Barbie
Photograph: Warner Bros.

映画「バービー」が好きなら見ておきたい映画10選

監督のグレタ・ガーウィグが影響を受けた作品を紹介

Phil de Semlyen
テキスト:
Phil de Semlyen
翻訳:
Time Out Tokyo Editors
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映画「バービー」が公開されようとする中、すでに世界がこれまでとは違う、よりピンクな場所に感じられるようになった。グレタ・ガーウィグが監督と脚本を務めた単純明快なコメディーは、レトロだが先進的、そして驚くほど話題性のある映画という、まれなもの。時代の潮流において、この地位はふさわしいものだといえる。

ガーウィグは、もちろん大の映画好き。マーゴット・ロビーが(現在は削除されている)Letterboxdのアカウントで明らかにしたように、バービーというピンクをまとったキャラクターのビジョンの形成に当たり、多くの映画から影響を受けている。彼女はまた、撮影中にキャストたちのために「日曜上映会」を企画し、作品の精神をしっかりと把握させたという。

つまり、映画フリークのガーウィグがバービーにもたらした過去の名作との接点は驚きと感動に満ちたものであり、細心の注意を払う価値があるものだということなのだ。ファンタスティックで幻想的な映画ワールドへの旅の第一歩にしよう。ここでは、公開前に見るべき作品を紹介する。

1. スプラッシュ(1984年)

Splash
Photograph: Walt Disney Studios

1980年代に製作された愛すべき「ロマコメ」作品。元祖「マーメイドバービー」といえるダリル・ハンナ演じる海の住人が陸に上がり、ニューヨークの喜び(主にトム・ハンクス)を知り、同化と発見の旅に出る。

この「スプラッシュ」自体が、「リトル・マーメイド」に敬意を表している。ということは、バービーとアリエルはいとこ同士?

2. ミーン・ガールズ(2004年)

Mean Girls
Photograph: Paramount Pictures

バービーは「ミーン・ガールズ」の影響を受けているのか、それともその逆なのか。劇中、レジーナとその仲間の高校生いじめっ子たちは、バービーをほうふつとさせることから「プラスティックス」と呼ばれている。ただし、彼女たちの方が意地が悪い。

この作品との関係に敬意を評してか、「バービー」を撮影中のキャストとスタッフは毎週水曜日にドレスコードをピンクにしていたという。

3. 2001年宇宙の旅(1968年)

2001: A Space Odyssey
Photograph: Metro-Goldwyn-Mayer

「バービー」は、スタンリー・キューブリックが監督した「2001年宇宙の旅」の有名なオープニングへのオマージュで幕を開ける。謎めいたモノリスの登場をきっかけにサルたちは、骨を武器として使う方法を発見。ライバルのサルのグループを骨で打ちのめすというシーンだ。

「バービー」では、もちろんモノリスはハイヒールを履いて水泳姿で登場。人形の赤ん坊をたたき壊して、もっと大人で力のあるもので遊ぶべきと、サルではなく若い女の子たちの意識を変える。盗むなら最高のものから、ということだろう。

4. マトリックス(1999年)

The Matrix
Photograph: Warner Bros. Pictures

ウォシャウスキー姉妹のサイバーパンクアクション作品との接点は、思い浮かばないかもしれない。しかし、「バービー」にはケイト・マッキノン演じる変てこバービーという独自のモーフィアスが存在し、「赤い薬と青い薬」のような状況も描かれている。

ネオとは異なり、バービーは当初、現実世界に飛び出すのではなく、バービーランドにとどまるという安全な選択肢を選んだ。しかし、へんてこバービーは「違うわ、やり直し」と言うのである。

5. ハイスクール・グラフィティー 渚のレッスン (1981年)

Puberty Blues
Photograph: Southerland Star Entertainment

「バービー」へ影響を与えたと考えられる作品群の中でも特にディープな部類に入るのが、キャシー・レットとガブリエル・ケーリイが共著した原作を、「ドライビング・ミス・デイジー」のブルース・ベレスフォードが映画化したオーストラリアの青春映画だ。

裕福なシドニー郊外に住むサーフィン狂のティーン2人(ネル・スコフィールドとジャッド・キャペリア)が、サーファーギャングとつるみ、バービーも経験した通過儀礼に乗り出す姿を描く。

6. オズの魔王使い(1939年)

The Wizard of Oz
Photograph: Warner Bros. Home Entertainment

メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)による偉大なこのミュージカル映画は、作り物から芸術を生み出した典型の一つである。ガーウィグの原色を基調としたバービーランドのセットが「黄色いレンガ道」と並んで延びているのを想像するのは簡単だろう。

バービーに登場するペイントされたロサンゼルスの背景には、オズが住む「エメラルドの都」を思わせるものがある。

7. 真夜中のカーボーイ(1969年)

Midnight Cowboy
Photograph: United Artists

「バービー」の中で、バービーとケンが初めて冷笑的で歓迎されないロサンゼルスに到着するのを観れば、同作が1960年代後半の社会派ドラマの代表作である真夜中のカーボーイ」から驚くほど厳格な影響を受けていることがよく理解できるだろう。

真夜中のカーボーイで、ジョン・ヴォイトが演じる若きホープは田舎から来たばかりでエネルギーに満ちあふれ、ダスティン・ホフマン演じる強面のハスラーであるラッツォと一緒にマンハッタンを目を見開いてさまよう。

そう、無邪気さが失われる前の話だ。「私はここでローラーブレードをしてるの!」と叫びたくなる。

8.トゥルーマン・ショー(1998年)

The Truman Show
Photograph: Paramount Pictures

ピーター・ウィアーが監督したこの作品に対して、「バービー」は恩義を感じているはずだ。実際ガーウィグは「トゥルーマン・ショー」に出てくるリアリティーテレビ番組セットである「シーヘブン島」のような「本物に見える人工世界」を作ることについて、ウィアーに電話で尋ねたという。

海辺に囲まれたバービーランドにも、トゥルーマン・ショーと同じように「テレビセット」のフェイクが盛り込まれている。もしかしたら鏡のシーンも、ジム・キャリーの有名なシーンへのオマージュなのだろうか?

9. 赤い靴(1948年)

 The Red Shoes
Photograph: General Film Distributors

多くの映画作家にとってそうであるように、マイケル・パウエルとエメリック・プレスバーガーが監督した「赤い靴」は、華やかにライトアップされた音楽あふれる舞台を目指したガーウィグのビジョンにおいても、重要な試金石となった。

マリウス・ゴーリング演じる恋多き作曲家が、本物の「ケナジー」持っているように見えるのは、気のせいだろうか。

10. シェルブールの雨傘(1964年)/ロシュフォールの恋人たち(1967年)

The Young Girls of Rochefort
Photograph: Comacico

ジャック・ドゥミによるこの2つの名作ミュージカルは、ガーウィグが参照した作品として挙げている。ロビーが演じる目を見開いたバービーと「雨傘」のカトリーヌ・ドヌーヴ演じるジュヌヴィエーヴは、映画界の親戚のように見える。1960年代のパステルカラーと魅惑的なダンスナンバーも「バービー」の世界観と近い。

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