現代アーティスト小金沢健人が佐野繁次郎のドローイングとコラボレーション
画像提供:神奈川県立近代美術館 鎌倉別館小金沢健人《ドローイング/シネマ(佐野繁次郎の素描に基づく変奏)》2023年 作家蔵

現代アーティスト小金沢健人が佐野繁次郎のドローイングとコラボレーション

2月23日〜5月6日「神奈川県立近代美術館 鎌倉別館」で

テキスト:
Sato Ryuichiro
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「ドローイング」という視点から2人の作家の作品を見つめる展覧会「小金沢健人×佐野繁次郎 ドローイング/シネマ」が、2024年2月23日(金・祝)から「神奈川県立近代美術館 鎌倉別館」で開催される。

出展するのは、絵画・映像・立体で国際的に活動する小金沢健人(1974年〜)と、独特の描き文字と線画による装幀(そうてい)・挿画が油彩画と並び多くのファンを持つ佐野繁次郎(1900〜1987年)だ。

渡仏経験のある佐野は、佐伯祐三やアンリ・マティス、ジョアン・ミロとも交流を重ねた画家。絵画のほかにも装幀や本の挿絵、商品パッケージなど、デザインの分野でも幅広く活動した。「暮しの手帖」の初代編集長として知られる花森安治も、佐野の下で広告の仕事に携わっていた時期があり、花森のデザインにも多大な影響が見られる。

デザイン感覚に優れた佐野の作品には、映画のワンシーンを思わせる洒脱(しゃだつ)なイメージが広がる。特にドローイングを見ていると、佐野が師事したマティスの線を彷彿させる、誰にでも引けるようで実は難しい線が印象的だ。

一方の小金沢も、これまでドローイングに焦点を当てた展示を開催してきた。また、ダンサーやミュージシャンなど、他領域のアーティストとのコラボレーションを数多く手がけており、佐野と同じように幅広い分野に関心を寄せている。

2人の作風は、とりわけ線描(ドローイング)の作品において、ニュアンスに富んだ描線と余白という点で共通している。

佐野作品をもとに新作インスタレーションを制作

本展では、小金沢が「線を引いて像(イメージ)を描き出す『ドローイング』は、カット/イラストレーションとどう異なるのか」「イメージの連なりがもたらす動きの感覚とは」といった疑問から出発して、同館所蔵の佐野の作品を、新作の映像の原画として自らセレクトした。佐野の作品と時代を超えてコラボレーションし、時間と空間、平面と立体へと展開する新作のインスタレーションを楽しみにしたい。

会場では、佐野のカット原画類をオリジナルの状態で多数展示。その多くが初公開となる。佐野が装幀を手がけた貴重な書籍も見ることができる。

さらに、佐野が描いたパリの町並みや人々などモダンな風景が、小金沢の解釈した作品とともに魅力的な展示空間を作り出す。「描く」という行為の根源に通じる線や動き、時間に着目しながら、2人の作品が見比べるのもいいかもしれない。

会期は5月6日(月)まで。初日の2月23日には同館館長の水沢勉と小金沢による無料のアーティストトークも開催予定だ。ぜひ足を運んでみては。

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