彼はさらに一歩進んで、ウクライナを支援するためのチャリティーライブを開催している。

2022年3月15日には、イスタンブールでウクライナ難民のためのライブを開催し、YouTubeなどでのトリーミングも行った。曲の合間、彼は戦争(ロシアでは正式には「特別軍事作戦」と呼ばれる)を支持するロシア人に対し、自分の立場を考え直すようにアピール。ただ単に命じるように言うのではなく(結局のところ、誰も何をすべきか指示されるのを好まない)、戦争支持派のロシア人に「代替案を探る」よう求めた。

彼のように勇敢な行動をとり、プーチンへの反対を表明しているロシアの有名人はほかにもいる。例えばテニス選手のアンドレイ・ルブレフやアナスタシア・パブリュチェンコワ、ボリショイバレエ団のオルガ・スミルノワなど。ミュージシャンではKasta、Shy'm、Vladi、Khamil、Zmey、Noize MCなどだ。

これらの有名人の多くは海外に拠点を置いているため、逮捕や投獄の心配はない。それでもプーチン政権とウクライナへの侵略に反対を表明することは、彼らにとっては信じられないほど勇気のいることなのだ。

もしあなたがイギリスに住んでいて、Oxxxymironの戦争賛成派ロシア人の心を変えようとする試み(同時にウクライナ難民のための資金集め)をサポートしたいなら、彼がロンドンのO2 Shepherd's Bush Empireで開催する『Russians Against War』というチャリティーライブに注目してみるといいだろう。チケットはここから購入できる。

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