「MEM」で、写真家・金村修の写真展が開催。未発表のままだった北京郊外で撮影された写真群が、本展と同名の写真集とともに初公開される。
1992年から都市風景を撮り続けてきた金村は、近年、映像やコラージュ、ドローイングへと表現の領域を拡張してきた。本作は、2008年の夏季オリンピックに沸く北京を背景に、1978年に設立された日本で最初の写真ギャラリー「ZEIT-FOTO SALON(ツァイト フォト サロン)」 の石原悦郎の依頼を受けて撮影されたもの。郊外は荒涼とした風景が広がり、その光景は、若松孝二の『処女ゲバゲバ』における富士山麓の風景を思い出させたという。
外部のない巨大な密室を思わせる風景の中で、主人公は荒野そのものに閉じ込められているかのように映る。風景とは人間が見いだしたものでありながら、私たちをその風景に閉じ込める存在だ。広大な風景の中で、作家は自らが風景を見ているのではなく、風景に見られていると捉えている。
カメラは風景を作り出す装置であると同時に、空間を四角いフレームに収めることで世界を風景へと変換していく。反復や転移、増殖を繰り返しながら幾層にも折り重なり、やがて世界そのものを覆い尽くし、人間が写真の中に閉じ込められるのだ。
私たちは風景の一部にすぎず、やがてその中へと飲み込まれていく。
※12〜18時/休廊日は月曜(祝日の場合は翌日)/入場は無料




