ロンドン、オックスフォード・ストリートのアールデコ建築が取り壊し

1920年代に建設されたMarks & Spencerの本店

Alice Saville
テキスト:
Alice Saville
翻訳:
Time Out Tokyo Editors
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かつて繁栄を極めた小売業の楽園、ロンドンのオックスフォード・ストリート。この場所では、今、恐ろしい呪いが降りかかってしまったのではないかと思うようなことが起きている。

百貨店のDebenhamsとHouse of Fraserは永久に閉店。「ビッグ」トップショップはIKEAに取って代わられ、元HMV旗艦店はアメリカ菓子を売る店になってしまった。

そしてついにMarks & Spencer(M&S)にまで、変化の時が訪れた。同社は、本店を取り壊して、買い物のための空間が少ない代わりにオフィス部分が多い、特徴のない新店舗を建設するという。

そのことを、ロンドンの人々はそれを快く思っていない。取り壊される建物は、ロンドンにあるアールデコ建築の中でもかなり美しいものだからだ。「Orchard House」と呼ばれるM&Sの本店ビルは、Trehearne & Normanが設計し、1929〜30年に建設。6階建てのハンサムな建物で、石造りの優雅なクラシックなファサードを誇る。

残念なことに、新しいビルには、その魅力がまったく引き継がれない。オフィスとフィットネスクラブを含む、10階建てのつまらない場所になる予定なのだ。しかも、完成は2027年。その長い間、醜く、迷惑な建築工事であり続けるわけだ。

我々の知っているオックスフォード・ストリートがその一部をまた失う。人々はそのことについて、Twitterで悲しみと怒りを表明している。

 「マジでMarks & Spencerは何を考えているんだ? 素晴らしい古い建物なのに、あなたたちは、新しくてピカピカなものを求めている。 この建物を取り壊して立て替えが終わる頃には、誰も店なんかで買い物をしなくなるんだよ。なんて愚かな人たちなんだ(Cheryl Brown Garrard @CBGBTX)

「M&Sの店舗は取り壊しが進むようだ。いつになったら教訓を生かせるのか? 再利用と適応が進むべき道だ(Heritage Declares @Heritagedecl)」

M&Sの経営陣は、新しいビルはカーボンポジティブ、つまり二酸化炭素を発生するのではなく、環境から取り除く施設になると主張している。エネルギー効率の面では良くなるのかもしれない。しかし環境保護団体や遺産保護団体からは、Orchard Houseを解体して新しいビルを建設する際に発生する膨大な二酸化炭素のために、これらの利点が大きく影を潜めてしまうという指摘が相次いでいる。

オックスフォード・ストリートの未来はどうなるのだろうか? 壁一面真っ白の近代的なオフィス街と、奇妙なアメリカ菓子屋だけが並ぶ場所になるのだろうか。このロンドンで最も愛されている観光地の危機を脱する余地がまだあることを期待したい。しかし今のところは、事態は少しばかり暗いようである。

原文はこちら

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