「スカイ ザ バスハウス(SCAI THE BATHHOUSE)」で、高い完成度を追求する具象彫刻に一貫して取り組んでいる彫刻家・鈴木友昌の新作群を発表。その土地・社会で出合う「モデル」にこだわり、リアルへの忠実さを軸に制作を重ねてきた鈴木が今の東京を切り取る。
服のしわ、シャツのボタン、アクセサリーといった細部にまで神経の張り巡らされた、ファッショナブルで個性的な木彫像は、現代美術的文脈において異彩を放つ。「ファッションを切り口に現代を捉えようとしてきた」と鈴木自身が語るように、流行をまとう彼らの姿とその精緻なディテールは、近距離で観察のまなざしを向けた途端、木の繊維のざらつきとともに眼前に立ち現れる。
展示室に点在する4体の像は、日本のカルチャーに憧れ、あるいは失われた民主主義を求めて東京に集った若者たちの、縮尺された写像を含む。そして、東京という大都市の「今」を、鮮烈な現実感とともに鑑賞者に訴えかけるだろう。
また、台座なしで作品を空間に置く実践は、建築と彫刻、または鑑賞者との関係を再構成する試みでもある。その配置は、視線を交わすことのない孤立した人物たちを通じて、都市の中で埋没し、孤独に生きる我々自身の姿を映し出すかのようだ。
※12〜18時/休館日は日・月曜・祝日/入場は無料