京都を象徴するランドマークの一つ、「東寺」。もとは平安京遷都に際し、都の南側の玄関「羅城門」の東に建造された「官寺」であり、唯一現存する、平安京の遺構だ。対を成すように西側には「西寺」があったが、衰退した。東寺は嵯峨天皇の時代に空海に下賜(かし)され、密教の根本道場となった。密教はここから広まっていったのだ。以来、真言宗の総本山であり、正式名を「教王護国寺」という。
この寺のシンボルは、京都の絵はがきなどに必ず登場する「五重塔」。高さ55メートルを誇る、日本一高い木造建築だ。何度も焼失したがそのたびに再建され、現在のものは江戸時代に徳川家光の寄進によって蘇った。
JR東海の「そうだ 京都、行こう。」のキャンペーンで紹介されているように、春には桜、秋には紅葉に見事に彩られる名所である。弘法大師・空海の月命日である21日には毎月、骨董、古道具から食品、食材など1000店以上が出店する「弘法市」が開催され、大勢の人で賑わう。
五重塔をはじめとした建築、仏像、曼荼羅と国宝や重要文化財が多数あり、1200年の歩みの中でエピソードにも事欠かない。京都駅に近いからと新幹線乗車前に訪ねると、見どころが多過ぎて乗り遅れそうになるかもしれない。余裕を持って訪ねてほしい。