Toshima diverse of nightlife
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豊島区の夜を考える「Toshima diverse of nightlife」がリリース

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東京芸術劇場野外劇場グローバルリングあうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)をはじめ、豊島区には大小さまざまな劇場施設がある。さらには、個性の異なる8つの劇場を備えた商業施設「Hareza池袋」も、2020年7月にグランドオープンを予定しており、同区では「劇場都市」というキーワードが盛んに話題に上るようになった。

そんな流れを踏まえた区長の高野之夫は「新たな劇場都市には観劇後のにぎわい、つまりアフター・ザ・シアターが必要」をきっかけに、区はナイトタイムエコノミーの可能性を探究するべく『豊島区アフター・ザ・シアター懇談会』を2017年12月に発足。予定されていた3期の活動を終えた成果として、小冊子『Toshima diverse of nightlife』がタイムアウト東京制作のもと刊行された。

同懇談会の大きな特徴として、その委員のバラエティーに富んだ顔ぶれが挙げられる。座長を務めた梅澤高明をはじめ、IT業界やエンターテインメント業界だけでなく、弁護士や建築家、ジャーナリスト、研究者など、幅広いジャンルの個性的なメンバーがそろった。『Toshima diverse of nightlife』では、各界で活躍する委員に行ったインタビューを掲載することで、多角的な視野のもと豊島区のナイトタイムエコノミーを捉えることを試みた。外からの多様な視点が街を良くするという点について、インタビュー内での高野も、戦後の闇市としてさまざまな人を受け入れてきたことから池袋が大きく発展してきた歴史を踏まえて強調する。「アナウンサーから経営トップまで、本当に多様な人が集まってくれました。一見バラバラですが、豊島区に興味を持ち、この街をもっと良くしたいという思いに共感してくれている点は共通しています」と、高野は熱弁している。

キョードファクトリー代表取締役社長の前田三郎や、星野リゾート アセットマネジメントでIRディレクターを務める菊池昌枝、an代表取締役の永谷亜矢子、ドワンゴ専務取締役CCOの横澤大輔など、経営のプロフェッショナルはもちろんのこと、タレントとしても著名な篠原ともえやモーリー・ロバートソンなど、親しみやすい人物も参加しており、それぞれの専門領域に立った視座からだけでなく、個人的な関心からの意見交換がなされる自由な議論の場となったようだ。

例えば、トリップアドバイザー代表取締役の牧野友衛は、Twitter Japanやグーグル日本法人の要職を歴任したデータ分析のエキスパートながら、長年の趣味でもある美術鑑賞の経験から「豊島区が『文化』でブランディングすると決めたのはとても良いこと。(中略)現代アートは普通の人にとっては異質なもの。しかし、芸術祭をやっている街を見てみると、その異質なものを受け入れていて、結果的に誰もが住みやすい街になってきている」と、異文化に触れることの大切さを指摘している。

かつては古書店を経営していたことを考えると、高野が1999年の区長就任以来ずっと「文化」に力を入れてきたのは当然のことかもしれない。そんな高野が「街を活性化する文化の最たるものの一つ」として信頼を寄せているのが、Hareza池袋に入居する東京建物 Brillia HALL豊島区立芸術文化劇場)のラインナップに加えられたことで大きな話題を呼んでいる、宝塚歌劇団だ。宝塚歌劇の良き理解者にして、年間250本ほどもの舞台を観劇しているというアナウンサー、中井美穂が委員として懇談会に名前を連ねていることからも、街を作ろうとする行政や企業だけでなく、街を実際に使う住民や来訪者からの観点を街づくりに生かしたいという区の姿勢がうかがえる。実際に「最近は池袋に出かけることが多くなりました」と中井が話す通り、劇場都市としての豊島区の存在感が舞台ファンにとってますます強まっていることが感じられる。

しかしながら、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に対して、自粛要請という撞着語法を繰り返すだけの政府の後手に回った対応の最初の被害者となったのが、演劇業界や音楽業界などのステージ関係者だったことも忘れてはならない。文化が街を活性化することを期待するのであれば、平時から、危機的状況にある今はなおさら、文化を絶やさずに守るための政策が必要となるのではないだろうか。パンデミックが終息し、豊島区へ観劇に出かけられる日常が戻ってくることを心待ちにしたい。

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