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2025年9月1日(月)、人形町に「ソイル ニホンバシ ホテル(SOIL Nihonbashi Hotel)」がオープン。ソフトデベロッパーのStapleが手がける3つ目のホテルで、4タイプ14室の客室を備える。
設計は、武田清明建築設計事務所が担当。地域ならではの園芸カルチャーに着想を得て、建築やインテリアには植物や鉢植えのモチーフを随所に取り入れている。さらに、オリジナルのシャンプーやルームライトといったプロダクトを展開し、天然酵母を使ったピッツェリアも併設。ユニークさと温かみが共存する、アットホームな雰囲気が魅力だ。
本記事では、スタイリッシュかつローカルな温かみあふれる同ホテルの魅力を、Stapleの理念とともに紹介する。
ローカルスタンダードを追求

同ホテルを手がけたStapleは、今年創業8年目を迎えた若い企業だ。建築や飲食経営など各方面のプロフェッショナルが社内に集まり、そのまちに根付く文化や歴史を生かしたホテルや飲食店、コワーキングスペースを企画・運営する。
今回の舞台は人形町。かつて米屋だった場所にホテルを開き、人々が再び集う場へと生まれ変わらせた。

ホテルの構想段階では、スタッフが実際に人形町に移住。町内会への参加や、地域イベントでの協働などを通して、地元住民との連携や地域への理解を深めていったという。
また、ラグジュアリーホテルではどの場所でも同じクオリティーのサービスを提供する「グローバルスタンダード」の考え方が主流だが、同社はその場所の特色である「ローカルスタンダード」を追求。施設を通じてどうその場所に貢献するか、魅力を表現するかを第一にプロジェクトを進めた。
下町の園芸カルチャーから広がる人情

スタッフが地域についてリサーチする中で、人形町の園芸カルチャーに着目。この地域では庭先で無数の鉢植えの植物を育てる文化が活発で、育てられている植物の種類は地域全体で100種類にも及ぶ。また、近所同士で植物を株分けし合うなど、園芸で地域がつながっていることも魅力だ。

この文化をスタッフたちが「路地裏園芸」と名付け、ビジュアルのメインモチーフとした。赤茶色のテラスが各階に設置され、建物全体が鉢植えのような形になっている。客室にも、近隣住民から分けてもらったアロエやマツ、コチョウランなどを展示。社内のデザインチームが制作した鉢やトイレットペーパーのホルダーなどのオリジナルのプロダクトも、路地裏園芸から発想を得た。
ルームフレグランスや、米の成分でできたシャンプーとボディソープもオリジナルで制作し、細部にまでアイデンティティーが詰まっている。
SOILの精神を表す「とんかつビュー」の客室

2階にある、スタッフいちおしの部屋「Studio Queen」。ホテルの向かいにあるとんかつ屋の看板が見える、通称「とんかつビュー」の部屋だ。
滞在のノイズとして街並みを遮断してしまうのではなく、部屋の面白みとして取り入れる。ホテルの非日常的な空間にいながらも、街とのつながりを大切にする同ホテルの精神がこの部屋に現れている。

タネを分かち合うピザ店が入居

ホテルの1階には天然酵母のピッツェリア「ピザ タネ(Pizza Tane)」が入居。系列店のベーカリー「パークレット(Parklet)」で3年かけて大切に育てられてきた日本橋産の酵母を受け継ぎ、独自のサワードウ生地を開発した。うまみがギュッと詰まった生地の上には、旬の野菜のピュレやローストをたっぷりとトッピングし、彩り豊かなグルメピザに仕上げる。

モーニングは宿泊者限定だが、ランチとディナーは一般客も利用できる。ディナータイムにはコーンとブルーチーズのピザや、赤パプリカとペパロニのピザなど4種類のピザがラインアップ。テイクアウトにも対応し、ポイントをためるとお得にピザを食べられるので、気軽に通いたくなるだろう。
ゲストとして来て「ご近所さん」になって帰っていくホテル

同ホテルには、すでにロシアやベトナムをはじめ、海外から多くの予約が入っているという。ホテルを作る際に掲げたスローガンの一つが「Come in as a guest, leave as a neighbor.」。旅行者としてホテルを訪れた人が滞在を通じて「ご近所さん」のような存在となった後に、それぞれの場所へと帰り、同時にゲストにとって「いつでも帰ってこられる場所」となっていくのだ。
路地裏園芸の株分けのように、ホテルでの体験が人から人へと受け継がれ、SOILのホスピタリティーは世界に広がっていくだろう。
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