SXSW 2020
SXSW 2020

自宅で楽しめるオンライン映画祭10選

日本の未フィルム化映画から、アニメの祭典、メキシコ、ドイツの映画祭まで

テキスト:
Genya Aoki
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この世界的危機のなか、数々の魅力的な映画祭が開催中止を余儀なくされている。しかし各映画祭は柔軟に対応し、オンライン配信するイベントも多い。ここでは、そんな自宅で楽しめるオンライン映画祭を紹介する。配信作品を観ることで映画館を支援できるオンラインシアターなども記載した。NetflixやAmazonプライムももちろんいいがこの機会に、よりディープに映画を楽しんでほしい。

全世界で実施されるフランス語圏最大のオンライン映画祭。コンペティション部門に長編と短編それぞれ10作品ずつが出品される。本来1月16日から1カ月の開催だったが、「STAY HOME edition」と銘打ち5月25日(月)まで過去の映画祭出品作から選りすぐりの短編59作品を限定公開した。

カトリーヌ・ドヌーブが特別出演する『美味しい美女』などの人気作から、2500本ものポルノ映画から、100本余りの抜粋シーンをつなぎ合わせて新たな物語に仕立てたコメディー作品『ウルトラ・セックスを捜せ!』といった野心作まで盛りだくさんだ。

※視聴にはログインが必要だが、全て無料で楽しめる。

毎年3月に開催する、音楽と映画とテクノロジーの祭典『サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)』。34年の歴史の中で、今年初めて開催中止を余儀なくされたが、映画配給会社 オシロスコープ・ラボラトリーズとタッグを組み、短編映画部門に選出された119本のうち、70本をオンラインで公開。アニメ、ドキュメンタリー、物語、テキサスもの、テキサスハイスクールの5つの部門で構成されている。

2019年の『トロント国際映画祭』でも「カナダの短編映画トップ10リスト」に選出されたキャロル・グエンの『No Crying at the Dinner Table』など、話題の作品が多数含まれている。

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Dance and Media Japanが2003年からスタートした、世界のダンス映画やビデオダンスを集め上映している映画祭。2019年度『東京造形大学+Dance and Media Japan 国際ダンス映画祭』にて上映されたインターナショナル部門の中から10作品を全て無料でオンライン上映する。

日程は、4月29日(水・祝)21~21~25時、5月2日(土)21~25時の2日間。

アジア最大級の国際短編映画祭『ショートショート フィルムフェスティバル&アジア 2020』が4月29日(水・祝)〜5月31 日(日)の期間、オンライン企画を実施。ショートフィルムのオンライン映画館『ブリリア ショートショート シアター オンライン』で、別所哲也やLiLiCoらがおすすめする「心がほっこりする」ショートフィルム33作品を、毎日日替わりで1本無料配信するというものだ

5月9日(土)からは子どもといっしょにショートフィルムを鑑賞し、同時掲載されているワークシートをもとにアニメ作り体験などを行うオンラインワークショップも展開予定。

各映画の配信スケジュールは公式サイトに記載されているので、チェックしてみよう。

※視聴にはログインが必要だが、全て無料で楽しめる。

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自主映画専門コンペティションであるぴあフィルムフェスティバルアワード入選作品約100本が、オンラインシアター 青山シアターで配信されている。年間を通じて1本550円で販売しているが、5月6日(水)までの期間限定は1本330円で提供。

塚本晋也や、熊坂出など歴代のアワード入選作品も配信再開を果たした。上映や配信で生まれた収入は、監督に還元される仕組みになっている。

映画鑑賞を楽しみながらクリエーター支援をしてみるのはいかがだろう。

YouTubeがグローバルなデジタル映画祭を開催する。期間は5月29日(金)〜6月7日(日)までの10日。全て無料で視聴可能だ。ベルリン国際映画祭、カンヌ国際映画祭、ベネチア国際映画祭、トロント国際映画祭、東京国際映画祭など世界的に有名な20以上の映画祭が参加し、長編および短編映画、ドキュメンタリー、コメディー、音楽、対話などのプログラムを配信する。

詳細なスケジュールは、専用ページで近日中に発表予定だ。映画祭の収益は世界保健機関(WHO)の「COVID-19 Solidarity Response Fund」(新型コロナウイルス感染症対応連帯基金)に寄付される。

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アニメーションに特化した世界最大級の映画祭が6月15日(月)〜6月30日(火)の期間、オンライン配信で開催される。今年は世界中から約3170本の応募があり、日本からは湯浅政明が監督を務めるNetflixオリジナルアニメシリーズ『日本沈没2020』がテレビ部門にノミネートされている。

長編コンペティション部門とVR部門の作品は、5月中旬にアナウンス予定だ。

毎年ドイツ、フランクフルトにて開催される日本映画祭が、6月9日(火)〜14日(日)までオンラインで開催される。短編、長編、新作、旧作問わずアニメやドキュメンタリーなど幅広い作品が100本ほど集結。最新の長編短編日本映画が上映されるほか、参加型のライブストリーム、映画人トークを実施予定だ。

