1. LVDB BOOKS
    画像提供:INSECTS
  2. ヤマストア
    画像提供:INSECTS
  3. タカムラワイン&コーヒーロースターズ
    Photo: Kisa Toyoshima
  4. デイリーヤマザキ大正店
    Photo: Keisuke Tanigawa(2022年7月撮影)

大阪、好奇心を蒐集するスポット9選

ひらめきと新たな発見を求めて大阪の街に繰り出そう

編集:
Time Out Tokyo Editors
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「ご当地グルメを食べ歩きたい」「人気のアミューズメントパークに行きたい」「話題の宿に泊まりたい」など旅の目的はいろいろとあるが、その瞬間を楽しむだけでなく、これからの人生をより豊かにしたいと思うならば「好奇心を広げる旅」というものに出てみるのはどうだろう。

ここでは、ひらめきのヒントが詰まった書店やローカルブランドを積極的に扱うショップ、「河内音頭」の面白さを目と耳で楽しめる記念館など、タイムアウト東京読者の「気になる」をきっとくすぐるであろう9つのヴェニューをピックアップした。

ネット上ではなく、実際に街に繰り出すからこそ得られるインスピレーションや発見もある。さまざまな好奇心に出合うべく、大阪の地に飛び立とう。

タイムアウト東京のLINE公式アカウント『Desika:大阪でしか』の「友だち追加」も忘れずに。

  • ショッピング

ボヤージュ キッズ

新世界にあるローカルカルチャースポット。店先に並ぶのはストリートアーティスト自らが作るZINEやバッジ、Tシャツなど、ここでしか出合えないものばかりだ。

店主は、2012年から「Zine Swap Meet Camp」という一風変わった活動を行っている。軽トラックなどで全国各地に出向いてポップアップショップスタイルでZINEなどを販売し、現地で出会った仲間たちと新たなクリエーションを生み出してきた。

2015年の旅の途中、ひょんなことから大阪の新世界で開店したのが「ボヤージュ キッズ(VOYAGE KIDS)」だ。じわじわとファンを獲得し、今では、最「尖」端ローカルカルチャーの集積地としての地位を確立している。ちなみに、前述した活動風景をしおりとして束ねた「Zine Swap Meet Camp」も同店で購入できる。

また、ゆかりのあるアーティストやレーベルなどが参加したTシャツ展「TEES RUN EVERYWHERE」といったイベントを頻繁に主催。2021年末からは店の真隣に、その名も「マトナリ(matonari)」というカルチャースペースを設け、陶芸教室や手作り石けんのワークショップなどを行っている。

  • ショッピング

ヤマストア

木造の民家が立ち並ぶ中に、多数の飲食店、古着店、美容室、喫茶店などが2000年代以降相次いでオープンし、若者が集まる地域になった中崎町。キタの中心・梅田からも徒歩圏内という好立地のため、店舗数は増え続けている。

そんな注目エリアにある「ヤマストア(YAMASTORE)」は、えりすぐりの良品から斬新な商品まで、思わず笑ってしまうようなラインアップとディスプレーで楽しませてくれるセレクトショップだ。

アメリカのビンテージ古着やグッズをはじめ、ハンドメイド品、雑貨、共同経営者が展開するブランド「エアー(AIRR)」などを取り揃える。骨董(こっとう)品や民芸ブームとは一線を画し、スタッフいわく「カラフルでちょっとバカっぽいもの」を集めているという。

また「タカギリオワークス」「キューエフディー(QFD)」といったローカルブランドの商品も取り扱っており、意外な関西土産が見つかるのもうれしい。オリジナルのTシャツやパーカー、トートバッグは要チェックだ。

1点ずつディテールを見ても飽きない。思わずじっくり眺めて長居してしまうだろう。

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  • ショッピング

プランテーション

今はスマートフォン一つで世界中の音楽が聴ける時代だが、「サブスク」の外に広がる音楽の世界はもっと広大で奥が深い。ワールドミュージックという沼、その入り口にして沼底のようなレコードショップが、心斎橋のアメリカ村にある「プランテーション(Plantation)」だ。

