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豪徳寺駅から北へ延びる「山下商店街」は川のように蛇行しており、まるでそのほとりに連なるように魚や鶏、肉、パンの店などが点在する。のぞきたい誘惑にかられながら歩を進めると「赤堤通り」に出合い、その角を曲がったところに食をテーマにした「皿書店」がある。
オープンしたのは、2025年4月。元はブティックだった店のたたずまいは街の風景にすっかりなじみ、早くも感度の高い豪徳寺の人々の胃袋ならぬ「本欲」をつかんでいるようで、常連もいるという。
20代で店主となった関秀一郎は、書店を志した時、食通として知られた開高健の憧れもあり、自分らしい店をと食にこだわった店にしようと決めた。現在は1500冊ほどの蔵書を抱える。「食の本」というとレシピ本が思い浮かぶが、さにあらず、食文化や歴史、食のエッセーなどが中心。扱うのが古書とあって、掘ればいろいろなものが出てきそうだ。
取材時にあった『冷蔵庫』は、島尾伸三の妻であり写真家でもある潮田登久子がさまざまな家庭の冷蔵庫を撮影した一冊。『缶詰の中身の研究』はそのまま、缶詰とその中身がこれでもかと続く、需要があったのかなかったのか分からない昭和のカタログ本である。外国語のレシピ本もあり、偶然やってきた訪日外国人が買い求めることもあるという。
客から本を教えられることも多いそうで、今後どんな食の本の世界が展開していくのか楽しみである。老舗や名店の多い商店街の食事や買い物とセットで訪ねてみては。
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