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「ミシュランガイド京都・大阪2026」発表、関西ガストロノミーが新章突入

「柏屋 大阪千里山」「La Cime」「幽玄」などが二つ星を獲得

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Kaori Funai
Food Editor/ Writer
ミシュランガイド京都・大阪2026
ⓒMICHELIN
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「ミシュランガイド京都・大阪 2026」が発表された。17年目を迎える同ガイドは、2025年の「2025年日本国際博覧会」(大阪・関西万博)を背景に、食と旅の熱気に包まれた関西の一年を反映。地域に根差した食文化の躍動とともに、世界からの視線が集まる現在地を示す内容となった。なおミシュランは現在、公式アプリなどデジタルでも情報提供を行っている。

2026年版では、三つ星は京都・大阪合わせて9店が掲載。京都では「瓢亭」「一子相伝 なかむら」「祇園 さゝ木」「菊乃井本店」「未在」に加え、「美山荘」が二つ星から昇格。大阪では「太庵」「HAJIME」「柏屋 大阪千里山」が三つ星を維持した。京都・大阪版において新たな三つ星が誕生するのは、6年ぶりとなる。

中でも「柏屋 大阪千里山」の主人・松尾英明は、後進育成や業界への貢献が評価され、「メンターシェフアワード」も受賞した。

二つ星には新たに5店が加わり、全体で31店。一つ星は計139店、そのうち12店が新たに選出されている。詳細は公式ウェブサイトで確認できる。

また、「タイムアウト大阪」が選出する「大阪で行くべきレストラン100」に名を連ねる店も多数掲載され、ローカルとグローバル双方の評価軸が交差する結果となった。

柏屋 大阪千里山(三つ星・日本料理)

大阪・千里山にある日本料理の名店。茶懐石を基盤に、季節の移ろいを繊細に映す料理で国内外から高い評価を得ている。主人の松尾英明は三つ星について「まだまだやりたいことがあります。若い世代に技術と考え方を伝えていきたいです」と語る。

柏屋 大阪千里山
画像提供:柏屋 大阪千里山

さらに「メンターシェフアワード」の受賞については、「60歳を過ぎ、食材環境や業界の在り方にも目を向けている。おいしさだけでなく、持続可能性も含め、若い料理人とともに実践し、次世代へつないでいきたいです」とコメントした。

ミシュランガイド京都・大阪2026
ⓒMICHELIN

La Cime(二つ星・フランス料理)

独創性あふれるフランス料理で大阪を代表する一軒。今回で11年連続の星獲得となった。

La Cime
Photo: Jun KozaiLa Cime

オーナーシェフの高田裕介は「やることは変わらず、積み重ねていく」としつつ、「3つあるんだから、もう1つ欲しいですね」とさらなる高みへの意欲ものぞかせた。

幽玄(二つ星・日本料理)

「幽玄」は、素材と向き合う端正な懐石料理と、温もりを感じさせるもてなしで評価を重ね、2025年に初獲得した二つ星を今年もキープ。店主の三船桂佑は「日本の歳時を映す料理が僕の信条です」と語り、茶懐石で培った美意識を献立に重ねる。

幽玄
画像提供:幽玄

懐石コースの主役に据えているのは、華やかな一皿ではなく、手仕事の積み重ねが問われる「八寸」。揚げたて・焼きたてを貫き、端正な中にも確かな温度を感じさせる仕立てを意識している。その潔さに、この店の自負がにじむ。

milpa(一つ星・メキシコ料理)

メキシコの食文化を深く掘り下げ、現代的に表現するレストラン。関西における、メキシコ料理の新たな地平を切り開く存在だ。

オーナーシェフは、ウィリー・モンロイ(Willy Monroy)。日本の移ろう季節を、食材として取り込みながら、メキシコ料理へと昇華していく。その発想自体は珍しくないが、「milpa」の場合、軸にあるのはあくまでメキシコの食文化そのものへの深い敬意だ。

milpa
画像提供:milpa

自国の風土や記憶に根ざしたストーリーがあるからこそ、異なる文化との融合も揺らがない。そのバランス感覚は、日本のガストロノミーシーンにおいても希少な存在といえる。

ファインダイニングとしての表現力を磨きながら、一方でタイムアウトマーケット大阪(Time Out Market Osaka)の「覇王樹 タケリア」や、「milpa」の並びに店を構える「Saboten Tachinomi」では、タコスという親しみある料理を独自にアップデート。日常の延長線上でメキシコの食文化に触れられる、その間口の広さもまた大きな魅力だ。

agnel d'or(一つ星・フランス料理)

安定した技術と表現力が光る「agnel d'or(アニエルドール)」。オーナーシェフの藤田晃成は、クラシックを基盤にしながら、軽やかで現代的なフランス料理を提供する。安定した技術と表現力が光り「日本の風土をどう皿の上に表現するか」を問い続けている。

agnel d'or
画像提供:agnel d'or

そのアプローチは、「ゆべし」や「あけがらし」といった伝統的な発酵調味料をソースに溶け込ませるなど、日本の味覚を静かに重ねていくもの。フランス料理の輪郭を保ちながらも、どこか懐かしさを感じさせる余韻が印象に残る。

2024年にリニューアルした、禅を意識したミニマルな空間も象徴的だ。装飾を削ぎ落とした静けさの中で、料理と向き合う時間そのものが研ぎ澄まされていく。技術と思想、そして空間が一体となって、「今の日本のガストロノミー」を体現する一軒といえる。

関西の食は、今確実に次のフェーズへと進んでいる。伝統を守りながらも更新を続ける京都と、多様なジャンルと人材が交差し、新たな価値を生み出す大阪。とりわけ大阪は、大阪・関西万博を契機に世界からの視線を強く引き寄せる「食のハブ」としての存在感を一層高めている。老舗から新鋭までが同じ舞台で評価されるこの街のダイナミズムこそ、今の関西の面白さだろう。

次に星をつかむのはどの店か。その答えは、すでにこの街のどこかで、静かに火を灯し始めている。

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