店内には、インドネシアをはじめ、タイ、ベトナムなどのアジア圏からブラジルまで、世界中のレコードやカセットテープが並ぶ。店主はワールドミュージックが一つのジャンルとして定着する前から世界各地へ足を運び、現地で買い付けを行ってきた。独自かつ確かなセンスによってセレクトされた「音盤」の中には、国内では同店でしか入手できないものも多い。

近年特に注目しているのは「多くの音楽家が、以前からそのオリジナリティーに注目してきた」というミャンマー音楽だ。また、インドネシアの伝説的シンガーソングライター、ハリー・ルスリの名作「ティティック・アピ(発火点)」がCD化された際には、邦訳歌詞と解説を付けて同店がディストリビューションした。

付け焼き刃的な検索だけではたどり着けない、ヒップなアジアンポップスやワールドミュージックの世界。まずはこの店を訪れ、耳から旅をしてみるのはどうだろうか。

  • ショッピング

LVDB BOOKS

大阪市内でも古い住宅が立ち並ぶ町、田辺。そんなエリアには、良い飲み屋や食事処のほかに、新しい書店が近年できている。その一つが築90年を越える民家を改築し、古本をメインに、新刊も少し取り扱う書店「LVDB BOOKS」だ。

日本人アーティストの写真集、デザイン書、ビジュアルブックの充実ぶりもさることながら、欧米、アジアのアーティストによる作品集なども豊富に取りそろえている。特に台湾の写真家たちを紹介する出版社「Voices of Photography」との親交は深く、彼らの写真展なども開催してきた。

絵本、料理書、人文などの書籍に加えて、店主がえりすぐったZINEやリトルプレスも豊富。さらに詩集、超個人的な趣味性の高いもの、ほかにも音楽家が自ら作った音を入れた携帯型デジタル音楽プレーヤーとその解説書を同封したものなど、とにかくさまざまなものがある。8000以上はあるという商品が並ぶ棚は、眺めているだけでも、楽しくて時間を忘れてしまう。

関西出身の写真家である中村寛史の展示、最近さらに注目度が高まっている落語家の桂二葉の寄席など、不定期ではあるがイベントも積極的に開催。まさに「アグレッシブな書店」という表現がぴったりの店だといえる。店主の社会問題や政治に対する「アティチュード」が大いに店に反映されている点も魅力だ。

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  • ミュージアム

河内音頭記念館

伝統河内音頭継承者・河内家菊水丸を館長に2012年、開館。同記念館では、歴史や楽器などの紹介を通じて、河内音頭の普及に努めている。

河内の中心といわれる八尾市では、夏場、多くの場所で櫓(やぐら)が立ち、盆踊りとともに河内音頭が披露される。そのルーツは1600年代ごろまでさかのぼり、仏供養のために歌われ出したのがきっかけだそう。その後、時代とともに変遷を遂げ、大正時代に初音家太三郎がさらに改良を重ね、現在につながる節回しやお囃子が誕生した。

一曲のことを「一席」と呼称し、一席は前口上から枕、本題、結び口上と続くというルールはあるものの、現代の河内音頭はかなり自由で、間に演歌が入ってきたりということもあるそうだ。

展示品は館長が使用した着物、楽器。不定期だが館長の所蔵品(展示物/解説は直筆)は入れ替わるほか、CDやテープの販売も行う。展示を眺めるのもいいが、口伝で継承されている河内音頭だけに、スタッフから話を聞くのが何より楽しい。どんどん質問してみてほしい。歴史もそうだが、その面白さについても優しく教えてもらえる。

また、館長のつながりからゲストを迎える「河内音頭セミナー」も開催しており、配信にも積極的である。年末年始のほか、展示入れ替え日は休館になるので、訪れる際は事前に公式ウェブサイトを確認しよう。

