今年のフジロック、最終日だけでも行くべき理由

テキスト:
Kunihiro Miki
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例年以上にチケットの売れ行きが快調の今年の『フジロック』。初日の1日券が早々と売り切れ、7月上旬には3日通し券と2日目1日券も完売。二日券も売り切れで、残すは最終日の1日券のみという状況だ。

トム・ヨーク、ジャネル・モネイ、ケミカル・ブラザーズ、シーア、エルレガーデン、マーティン・ギャリックス、レッド・ホット・チリ・パイパーズ……これら全てが観られないなら今年は参加を諦めよう、と考えている人もいるかもしれない。だが、今年の『フジロック』最終日のラインナップを見逃してしまうのはあまりにもったいない。今からコンビニに行って最終日の1日券を買うべきだ。なぜなら、この日の『フジロック』は、過去最高に、いや世界でも類を見ないほど世界各国の多様な音楽がそろう、音楽の祝祭と呼ぶにふさわしい一日になっているのだ。

これまでもアフロ、ラテン、レゲエ、カリプソ、メスティソなど、世界各国の音楽をラインナップに散りばめ紹介してきた『フジロック』。今年の最終日のラインナップは、そうした『フジロック』の体質と、アジア各国の音楽にかつてないほど注目が集まっている世界のトレンドがうまく融合した内容になっている。タイムテーブル順に、注目アーティストを紹介しよう。

ハンガイ(モンゴル)


まずは、メインステージであるグリーンステージのトップバッターとして登場するハンガイ(HANGGAI)。北京でパンクバンドのT9楽隊を率いていたイリチが、生まれ故郷であるモンゴルの伝統音楽と出合い、ホーメイや馬琴頭を操ることができるメンバーと結成したバンドだ。 

渋さ知らズオーケストラ(日本)

奥地のステージ、フィールド・オブ・ヘブンのトップバッターは日本の渋さ知らズオーケストラ。2012年のオレンジコートのトリを飾ったあの神がかった狂宴から実に7年ぶりの出演だ。百聞は一見にしかず。カマシ・ワシントンなどの壮大なジャズを好む人にもぜひ観てもらいたい。

ザ・パラダイス・バンコク・モーラム・インターナショナルバンド(タイ) & Monaural mini plug

2017年にはDJユニットのSOI48が出演したが、今年はさらにタイの音楽がフィーチャーされる。カフェ・ド・パリに出演するMonaural mini plugは、タイの人気ピン奏者テック・ラムプルーンから手ほどきを受けた日本唯一のケーン・ピンプラユックバンド。いなたいグルーヴが癖になる。

続いてフィールド・オブ・ヘブンに登場するザ・パラダイス・バンコク・モーラム・インターナショナルバンド(THE PARADISE BANGKOK MOLAM INTERNATIONAL BAND)は、タイの著名なDJ であるマフト・サイがプロデュースを手がけるバンド。イサーン地方やラオスの伝統音楽である「モーラム」にジャズやブラックミュージックのエッセンスを融合させ、『グラストンベリー・フェスティバル』へ出演するなど国際的にも高い評価を得ている。同ステージのトリを務めるクルアンビン(KHRUANGBIN)もタイの音楽に多大な影響を受けたバンドで、『フジロック』が忍ばせたこの裏テーマを楽しみたい。

 

インタラクティーヴォ(キューバ)

夕方のホワイトステージを陽気に盛り上げるのは、昨年から連続の出演となるキューバのインタラクティーヴォ(INTERACTIVO)。キューバ出身のピアニスト/ヴォーカリストでニューヨークのジャズシーンとキューバをつなぐキーマン、ロベルト・カルカセスが率いる、新世代のカリビアンジャズを体現したバンドだ。進化を続ける彼らのライブは見逃し厳禁。



ヒョゴ&ナイト・テンポ(韓国)

昨今は世界の音楽シーンでも大きな存在感を放っている韓国からは、ヒョゴ(HYUKOH)とナイト・テンポ(Night Tempo)が登場。アメリカにも日本にもないヒョゴの繊細で巧みなバンドサウンドは、韓国音楽を未体験の人にこそ聴いてもらいたい。夜のレッドマーキーに出演するナイト・テンポは、日本のシティ・ポップを再構築するフューチャー・ファンクというシーンの代表格。過去に何度かクラブでの来日公演は行っているが、シティ・ポップの国際的な人気が最高潮に達しているこのタイミングでの『フジロック』出演は、ひと味違った盛り上がりを見せるはずだ。

そのほかにも、アップデートされたアフロファンクを鳴らすヴォードゥー・ゲーム(VAUDOU GAME)や、古今東西のレアグルーヴを吸収し最新作の『Atlantic Oscillations』で新境地を見せた異能のプロデューサー クァンティック(QUANTIC)、すでに今年の海外フェスではそのパフォーマンスに賞賛が集まっているイギリスの新鋭バンド、コメット・イズ・カミング(THE COMET IS COMING)など、枚挙にいとまがないほどに最終日のラインナップは刺激的だ。開催まであと1週間、ライブストリーミングで家フジロックもいいが、とりあえず予習をしてみることを勧めたい。

『Fuji Rock Festival』の詳しい情報はこちら

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