TOKYO MUSIC BOX #11 シャンソンバー・ソワレ

テキスト:
Kunihiro Miki
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※プレイリストは記事下部
in collaboration with KKBOX 

シャンソンバー・ソワレ

値段:

音量:

照度:★★

出会い:★★★

ポイント:日代わりのママ

この一杯:越路吹雪(日本酒) 

テキスト:高岡謙太郎

定番スポットや老舗バー、注目の新店まで、魅力的なミュージックスポットを、店主、スタッフ、常連客がセレクトしたミュージックプレイリストとともに紹介する連載企画『TOKYO MUSIC BOX』。 

第11回は、新宿の一角にある飲み屋街のゴールデン街で個性を放つ、シャンソンバー・ソワレ。シャンソン歌手として長年活動するソワレが開店し、現在は音楽を楽しむことのほかに、オールセクシャルの日替わりママの接客で、濃密なコミュニケーションを楽しんでもらうというスタイルで店内を賑わせている。 

 

ゴールデン街は、50年代から続く新宿の飲み屋街。200店舗近くが開き、その多くは10人入ればいっぱいの席数。その距離の近い「密な」コミュニケーションが取れることが面白さだろう。昭和の頃、作家、詩人、漫画家、映画、演劇などの文化人が集い、酒を飲みつつ議論を交わし親交を深めた地として知られている。 気軽に入れるポップな店から、文壇バー、ゲイバー、一見さんお断りの店まで、店の成り立ちやコンセプトによって、雰囲気は様々。そのなかでもシャンソンバー・ソワレは、越路吹雪を敬愛するシャンソン歌手でもあるオーナーのソワレによって、シャンソンバーとして始まった。 

 

現在、ソワレはオーナーとなりバーカウンターに立つことは稀。その代わり、日替わりママが担当するスタイルだ。ノーマル、ゲイ、バイセクシュアル、レズビアン、FtM、MtFと、ママたちのセクシャルに関しては偶然に豊かなセクシャルが集まっていることから、彼ら彼女らの多様な生き方が話題となることも多いそう。音楽を楽しむというよりも、ママに会いに来て楽しむスタイルになった理由をこう語った。

 

「当初シャンソンバーとしていたけれど、シャンソンを店で流すのは暗くなるので合わないんですよ。しっぽりした感じというか聴き入っちゃうんですよね。フランス語でシャンソンって『唄』っていう意味なので。だからBGMとして成立しないということが初期に分かって」。 

 

現在は日替わりのママの趣味でBGMが決まり、昭和の歌謡曲が中心に流れる。ソワレは、この店ならではの音楽と人との距離感も考えている。「場所というのは人が作っていくものなので、その人が楽しめるような空気じゃないと、お客さんも楽しめないので、BGM喋りやすい程度がいいんですよ」。BGMのみを目的としたシャンソンバーとしてではなく、シャンソンという音楽から感じ取れるライフスタイルに共感できる人が集う場となったようだ。

「音楽を自分で浄化したうえでの人間らしさというか個性というものがあると思うんですよ。レゲエの人はラスタマン風とか、スタイルから入っていくというのがあるんです。音楽が循環して、その人の人格やライフスタイルが形成される、そういうところが音楽の魅力なんじゃないですかね」。

同店の歴史は長く、現在12年目を迎えている。開店当時、ゴールデン街はソワレの知り合いが集うようになっていた。シャンソン歌手の戸川昌子がオーナーのライヴハウス 青い部屋の店長を務めていたソワレは、自分で全部責任を持てる店を作りたいと一念発起。 店を辞め、翌日に物件を探して店内を改装した。その行動力ゆえに今では、新宿2丁目のバーBar星男ではオーナーを、渋谷のライヴハウス SARAVAH東京では代表取締役を兼任する。 

オーナーとしても腕を振るうが、本職はシャンソン歌手。バーが続いてきたのは、20年間唄を歌ってきた繋がりからだという。全国各地で披露をしたソワレの熟練のライブが店内の2階で行われることもある。彼だけでなく、若手の姉妹アコーディオンユニット、チャラン・ポ・ランタンの小春が不定期でバイトをしているので、アコーディオンを弾いてライブをする日もあった。現在はメジャーレーベルと契約をした彼女が、アコーディオンの流しをしていたときからの付き合いで、そういった信頼できるスタッフに店を任せているという。 

店名でシャンソンバーと謳っているため、シャンソン歌手志望の人が来ることもある。また、ソワレが、河合奈保子のCDの解説を書いていることもあり、取材当日は九州からファンが来ていた。「僕がいたらラッキーぐらいの感じで。僕がいたらシャンソンと河合奈保子さんの話がいくらでもできますよ」 。

 

115日更新分のプレイリストのテーマは「ソワレが好きなシャンソン」。本人いわく、『KKBOX』アプリにはほかの定額制音楽配信サービスには入っていないシャンソンの楽曲が豊富に入っていたという。「フランス語で「唄」を意味する平べったい言葉が日本では『シャンソン』と云う魑魅魍魎なジャンルとなって咀嚼されています。聴かず嫌いの方も多いでありましょうこの『シャンソン』というカテゴリーのブーム、我が国では1970年初頭で止まってしまいました。でもそれでもいいではないか。『スタンダード』なシャンソンよりもこれからスタンダードになって戴きたい力のある半世紀前の名曲を中心に選んでみました。日本からは永遠のディーヴァ、越路吹雪さんを。にしてもKKBOXさんの豊富なカタログに脱帽です」。

プレイリストリンク 先:KKBOX

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[プレイリスト]

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