注目は茶道や太鼓、書道、武道ショーなどの舞台やワークショッププログラム。家にいながら世界に向かって発信する日本文化を体感しよう。詳細は公式サイトで順次発表予定。

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2003年に設立され、毎年メキシコのミチョアカン州で開催するメキシコ映画の祭典。10月に開催を予定しているが、世界的な新型コロナウイルス拡大による外出自粛を受けて、2週間ごとに5月31日(日)まで歴代の長編映画、ドキュメンタリー、短編映画の受賞作品を無料で公開している。2クール目の14作品が5月3日(日・祝)までモレリア国際映画祭プレゼンツオンラインで視聴可能だ。

メキシコといえば『ROMA/ローマ』のアルフォンソ・キュアロン、『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロなど名監督を数多く輩出している一大映画産地。スペイン語に映画字幕とハードルは高いが、高品質な作品ばかりなのでチェックしてみてほしい。

配給会社東風と映画監督の想田和弘がタッグを組み、新作映画のデジタル配信を行う仮設の映画館が開館。観客はサイト上で、どの映画館で映画を鑑賞するかを選択し、選んだ映画館に鑑賞料金が分配されるという仕組みだ。北海道から沖縄まで全国の映画館と配給会社が賛同、参加し(随時追加中)、上映作品は10本以上がラインナップされている。

それぞれ公開時期が異なり、すでに公開されているのは『春を告げる町』。5月2日(土)には、想田が監督しベルリン国際映画祭でエキュメニカル審査員賞を受賞した『精神0』をはじめ『巡礼の約束』『タレンタイム~優しい歌』などが配信開始する。今だから生まれた仕組みを楽しんでみよう。

さらに映画を探求するなら…

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新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止による緊急事態宣言を受け、渋谷と吉祥寺の都内2カ所と、京都にも映画館オープンさせる映画会社「アップリンク」は、オンライン映画館アップリンク・クラウド(UPLINK Cloud)にて、配給作品60本以上が見放題となるサービス(3カ月2,980円)を開始した。 ここでは、配信作品から10本をセレクトし、前編と後編に分けて紹介する。今もなお外出自粛の状況が続く中、自宅をはじめとした環境での鑑賞の一助となるだけでなく、街の映画館を失わないための一支援として、過去の作品を観ることで生まれる映画の「(再)発見の場」となれば幸いだ。 アップリンク クラウド公式サイトはこちら

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現在の世界的な危機のなか、多くの都市のクラブ、ライブハウス、レコード店が営業休止を余儀なくされている。しかし、音楽の世界を広げる方法は、まだいくつもあるのだ。ここでは、音楽にまつわる最高のドキュメンタリー作品を紹介したい。全て無料で視聴できるものばかりなので(Netflixなど「いつものサービス」は、一旦忘れて)、ぜひ楽しんでほしい。 『LDN』 (Nathan Miller, 2017) ロンドンにおける現代のグライム、ドリル、ヒップホップの広がりを決定的に捉えたドキュメンタリー。誤解されがちでもあるこれらのシーンだが、その熱量や盛り上がりをリアルに感じることができる。登場するのは、J Hus、Kojey Radical、67、Fredoなど。監督はドキュメンタリー映画作家、ネイサン・ミラー。彼はロンドンのエースホテルでアルバイトをしながら、この作品を作り上げた。 『The Burger and the King』 (BBC, 1995) 「エルビス・プレスリーと食べ物」との素晴らしく、少し不思議な関係性を伝えるドキュメンタリー。食べ物をこんなにも愛していた彼だからこそ、一生のうちにフライドピーナッツバターサンドをあんなに食べていたのだ、と納得させられる。 The Sound of Belgium (Director's cut) from Jozef Devillé on Vimeo. 『The Sound of Belgium』 (Visualantics, 2018) 伝統的なオルガン音楽からテクノ音楽へと時代を進めながら、ベルギーのダンスミュージック界の歴史に余すところなく迫り、紹介するドキュメンタリー。2020年4月5日(日)まで、ディレクターズカット版が無料で楽しめる。 『I Was There When House Took Over the World』 (Channel 4, 2017) ハウスミュージックの誕生をテーマにしたドキュメンタリー。2部構成となり、前半ではシカゴのシーンの始まり、後半では、世界での広がりにスポットを当てている。ナイル・ロジャース、マーシャル・ジェファーソン、ハニー・ディジョンなど、シーンの中心にいた人物から若手DJなどへのインタビューもたっぷり。 『Marc Bolan – The Final Word』 (BBC, 2007) T・レックスの音楽は、滑らかでクールなギターフレーズにあふれていた。BBCが制作したマーク・ボランの幼少期、名声、悲劇を描いたこのドキュメンタリーで、その魅力を改めて感じてみよう。1970年代の究極のミューズの姿も見ることができる。ナレーションを担当しているのはスージー・クアトロだ。 『Fantastic Man: A Film About William Onyeabor』 (Alldayeveryday, 2014) ナイジェリアのファンクアーティスト、ウィリアム・オニーバーについてのドキュメンタリー。監督のジェーク・サムナーは、デイモン・アルバーンやカリブー、フェミ・クティなどと語り合い、ナイジェリアを旅してこの作品を完成させた。魅力的で美しい光景を見ていると、自然にファンクの魔術師の物語に引き込まれるはずだ。 『Chas and Dave: Last Orders』 (BBC, 2012) 愛すべき悪ガキ二人組、クリスとデイブは、「ロックニー」と呼ばれる音楽スタイルを確立したことで知られる。ロックニーは、ロンドンのパブロックと古き良き時代の音楽を演芸

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