にじ画廊
Photo: Keisuke Tanigawa

吉祥寺の老舗ギャラリー&ショップ「にじ画廊」がリニューアルオープン

祝20周年、さらに作家に寄り添って1階にシームレスなギャラリーを増設

テキスト:
Tomomi Nakamura
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吉祥寺の昭和通り沿いにたたずむギャラリーショップにじ画廊」が2023年2月16日、リニューアルオープンした。 同店はイラストレーションやアート作品の展示を中心に、表現のジャンルにとらわれない開かれたコミュニティースペースとして2003年の7月にスタートし、今年で20周年を迎える。

にじ画廊
Photo: Keisuke Tanigawa

ガラス張りの入り口に雑貨が並んでいることから、近所を散歩する人や外国人観光客など、アートに関心がある層以外も気軽に足を運べる場として親しまれてきた。学生から子連れの親子まで、幅広い層に支持されるなんとも珍しい画廊である。

にじ画廊
Photo: Keisuke Tanigawa

もともと1階には作家が手がけたグッズを扱うギャラリーショップと壁1枚分の展示スペース、2階にはグループ展などにマッチしたギャラリーを展開していたが、「壁一面だと世界観が表現しにくく2階だと広すぎる」という声が多かったことから、今回のリニューアルでさらに作家が使いやすい空間に改装された。アーチ状に空いた壁で1階のスペースを仕切り、ショップの半分をギャラリーに変更。展示空間と売り場がシームレスにつながった空間を設けた。

にじ画廊
Photo: Keisuke Tanigawa

新設されたオールホワイトのスペースは、クリーンなイメージでどんな作品も馴染みやすい空間といえるだろう。個人の作家のミニ個展や雑貨などの展示にもぴったりの広さである。

にじ画廊
Photo: Keisuke Tanigawa

複数名での展示に活用しやすい2階は、広々とした空間が印象的だ。1階同様に、ブラウンをベースにしたレトロなテイストの空間から明るいベージュの床と白い壁を基調とした場に変更し、作品の個性がより光るスペースとなった。

にじ画廊
Photo: Keisuke Tanigawa

リニューアル後第1弾の個展として28日(火)まで、1・2階ともに天使や幻獣に彩られた異世界を描く画家、網代幸介の個展「樹海」が開催中だ。

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Photo: Keisuke Tanigawa大絵画「Enma」は、網代が「日光東照宮」での原体験をもとに仏教的なモチーフを織り交ぜた、オリエンタルなテイストが感じられる作品だ
にじ画廊
Photo: Keisuke Tanigawa宮田珠己による冒険小説「アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険」の挿絵を網代が担当した際、本に収めた3メートルもの絵巻の原画

絵画を鑑賞した後は、ここでしか購入できない作家の雑貨を物色するのもおすすめ。合成樹脂を素材に制作するROPSが手がける一点もののボタンやアクセサリー、国内のみならず海外での評価も高い漫画家・美術家の横山一が制作した「ネオ漫画」など、独特のセレクトが魅力的な商品の中から自分だけのお気に入りを見つけてみよう。

にじ画廊
Photo: Keisuke Tanigawa
にじ画廊
Photo: Keisuke Tanigawa

現在の「にじ画廊」の店長である平田綾美は、3代目。店長の交代とともにサブカルチャー、ナチュラルとギャラリーのテイストも多様に変化を遂げてきた。芸術畑出身ではないオーナーやスタッフが運営に携わっているからこそ、いい意味でギャラリー独得のハードルの高さが払拭され、多様性のある心地いい空間を作ってこれたのではないだろうか。

にじ画廊
Photo: Keisuke Tanigawa

これからはイラストや絵画のほかインスタレーション、陶芸なども取り入れた年数回の企画展とギャラリーレンタルを展開し、「時世に合わせて柔軟に変化し、長く愛される画廊を目指していきたい」と語る。

続々と新店の増える吉祥寺だが、雑貨や絵画などを扱う小さな個店は減少傾向にあるそうだ。リニューアルを経て、さらに作家や街に寄り添った画廊にシフトした展開に、今後も期待したい。

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