  • ショッピング

堺浜シーサイドステージ・スワップミート

堺市湾岸地区の埋め立て地として知られる堺浜。物流の倉庫が立ち並ぶほか、バーベキュー施設、ドッグラン、市立のサッカー・ナショナルトレーニングセンターなどがあるエリアだ。

ここの映画館や遊戯施設の駐車スペースで2005年から開催されているマーケットが「堺浜シーサイドステージ・スワップミート」。出店数は120と堺市内最大級の規模で、朝から多くの来場者でにぎわう。出店は、業者だけでなく、家族での出店などもバランス良く混ざり合っている。

それゆえに売られているものはさまざま。古着や雑貨、羽子板といった遊び道具や調理器具など、味わいのある値打ち品が並ぶブースも多い。聞けば、常連の出店者もいるものの、大半が入れ替わるそう。毎回違った出合いを楽しんでほしい。

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  • レストラン
  • カフェ・喫茶店

タカムラワイン&コーヒーロースターズ

Osaka Metro線肥後橋駅から西へ徒歩約10分。ここはワインショップと一体化したスペシャルティコーヒーの「神殿」だ。高い天井の下、661平方メートルのフロアに80席が並んでいる。

巨大な2台の焙煎(ばいせん)機を自在に扱うのは、ヘッドロースターの岩崎裕也をはじめとする「コーヒーエリート」たち。この店には、ロースティングや抽出の全国大会で優勝や準優勝など輝かしい戦果を誇るスタッフが数多くいる。

店頭に並ぶ約30種類のスペシャルティコーヒーの大半は、世界各地のコーヒー品評会である「カップ・オブ・エクセレンス」のオークションに直接参戦し、自社でトップランクの豆を落札した名品だ。

さらに驚きは、「パナマ CCD-007ゲイシャ品種」など、100グラムの販売価格が3,000円を超える最高級豆さえも店内では450円(税込み)からハンドドリップして売る寛大さである。「トップランクのコーヒーの素晴らしさと、幸せな味わいをより多くの人々に知ってほしい」という店の言葉からは異次元の情熱を感じる。そのありがたさに浴するために大阪へ向かい、この神殿を訪れる価値は十分にあるだろう。

  • ショッピング

ここことにじゆら

「注染(ちゅうせん)」という技法で染められた手ぬぐいを販売するショップ。注染とは、一度に30〜40枚の布を染めることができる技法で、明治時代に大阪で誕生した。

店内には温かい絵柄の手ぬぐいが数多く並んでいるが、見逃せないのは大阪環状線やソウルフードなど、大阪をテーマにした商品。「旅先を持ち帰る」という心躍る体験ができるのはもちろん、大阪土産としても喜ばれること間違いなしだ。

また、同店にはカフェスペースやワークショップスペースも併設し、手ぬぐいを販売するだけではない新しい楽しみ方も提案している。ほっと一息つきつつ、カフェやコーヒーをテーマにした「ここことにじゆら」限定の手ぬぐいもチェックしよう。

 

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  • ショッピング

デイリーヤマザキ大正店

大正区を南北に走る大通り、「大正通り」沿いにあるコンビニエンスストア。沖縄県にルーツを持つ住民が数多く暮らす大正区という土地に合わせて、沖縄食材を豊富に揃えているのが同店の最大の特徴だ。泡盛やスパムなどはもちろん、ソーキ汁や「山羊汁」、沖縄風の炊き込みご飯である「ジューシー」といった沖縄ではメジャーな郷土料理のレトルト食品や調味料なども充実しており、旅先の宿で手軽に沖縄の味を楽しみたい時にも便利だろう。

デイリーヤマザキは、フランチャイズ契約者の自主性を重んじる気風があることで知られているが、ここまで地元のニーズに特化している店舗は全国でも珍しい。

店舗のオーナーは「地元の利用者の声に応えているうちに、このような商品構成になった」と話す。沖縄そばの生麺やつゆ、島豆腐やジーマミー豆腐など、賞味期限の比較的短い商品まで幅広く扱っている点からも、地元民から日常的に利用されていることがうかがえるだろう。

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