インタビュー:EXP EDITION

韓国人のいないK-POPグループは、なにを目指す?

テキスト:
Kunihiro Miki
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ニューヨークで結成され、2017年4月に韓国でデビューし、メンバーに韓国人が1人もいないK-POPグループとして話題を集めたEXP EDITION。初の来日公演が2018年5月2日(水)に行われる。このユニークなグループを構成するのは、日本人とドイツ人のハーフの光希、ポルトガル人のフランキー、アメリカ人のハンター、クロアチア出身のシーメの4人だ。グループは、元々は大学院に通う女学生が論文を書くために試験的に作られたものだったが、反響の大きさから本格的な活動に発展していったという異例の経歴を辿ってきた。現在はソウルに拠点を移し、韓国の音楽市場で奮闘している彼らに、メールインタビューを行った。

K-POPの定義は変わり続けるでしょう

―K-POPに興味を持ったきっかけと、バンド結成の経緯を教えてください。

シーメ:初めてK-POPのビデオを見た時は、驚きと衝撃でいっぱいでした。音楽、ビジュアル、振り付け、ファッションなどすべてがパーフェクトだったからです。ニューヨークに住んでいたため、時々韓国人街に遊びに行ったりもしていました。ここ数年でK-POPは世界的な音楽ジャンルのひとつとして大きく成長しました。街中でK-POPを耳にしたり、アメリカのラジオから流れてくるのには驚かされますね。

EXP Editionはもともと、ボラ・キムという韓国人がコロンビア大学でのMFA論文作成のために生み出したグループです。ボラは、韓流ブームの中で韓国人がいない初のK-POPグループを結成して文化的現象を探り、ドキュメンタリーとしてグループ結成に至るすべてを記録したのです。そうすることで、文化的な融合やジェンダー、ファンの世界といったトピックといかに繋がりを持つかということについて知ろうとしたのです。グループ結成の当初から記録や映像が残っていて、ボラのドキュメンタリー作品は今も制作中なんですよ。

―韓国人のいないK-POPグループという形態は非常にユニークです。それゆえに批判もあったと聞きますが、あなたたちにとってK-POPの定義とはどのようなものでしょうか。

フランキー:よく「アメリカ人だけのK-POPグループ」と間違われるけど、シーメはクロアチア出身で、光希は香港生まれの日本人です。僕はアメリカ育ちのポルトガル人です。僕らがデビューした時、韓国人メンバーがいないK-POPグループということで皆は驚きました。初めてのコンセプトだったからです。 僕らを温かく受け入れてくれた韓国の人たちには頭が下がる思いです。

僕らはデビューしてからずっと、K-POPの「定義」に関する話題の対象になってきました。 K-POPもほかのジャンルと同様、時間と共に内容が変わってきていますが、なにか特徴をあげるとしたら、主にメンバー数が多いことと精密なダンス、そして韓国の事務所と契約していることです。

僕らはすべての曲を韓国語で歌い、韓国の事務所と契約を結び、韓国に住み、K-POP業界で活動しています。毎日欠かさずトレーニングをし、韓国語の習得にも力を入れています。K-POPは僕たちの人生となりました。K-POPというジャンルは変化し続けK-POPの定義も変わり続けるでしょう。

どんな制限や限界も設けるべきではありません

―音楽を通して、観客に何を伝えたいですか。

光希:EXP EDITIONは不可能と思えることを追求するというアイデアから生まれました。ですから、僕たちのストーリーを聞き、パフォーマンスを見た人たちが、かつては叶えられないと思っていた夢や目標を追求してくれると嬉しいです。

―韓国の音楽市場で活動してみてどうですか。所属しているのが大手芸能事務所ではない分、自由があると感じますか。

ハンター:K-POP業界は確かにアメリカのポップス業界とは少し異なります。僕たちは実際に韓国に住んで活動していますが、ここは驚くほど秩序があり、皆が勤勉でプロフェッショナルです。自由に関して言うと、ラッキーなことにチームとは協力しあう関係が築けています。とても家族的な雰囲気なんです。事務所も僕たちを信用してくれています。

―特殊なグループであるがゆえに、活動に関して限界を感じることはありますか。

シーメ:限界があるという考え方は好きではありません。自分の目標や夢に向かう時、どんな制限や限界も設けるべきではありません。僕たちがニューヨークで活動をスタートさせた時、自分たちがこの先韓国に住んで、大きなK-POPの舞台で単独公演をしたりテレビに出演できるとは夢にも思っていませんでした。夢は諦めちゃ駄目だよ!

僕たちの存在はK-POPファンの間で多くの議論を巻き起こしてしまったけど、それは主に英語を話す国際的なK-POPファンの間でのことです。韓国の皆さんは僕たちを温かく迎え入れてくれて、本当に感謝しています。

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上達すれば韓国語で曲を書きたい

―メンバー全員、韓国語が堪能なのですか。作詞作曲する上でもっとも難しい点を教えてください。

フランキー:この2年間、集中的に韓国語を勉強してきました。韓国語は非常に難しく、随分と上達したと思います。多くのインタビューやライブショーをすべて韓国語で行ってきましたが、その都度、事前の準備と練習に時間を費やしました。挑戦することはたくさんありましたが、特に歌う時には完璧な発音を求められるため大変でした。いつもは英語で歌詞を書いてから韓国語に翻訳しますが、韓国語がもっと上達すれば韓国語で曲を書きたいと思っています。

―最近、世界の音楽業界に大きな影響を与え続けているBTSのような韓国のグループに対しては、どんな印象を持っていますか。

光希:BTSやBig Bang、Got7、Seventeen、Jay Park、Amber Liu、Kris Wuといったたくさんのアーティストの世界的な活躍には、目を見張るものがあります。彼らは今後も世界に影響を与えていくでしょう。僕たちもそんな影響力を持ちたいと願っています。

―国際的な音楽市場で見ると、J-POPはK-POPのように大きな影響力を持っていると言い難いです。J-POPについてなにかアドバイスをもらえませんか。

光希:Jポップ、Kポップとも高品質な音楽を生み出しています。一方がもう一方より優れているという訳ではなく、ただ異なるだけです。僕らはまだ新人なので、アドバイスを与える立場にあるとは思えません。まだ未熟で学ぶことが多いと感じています。ですが、いつか自分の考えを伝えることができればと思っています。

―間もなく来日公演が行われます。東京観光の予定は?

ハンター:もちろん、チャンスがあれば東京をできるだけ見て回りたいと思っていますよ!浅草寺には以前行ったことがあるけど、その時に行けなかったほかの寺もぜひ訪れたいです。日本のストリートファッションが大好きなので、クールなビンテージクローズのショップを見て回るよう友達にアドバイスをもらいました。掘り出し物を探すショッピングがしたいですね。それと、卵が乗ったおいしいラーメンも食べたいと思っています!

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