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イラストレーション:Haruna Nitadori

The Hot Seat:藤原ヒロシ インタビュー

7月11日にシングル『この先に』をリリースしたばかりの藤原ヒロシが語る。

テキスト:
Time Out Tokyo Editors
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インタビュー 東谷彰子

30年くらい前に僕が東京に出て来たときも、すでにラフォーレとかがあって、ああいう大きいところもありつつ、カフェ・ド・ロペみたいな小さい喫茶店もあって。ちょっと裏に入ると小さいお店がたくさんあるっていう、コントラストがおもしろかった。

― タイムアウト東京では、『渋谷でしかできない101のこと』というマップを作ったんですが、“原宿でしかできないこと”で何かオススメはありますか?

藤原:人それぞれに好みがあると思うけど、僕は毎日通る道が決まっていて、小さい裏道を使って、雨に濡れないように事務所から次の事務所まで行ったりしています(笑)。それには秘密の鍵が必要なんですけどね(笑)。表参道ヒルズの中を抜け道として使ったりしています。

まぁ、仕事の半分くらいが打合せだったり、人と会うことなので、いろいろなところでお茶をするんですが、僕にとって原宿は、お茶をするところがたくさんある場所ですね。

― おすすめはどこですか?

藤原:最近すごく良かったのは、東急プラザですね。あのビルのデザインは最悪で大嫌いですが、屋上がすごく良かったです。ハンモックとか鳥小屋なんかもあって、たまに行きますよ。

― 移動は徒歩ですか?

藤原:歩いたり、自転車ですね。でも、日本って、道を覚えづらいですよね。道に名前がないから。キャットストリートとかは後でつけられたけど、小さい道に名前がないじゃないですか。ロンドンとかは全部、道に名前がついているから、その名前を言えばわかるけど。日本は建物だったり、お店だったりを目印に動かないといけないから、難しいですよね。でも、そういう意味では、原宿は入り組んでいるので、面白いですよ。竹下通りから東郷神社に抜けるような小さな道とか、クエストホールのあたりから竹下通りに抜けるちょっと坂になった道とか、好きですね。

― 原宿以外に好きな街はありますか?

藤原:山谷とかも行きますよ。

― 何をしに?

藤原:見に。あと、食べに。あの辺りには、24時間やっている食堂があったりして、面白いですよ。今は随分きれいになりましたけど、朝早くからやっていて、午前中に終わっちゃう寿司屋とかがあって、そこは一度行きたいんですよね。トロ 70円。なかなか行こうよって言っても、一緒に行ってくれる人がいないんで(笑)。企画で行きましょうよ。『山谷でしかできない101のこと』(笑)。

― 7月11日(水)にはマキシシングルがリリースれましたが、震災のあとに作られた曲だそうですね。

藤原:ちょうど震災がおこってすぐに書いた曲なんですが、肯定的でも否定的でもない。震災以降にがくっと変わったことっていうのは、あんまりないんです。でも、別れをつげないといけないこともあるなって、自然に思ったことを歌詞にしました。

僕はすごい反原発論者でもないし、かといって原発推進でもないんですが、本当に現実というか、リアルにどうなっちゃうんだろうなって思います。

― 震災後はライブもやられていましたね。

藤原:本当に、皆がそれぞれできることをやるのが良いと思っていて。5月のライブはスターバックスのツアーだったんですが、「やらせてください」って思いましたし、等身大でできれば良いなって。無理して自分の仕事を休んでまでボランティアに行く必要は、僕はないと思うし、その人のやっている仕事がメインなのであれば、その仕事で得たお金を募金するのも良いと思うし、だから、何でもできる時にできる人がやれば良いと思っています。僕も、できる限り自分のペースは崩さずに、できるだけいつも通りにすることをしていましたね。淡々と本当に、自分のできることをやっていくのが大事ですよね。

― 今回はシングルですが、アルバムを出す予定はありますか?

藤原:まだどこで出すか、どこが予算を出してくれるか(笑)、はわからないですが、今、アルバム用にほとんど書きおろしで制作中です。

ここ何日か話題になっている佐久間さん(音楽プロデューサー・佐久間正英)のブログは面白いですよね。バジェットうんぬんの話とか。僕はなんとなくわかります。昔は、プリプロっていう曲作りの前の段階も、レコード会社がスタジオをとってやってくれていたことがあるんです。今は、パソコンとかが進化して、それを自分の家でやるようになったりしていますが、かといって、そのお金がこっちにおりるわけではなく、どんどん減っている。その流れをずっと見ていたので、やっぱり、昔から音楽を大きいスタジオで録っていたりする人は、今は考えられない予算なんだろうな、って思います。僕は、両方の意見がなんとなく、ちょっとずつわかります。

― 両方わかってしまうと大変ですか?

藤原:いや(笑)、低予算でやりましょうよ、って。変な話、売れちゃえば、良いわけで。いくら予算が削られてるって言っても、たぶんミスチルはいっぱい使っていると思うんですよ(笑)。ない袖はふれないから、仕方ないと思いますけどね。

― ライブの予定はありますか?

藤原:葉山の海の家、カフェ・ド・ロペで、7月22日(日)にやろうと思っています。去年は震災でなかったんですが毎年やっているんですよ。

― そういえば、今回のシングルでダブバージョンが入っていましたが、あれは藤原さんの古いファンにとっても嬉しいと思うんです。 オフィスでかけていたら、イギリス人のエディターが、“カントリーダブ”と表現していました。

藤原:AOEQでは、本当にアコースティックなものでやっていて。僕の次のアルバムは、今まで僕が聞いてきた音楽を全部ミックスできれば良いと思っているので、それの第1弾ですね。アルバムの中には、ハウスっぽい曲があったり、いろんな感じのものが出てくると思います。シングルでは、ダブを1曲目にしましょうって言ったんだけど、ダメだって言われました。素直にいきましょう、って(笑)。 

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