古来、日本各地で作られてきた郷土玩具を扱う店。現在よりもっと地域の特色が強かった江戸時代や明治時代には、それぞれの風土に根付いた材料や文化、信仰に基づいて、個性あふれる郷土玩具が製作されていた。
店内に置かれた県別の玩具を見ると、取り上げる動物も異なれば、衣装の色も、デザインも異なり、地域色の豊かさを感じられるだろう。しかし、それを初めて手にした時の子どもたちのほころぶ顔は、全国どこでも共通のものだ。歳を重ねた大人たちも、手のひらサイズのかわいらしい玩具には、思わず目を細めてしまうだろう。
伏見稲荷の土産として売られていた日本の土人形の祖といわれる「伏見人形」や「福助」、「招き猫」、お守りにもなった「土鈴」など、子どもたちの健やかな成長や商売繁盛、家内安全を願う縁起物も多い。インテリアとして家にあれば、癒しグッズにもなる。所狭しと並ぶ人形に、あれもこれもと手を伸ばしたくなるので、蒐集癖のある人には注意を促しておく。