森山大道
鶴松

ハシゴしたい展示5選

鴻池朋子と森山大道、ハシゴして理解を深められる展示をピックアップ

作成者: Ryuichiro Sato
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アーティストを知ることは作品を見ることと一見同じようだが、実は違う。作品はその作品だけで鑑賞に耐えうることもあるが、作品を数多く見なければ作り手であるアーティストの特徴は見えてこないだろう。もちろん、その逆もあり得るし、結局は両者は分かち難く結び付いているのだから。

だからこそ複数の展示を見ておくことは意味がある。現在、鴻池朋子と森山大道の展示がそれぞれ複数開催中だ。今回は、この二人のアーティストをより深く知りたい人のために展示を選んでみた。

入場制限などを設けている場合もあるので各公式サイトを事前に確認してから訪れてほしい。

《皮トンビ》瀬戸内国際芸術祭 2019 展示風景
《皮トンビ》瀬戸内国際芸術祭 2019 展示風景
《皮トンビ》瀬戸内国際芸術祭 2019 展示風景

ジャム・セッション 石橋財団コレクション×鴻池朋子 鴻池朋子 ちゅうがえり

アート アーティゾン美術館, 京橋

従来の美術手法から拡張し、芸術の根源的な問い直しを続ける現代美術家、鴻池朋子と石橋財団コレクションが共演する展覧会が開催。展示室全体に広がる円形の大襖絵(ふすまえ)を中心とした新作インスタレーションを展示する。 本展では森羅万象を紙でかたどった影絵灯籠や、鴻池の声によるオオカミ、風、雪女など人間以外の生き物の音と映像の部屋が出現。そのほか幅12メートル、高さ4メートルの作品『皮トンビ』、アーティゾン美術館収蔵品であるクールベ『雪の中を駆ける鹿』、シスレー『森へ行く女たち』などを併せて紹介する。展示室を結ぶ通路には、毛皮やビニールなど多様な素材から成る森の小径を用意。五感が刺激され、宙返りするような視点が味わえる。 作品にあふれる野生の息遣いを体感してほしい。

古典×現代2020―時空を超える日本のアート
古典×現代2020―時空を超える日本のアート
葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》 江戸時代・19世紀 和泉市久保惣記念美術館、しりあがり寿《ちょっと可笑しなほぼ三十六景 太陽から見た地球》 2017年 作家蔵

古典×現代2020―時空を超える日本のアート

アート 国立新美術館, 乃木坂

古典的な日本美術の作品と、現代の第一線で活躍する作家の作品とを対置させる展示が、国立新美術館で開催。 曽我蕭白(そが・しょうはく)と横尾忠則から葛飾北斎(かつしか・ほくさい)としりあがり寿といった、さまざまな作品が対比される。鴻池朋子の6メートル×24メートルの『皮緞帳(かわどんちょう) 』など一目見たら忘れられない作品も展示される。 対比されている作品を見比べるだけではなく、その組み合わせを選んだキュレーターの選球眼を問うてみるのも面白いだろう。なお、伊藤若冲『鳥禽図』と棚田康司『曲線の女』は展示取り止めとなった。 チケットは事前予約制で、会期を三つに分けて販売開始時が設定されている。詳細は公式サイトを確認してほしい。

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森山大道
森山大道
『東京ブギウギ』より 2018年 ©Daido Moriyama Photo Foundation

森山大道の東京 ongoing

アート 東京都写真美術館, 恵比寿

スナップショットの名手で、日本を代表する写真家の森山大道の撮影してきた「東京」を捉えた展覧会を、東京都写真美術館で開催。 森山は1960年代に活動を開始して以来、「アレ、ブレ、ボケ」と形容されるハイコントラストや粗粒子画面による作風で知られてきた。2019年には写真のノーベル賞ともいわれるハッセルブラッド国際写真賞を受賞するなど、デビューから55年を経た現在も第一線で活動を続けている。 本展では、現在進行形で活躍している森山がレンズを通してとらえ続けてきた東京の街を、「ongoing=進行中、進化し続ける」というテーマで見つめ直す。『三沢の犬』などの有名な作品も交えつつ、カラーとモノクロの近作を中心に展観する。  

