日本で約40年にわたって活動し、家具やテキスタイルのデザインで知られるノエミ・レーモンド(Noémi Pernessin Raymond、1889~1980年)。建築家である夫のアントニン・レーモンド(Antonin Raymond)を支えながら仕事に携わり、濱田庄司やイサム・ノグチら多くの芸術家と親交を結んだ。日本の暮らしに息づく美や、伝統的な空間と生活文化の価値を深く理解し、建築やインテリアの分野で数多くの作品を残している。
ノエミの仕事は、アントニンの建築や日本の風景と調和しながら、日常の空間に芸術的な彩りを添えるものだった。その役割は主にインテリアデザインに限られるとされてきたが、実際にはレーモンド設計事務所による建築作品全般に深く関わり、自ら住宅設計も手がけていた。
「GALLERY A4」で開催される本展では、ノエミが住宅設計において用いた手法に着目し、当時の日本の建築デザインに与えた影響を考察する。見どころは、建築設計からインテリアまでを一貫して手がけた港区の「旧カニングハム邸」(1954年)、および大田区の「旧伊藤邸」(1963年)を、貴重な写真資料や図面とともに詳しく紹介する点。また、ノエミがデザインしたテキスタイルや習作、スケッチブック、自画像などの実物資料も多数並ぶ。
さらに、オリジナルの家具をはじめ、椅子やテーブルなども紹介されるほか、「旧伊藤邸」の暖炉回りを実寸大で再現し、ノエミによるファイヤーツールも併せて展示される。近年公開され話題を呼んでいる武蔵野市にある「旧赤星鉄馬邸」(1934年)を含め、レーモンド設計事務所による住宅や教会建築など約14事例も紹介予定だ。
※10〜18時(土曜・6月18日は17時まで)/休館日は日曜・祝日・/入場は無料







