カレーとくつろぎ 旧ヤム邸 かまくら荘
Photo: Keisuke Tanigawa

旧ヤム邸が挑むカレーの魅力を引き出した新店とは

2021年、鎌倉店とスパイスたこ焼きコラボ店をオープン

編集:
Hayashi Hisato
テキスト:
Shintaro Kumihashi
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旧ヤム邸は、独創性に富んだ大阪のカレー界の中心的存在だ。2015年に東京進出(下北沢店)しているが、2020年にオープンした六本木店に続き、2021年7月21日にカレーとくつろぎ 旧ヤム邸 かまくら荘が開店。また8月30日には、日比谷にスパイスたこ焼き店タコムマサラダイナーとのコラボレーション店、旧ヤム邸×タコムマサラが出店を果たした。

カレーとくつろぎ 旧ヤム邸 かまくら荘
Photo: Keisuke Tanigawa

なぜこのタイミングで一方は鎌倉に、一方はたこ焼き店とコラボという形で立て続けに出店をしたのか。旧ヤム邸のルーツにも触れながら旧ヤム邸オーナーの植竹大介、かまくら荘店長の黒澤克浩、タコムマサラダイナーオーナーの藤田一也の3人に話を伺った。

鎌倉ならではのカレー作り 

旧ヤム邸のカレーの最大の特徴は独創性。日替わりや月替わりに象徴されるようにバリエーション豊かで、それを支えるのはシェフの腕と発想の柔軟さだ。さらにかまくら荘には、鎌倉野菜やシラスをはじめとした魚介類といった、豊富で鮮度の高い食材のメニューがある。かまくら荘では、店長である黒澤が毎朝地元の市場に足を運んで食材を買い付け、食材の良さが最大限に生きるように腕を振るう。

カレーとくつろぎ 旧ヤム邸 かまくら荘
Photo: Keisuke Tanigawa

メニューはそばちょこに入った月替わりのカレーと、近海で採れるアカモクのピクルスがベースになり、2種の日替わりカレーを好みで組み合わせて注文。トッピングとして釜揚げシラスの追加もできる。この日の月替わりは『季節野菜とココナッツのチキンカレー』で、そのほか『プルーンとナッツのエビだしマンゴー鶏キーマ』と『山椒香るハニーサグのスパイシー牛豚キーマ』の2種の日替わりカレーだった。

カレーとくつろぎ 旧ヤム邸 かまくら荘
旧ヤム邸 かまくら荘店長の黒澤(Photo: Keisuke Tanigawa)

それぞれのカレーの風味もさることながら、強く印象に残るのは野菜の滋味。「鎌倉の食材とカレーはこんなにも合うんだということを伝えたい」という黒澤の言葉通り、スパイスの豊潤(ほうじゅん)な香りに負けることなく食材のうま味をより引き出し、1口目から贅沢な気持ちで満たしてくれる。

その土地の良さが詰まったメニュー

旧ヤム邸の店づくりのコンセプトはその土地らしさを大事にすること。食材を生かして独創的なカレーを作る、旧ヤム邸のポテンシャルが最大限に発揮できる鎌倉は、関西育ちの植竹から見ると「神戸と京都のいいとこどり」のような印象があるという。

カレーとくつろぎ 旧ヤム邸 かまくら荘
旧ヤム邸オーナーの植竹(Photo: Keisuke Tanigawa)

自然と食材に恵まれ、ローカルでありながら都会的でもあるかまくら荘は、古民家を生かしたくつろぎの空間が特徴だ。頭の中にあるイメージを形にして、植竹や黒澤を中心に自分たちの手で可能な限りのリノベーションを行っている。

カレーとくつろぎ 旧ヤム邸 かまくら荘
Photo: Keisuke Tanigawa
カレーとくつろぎ 旧ヤム邸 かまくら荘
Photo: Keisuke Tanigawa

店内のアンティーク家具は「古いものに囲まれていると落ち着く」と植竹が自宅に置いていたものを持ち込んだそう。憧れの町で、とことん旧ヤム邸らしさを詰め込んでいる。現実から少し離れたような心地よい空間で、物理的にもスペースを広く使っているので、存分に心と体を和ませることができるだろう。

たこ焼き店とコラボした日比谷出店

鎌倉進出の一方で日比谷への出店にも注目したい。それも、たこ焼き店とのコラボレーションだ。ここだけを切り抜くととっぴな印象を受けるが、やりたいことを実現するための動きだという。

タコムマサラダイナーのオーナー藤田は、旧ヤム邸 シモキタ荘で店長を務めていた敏腕シェフ。おいしいたこ焼きを東京にも広めるべく、2019年の下北沢で1号店を開き、さらなる拡大を目指して旧ヤム邸とタッグを組んだ出店だ。

旧ヤム邸×タコムマサラ
Photo: Keisuke Tanigawa

場所は日比谷フォートタワー1階の、フードコートの一角。ビルの開館は平日のみ、かつ、ビジネス街のど真ん中ということもあり、日中のランチタイムは旧ヤム邸としてカレーを提供し、夕方から夜にかけてはタコムマサラとしてスパイスたこ焼きとアルコールなどのドリンクを提供するコラボレーション店のスタイルをとっている。

旧ヤム邸×タコムマサラ
Photo: Keisuke Tanigawa

ランチは3種の組み合わせを選ぶ月替わりカレー

カレーは3種を好きな組み合わせで注文するスタイル。3種全てが月替わりで、『ヤムカレー』(だしがきいたスープ)を混ぜながら食すと、カレーの奥深さを存分に感じさせてくれる。

夜の部のタコムマサラでは、もちろん迷わず『スパイスたこ焼き』を注文しよう。たこ焼きはやや大ぶりで、外はカリっと香ばしく中はふんわり。絶妙な食感の生地からじんわり広がるだしとスパイスの香りが漂う。

旧ヤム邸×タコムマサラ
Photo: Keisuke Tanigawa

藤田は、大阪在住時には「利きたこ焼き」ができるほど食べ歩き、タコムマサラのスタートのために幾度となく生地や焼き加減の試行錯誤を重ね、たこ焼きをいち料理として突き詰めてきた。

決してカレー味のたこ焼きではなく、スパイスはあくまでスパイス。イチヂクのソースやスパイス塩など「味変」も可能だが、プレーンでも十二分に食べ応えがあるたこ焼きだ。

旧ヤム邸×タコムマサラ
Photo: Keisuke Tanigawa
旧ヤム邸×タコムマサラ
Photo: Keisuke Tanigawa

メニューはもちろんほかにもある。食事もしっかりと楽しみたいなら『スパイスたこ飯』を。パラっとしたバスマティライスがスパイシーなソースをまとい、チャーハンともビリヤニとも異なる食感で、間違いなくここでしか食べられない逸品だろう。『牡蠣と揚げ茄子のアチャール』をはじめとしたサイドメニューもハイレベルで、これらをつまみにビールを傾けたい。

コロナ禍の真っただ中でオープンした2店は、スパイスカレーを軸にそれぞれ別の角度から、さらに進化していくはずだ。少しずつ行動の制限が解かれていく中、新しい発見を求めて足を運んでみてほしい。

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