森山大道
森山大道
鶴松

森山大道「沖縄 s49」展

アート スーパーラボストア トーキョー, 神保町

写真家のによる森山大道『沖縄 s49』展がスーパーラボストア トーキョーで開催中。今回は、1974年に森山が沖縄を初訪問した際に撮影した作品を展示する。なお、この展覧会に併せて同名の写真集が700部限定で刊行される。 森山は当時一週間滞在し、那覇を中心とした沖縄の情景を撮影したという。その写真は今回観光の写真集にも掲載されている。 作品を鑑賞するだけでなく、アメリカが日本に返還されて間もない沖縄の風景を追体験できるのは、現在ではなかなかできない貴重な機会でもある。沖縄という場と森山の写真の共演を楽しんでみてはどうだろうか。

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Carlos Amorales mask
Photograph: Iris Duvekot

世界の美術館のアートマスク9選

ニュース アート

ミュージアムショップの定番商品といえば、キーホルダー、傘、くねくね鉛筆だが、最近加わった新しい必需品が飛ぶように売れている。そう、再利用可能なマスクだ。 ロンドンのテート・モダンやニューヨークのメトロポリタン美術館では、コレクションから選んだ有名作品をデザインしたマスクを販売。ロサンゼルスやマドリッド、アムステルダムなどの美術館にもオリジナルマスクがある。 すべての国が屋内公共空間でのマスク着用を必須にしているわけではないが、ほとんどが推奨している。その状況を考えると、各美術館がマスクを売るのは非常に賢明な(そして、利益を生む可能性が高い)アクションだろう。 多くの美術館は、マスクの販売を運営資金を早急に調達する手段の一つとして捉えているようだ。ウィーンのクリムト・ヴィラでは、すでに6000枚の売り上げを記録。また、慈善事業のための資金調達の機会としてマスクを販売している美術館もある。例えば、アムステルダム市立美術館はカルロス・アモラレスが多用する蛾(ガ)をデザインしたマスクを販売し、その利益はメキシコのストリートワーカー向けのマスク作りに使っている。 口元をスタイリッシュにしたい? ここでは、世界中の人気美術館のミュージアムショップで発売されているアートなマスクを紹介しよう。 ジョン・シンガー・サージェント (テート・モダン、ロンドン)   Photograph: Tate   アーノルド・イーグル(写真上)、アドルフ・デーン(写真下)(メトロポリタン美術館、ニューヨーク)   Photograph: Metropolitan Museum of Art   レンブラント(アムステルダム国立美術館、アムステルダム)     Photograph: Rijksmuseum   クリムトにインスピレーションを得て、彼のひ孫がデザインした手作りマスク(クリムト・ヴィラ、ウィーン)   Photograph: Klimt Villa   ヒエロニムス・ボス(プラド美術館、マドリード)   Photograph: Prado   エルザ・サザーランド(ロサンゼルスカウンティー美術館、ロサンゼルス)   Photograph: LA County Museum of Art   カルロス・アモラレス(アムステルダム市立美術館、アムステルダム)   Photograph: Iris Duvekot   サイケデリックな楕円形のマスク(グッゲンハイム美術館、ビルバオ)   Photograph: Guggenheim   ゴッホ(ナショナル・ギャラリー、ロンドン)   Photograph: National Gallery   原文はこちら 関連記事 『違反には罰金も、イギリスがスーパーなどでマスク着用を義務化へ』 『デザインミュージアムが7月末に再開、クラフトワークらの展示も』 『ヘアカット時に便利な顔にくっつくマスクが登場』 『ニューヨークの地下鉄駅にPPE自動販売機が登場』 『ポストコロナに対応した「新しい旅のエチケット」が発表』

