多古久

タイムアウトレビュー
注意! 最新情報の掲載に努めているが、通常とは営業時間が異なる場合もあるため、公式サイトなどで確認してから訪れてほしい。
上野の不忍池からすぐ近く、池之端にある多古久は、長年通うファンも多い、下町ではよく知られるおでん専門店だ。戸を開けてまず目に入るのは、磨きこまれた銅製の特注おでん鍋と、よく使いこまれた燗銅壷(燗酒をつける道具)。設えや店構えが醸し出す、時の流れを感じさせる雰囲気も魅力的な一軒だ。
下町風の濃い色をした出汁だが、あっさりした風味が特徴的。大トロとネギを交互に串に刺した『ねぎま』や、鍋の中のあらゆる旨みをたっぷり吸った『ちくわぶ』、ぷりんとした食感がたまらない『いいだこ』など、いずれもしみじみと噛み締めたくなる味わい。また、店名に掲げる「蛸」のモティーフがあしらわれたビールグラスは、ユーモラスで目を引くが、これは八本足の八という数字が意味するところの末広がり、吸盤で客を捉えて離さない、といった言葉遊びによるもの。いつも鍋前に立って接客していた名物女将が他界したことは悲しい限りだが、きっとこの店の魅力は若女将の代になっても失われることはないだろう。
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