東寺から延びる東寺道から細い路地を入った先にある銭湯。木造3階建てにも見える商家のような姿で、水色や紺のレンガタイルが目を引く。のれんをくぐって中に入ると、1928年建造の脱衣所が現れる。
寺院などで見られる角材を碁盤の目に組んだ「格(ごう)天井」、凹凸のあるダイヤガラスを用いた木造のロッカー、京都の銭湯以外ではお目にかかる機会の少なくなった柳行李(やなぎごうり)の脱衣かごなど、歴史ある空間に昔ながらの調度品が大事に使われている。映画『マザーウォーター』(2010年)のロケ地に選ばれたのも納得。天井が高く実に開放的なのも気分を上げてくれる。
浴室は改装されて清潔感があり、電気風呂を備えている。男湯ではライオンの口から水が流れ出る、京都名物・地下水かけ流しの水風呂も楽しめる。
有料の貸しタオルや石けん、シャンプー、リンスもあり、思い立てば手ぶらで立ち寄れる。京都の銭湯の料金は、550円(税込み)。旅先で昭和気分に浸りながら湯浴みを満喫できるなら、破格の安さではないだろうか。入浴記念に、1枚ずつ手染めされたオリジナルの手ぬぐいを買い求めてみては。