サントリー美術館
画面手前に深見陶治の作品

リニューアルオープンしたサントリー美術館に行くべき3のこと

ニュース アート

2020年7月22日、新型コロナウイルス感染症で休館し、緊急事態宣言解除後も改修工事が未着手の箇所があったために再開を延期していたサントリー美術館がリニューアルオープン、開館記念展『ART in LIFE, LIFE and BEAUTY』を開催した。今回の改修は、同館が2007年に現在の六本木に移転後、初の大規模な改修でもある。本記事ではリニューアルしたポイントや展覧会の見どころを紹介していく。 隈研吾設計のエントランス 今回の改修は機能面が中心であり、外観や建物の導線などに目立った変化はない。その中で特筆されるのはエントランスの全面リニューアルであろう。同館を設計した隈研吾建築都市設計事務所が監修、「和の素材を使用したぬくもりのある空間にマッチする洗練されたデザイン」をコンセプトとしたという。特に隈研吾本人による「水」を想起させる新しいカウンターのデザインが印象的だ。照明もLEDに変更されている。   照明は高演色LEDに変更、自然光のような展示が可能に   コレクションの名品を堪能する 展覧会の構成は「第1章 第1節 装い:浮線綾螺鈿蒔絵手箱と化粧道具」〜「第3章 第2節 異国趣味の意匠(デザイン)」の7つに分かれており、それぞれが充実した展示内容となっている。   画面右側に『浮線綾蒔絵手箱』   会場を入ると、まず深見陶治の『遥カノ景〈空ヘ〉』が出迎えてくれる。その奥には、同館が誇る鎌倉時代の蒔絵箱の名品『浮線綾螺鈿蒔絵手箱』が鎮座する。この作品は、浮線綾文という円形の花文様を表面に散らしており、一つの文様は、13片もの貝のパーツを精緻に組み合わせた螺鈿(らでん)技法で描かれている。その文様の美しさのみならず、源頼朝の妻、北条政子が所有していたとも伝えられる由緒の正しさも含めて端正な名品と言える。 「第3章 第1節 異国趣味:南蛮屏風と初期洋風画」では、同館のコレクションの特徴の一つである初期洋風画や南蛮美術のコレクションを知ることができる。これらは安土桃山時代以降に制作され、ヨーロッパなど諸外国の影響を受けたり、イエズス会宣教師の布教などキリスト教に関連する題材の作品だ。   画面右側に『泰西王侯騎馬図屏風』   17世紀初めに制作された『泰西王侯騎馬図屏風』は、現在神戸市立博物館が所蔵する屏風と元は一対をなし、会津松平家の若松城に伝来した。ペルシア王、エチオピア王、フランス王アンリ四世が描かれ、左端の人物が誰かについては諸説ある。 この作品の出典は、1606〜07年に刊行されたオランダのウィレム J. ブラウ制作の世界地図をもとにピーテル・ファン・デン・ケーレが制作した世界地図の一部とされ、江戸幕府による禁教令の1614年までに制作されたという説が有力。題材や陰影法などはヨーロッパのものを採用しながらも下書きの墨線や顔料、朱地に金箔(きんぱく)を押す技法など日本美術の技法が使われている点も興味深い。何より地図のような比較的小さなメディアを、大画面の屏風に仕立て上げた絵師の技量には素直に敬意を表したい。 今と昔を往来する 本展覧会の面白い点は、初期洋風画が海外の造形を再解釈したように、美術史上の作品と現代のアーティストの作品を並べて展示しているところにある。つまり、美術を通して地域の交流だけでなく過去と現在という時空も往来させようとしているのだ。 例えば、狩野山楽筆と伝えられる『南蛮屏風』は、山口晃『成田国際空港 南ウィング盛況の圖』(ミヅマアートギャラリー)と対置される(第3章 第1節)。 山口の作品には『南蛮屏風

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teamLab Planets TOKYO ©teamLab Universe of Water Particles Falling from the Sky’
Photo: teamLab Planets TOKYO ©teamLab

