ソウル国立大学美術学校卒業後、ミュンスター芸術アカデミーで学び、ドイツを拠点に活動してきた、イ・チャンウォン。イは視覚的な面白さを巧みに用いたトリッキーな作品を通して「見る」という行為に対する問いかけを行う。
今回出品する“パラレル・ワールド”は、写真の切り抜きを使った作品で、切り抜いた空白部分に鏡と光を当てることによって、躍動感のあるシルエットが壁に映しだされる。しかし素材となっている新聞や雑誌の報道写真には悲惨な場面も多く、紛争地域で倒れた人のシルエットが切り抜かれたものもある。無邪気に遊ぶシルエットの裏に悲劇が隠されていることに気づくとき、見ることの仕組みとその危うさに気付くだろう。