並木通りからビルの間を入った路地裏にある、魚介メインの居酒屋。銀座の一等地にいながら、タイムワープで昔の気取らない東京に戻ってきたような気分になる。賑やかな居酒屋、三州屋は1968年からずっと、美味しくて値の張らない料理を作り続けている。
昼過ぎには一杯やりながら盛り上がる近隣で働く人たちで賑わいだし、そのまま閉店までずっと銀座の会社員たちでいっぱいになる。みな、安いのに美味しい料理に惹きつけられてやってくるのだ。すっきりとした店内には相席のテーブルが置かれ、気楽な感じだが、昔ながらの美学を感じる。メニューは一つ一つ白い紙に黒の字で書かれたものが厨房前のカウンターの上に貼られていて、紙吹雪のようだ。
三州屋での食事にはお通しがついてくる。たいていはイカの刺身と魚の肝などだ。それが終わったら、近くにある築地から仕入れる魚介中心のボリュームたっぷりの料理が登場する。金目鯛の煮つけ、大根おろし付きのサンマの塩焼き、ポン酢が香る鶏豆腐、新鮮な貝類に刺身などだ。冬の牡蠣の季節にはいつにも増して混み合う。カキフライが伝説的に美味しいからだ。
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