チームラボが新しいパブリックアートを発表、豊洲に巨大な滝が出現

ニュース アート

冷たいドリンクを飲みながら、冷房のきいた空間で快適に過ごしたい季節がやってきた。蒸し暑い日は、営業再開し始めたプールへ行ったり美術館へ足を運んで涼んでみるのも良いだろう(もちろんマスクの着用は必須だ)。 チームラボのデジタルアートを存分に楽しめる、チームラボプラネッツとチームラボボーダレスは、今月から安全対策を強化してリニューアルオープン。特に、チームラボプラネッツでは、「水に入る」ことをテーマにした作品が展開されており、暑さをしのぐには最適な空間だ。   Photo: teamLab Planets TOKYO ©teamLab Universe of Water Particles Falling from the Sky   また、2020年7月16日(木)からは屋外で『空から降り注ぐ憑依する滝』と名付けられたパブリックアートの公開が始まる。同作品はチームラボボーダレスにある『人々のための岩に憑依する滝 』をほうふつとさせる新作で、涼やかな滝が石の上に落ちていく様子を再現した巨大インスタレーションだ。 そのほかの作品と同様に、鑑賞者が近づくと水の流れが変わり、滝が人に反応して動く様子や変化が楽しめる。もちろん、本物の滝ではないが信じられないほど涼しげな光景を体感できるだろう。 また、同作品はチームラボプラネッツ前に展示されるパブリックアートのため、チケットを買わなくても無料で鑑賞できるのも魅力。チームラボのパブリックアートには、銀座シックスの『Universe of Water Particles on the Living Wall』や、丸の内キッテの『時に咲く花』、東京スカイツリーにある『隅田川デジタル絵巻』などがある。 『空から降り注ぐ憑依する滝』は、チームラボプラネッツの会期が終わる2022年末までの公開を予定。豊洲を訪れた際はぜひ立ち寄ってほしい。   関連記事 『ホテルニューオータニのプール、今年は宿泊プラン利用者限定で営業』 『着物ブランドのやまとが、誰でも簡単に着用できる新作浴衣を販売』 『東京都美術館が7月1日に再開へ、コロナ対策も』 『初の外国人ディレクターで横浜トリエンナーレが7月17日開幕』 『作品泥棒OK「盗めるアート」展が7月開催』

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Art Aquarium
Photo: Art Aquarium

3万匹の金魚が泳ぐ神秘空間が日本橋に誕生

ニュース アート

2007年の初開催以来、14年間で1000万人以上の来場者数を記録したアートアクアリウム。ライトアップされた水槽の中を泳ぐきらびやかな金魚たちの展示は、東京の夏の風物詩にもなっているほどだ。

そのアートアクアリウムは2020年8月、日本橋に初の常設館アートアクアリウム美術館をオープンする。 大小さまざまな形の水槽の中を涼やかに泳ぐ3万匹の金魚たちはプロジェクションマッピングされ、より幻想的な演出に。館内は2階建てで、各展示室は五感で楽しめるようだ。

2321平方メートルの空間には、貴重な種類の金魚から縁日などで見られる一般的な金魚までが展示され、四季に応じた美しい演出が見所。「金魚の杜」と名付けられた円柱型の水槽や、江戸時代の花街をイメージした「花魁道中」など、展示空間を埋め尽くす彫刻のような水槽は見るものを圧倒するだろう。 

草間彌生
Photo: 『マンハッタン自殺未遂常習犯の歌』 2010年 © Yayoi Kusama

「フラワー・オブセッション」など草間彌生の新作展が7月30日から

ニュース アート

草間彌生美術館では、日本および世界初公開の草間の新しい作品が展示予定だ。展覧会のタイトルは『我々の見たこともない幻想の幻とはこの素晴らしさである』、会期は2020年7月30日(木)~2021年3月29日(月)。

展示されるのは、1メートル四方の画面に自己の内面からあふれ出るビジョンを描いた最新作群や、本展のために制作された没入型の『無限の鏡の間 - 宇宙の彼方から呼びかけてくる人類の幸福への願い』など、草間がこの10年間に制作した作品だ。

最新のプロジェクトの一つである『フラワー・オブセッション』も展示され、そこでは、たくさんの明るい赤い花で床から天井まで覆われた部屋を通して草間の幻覚体験のビジョンを描き出す。 

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Akiko Toya
Akiko Toya

豊島区立トキワ荘マンガミュージアムが7月7日にオープン

ニュース アート

豊島区立トキワ荘マンガミュージアムが、いよいよ2020年7月7日(火)、南長崎花咲公園内にオープンする。同施設は、手塚治虫をはじめ、日本を代表する漫画家たちが青春時代を過ごした2階建ての木造アパート、トキワ荘の再現施設だ。

トキワ荘は、老朽化のため1982年12月に取り壊されてしまったが、このマンガミュージアムでは、アパートの大きさや外観、そして何人かの漫画家の部屋や共同炊事場などをできるだけ忠実に再現。足を踏み入れれば、昭和20〜30年代の漫画家たちの生活を垣間見ることができるだろう。

そのほか、ペン入れが体験できる部屋や、漫画家になりきって写真が撮れる部屋といった体験型のコンテンツも用意。トキワ荘にゆかりのある漫画家の作品を自由に閲覧できる『マンガラウンジ』や、展示やイベントを開催する『企画展示室』も設けられているので、子どもから大人まで思い切り楽しめそうだ。

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