Kisa Toyoshima
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パブリックキャット 第41回

喫茶サロンの看板猫:クロ(2歳)若林のことたりぬにて

作成者: Shiori Kotaki
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テキスト:Shiori Kotaki、写真:Kisa Toyoshima

東急世田谷線『若林』駅からすぐのところにある喫茶サロン ことたりぬは、型にとらわれない自由で柔軟な営業スタイルが魅力の一軒だ。築50年の一軒家を利用した店内には、食器やバブル期のものを中心にそろえた古着、本などがずらりと並び、店内では金継ぎをはじめとした『工芸サロン』や、歴史やファッションなどにまつわる『文化サロン』といったワークショップも頻繁に行われている。いわゆる、一般的なカフェや喫茶店とはまた違った空間のため、初めて訪れる人は少し緊張してしまうかもしれない。

しかし、この緊張感に負け、店内をさっと見回して出てしまうのはもったいない。ここはまず、シナモンパウダーをふりかけた甘い『ウインナ珈琲』でも飲んでほっと一息つこう。落ち着いて店内を見回せば、お宝の一着が見つかるかもしれないし、ふと手に取った本がインスピレーションを与えてくれるかもしれない。そして、四つ足の愛らしい店員が店内を歩き回っていることに気がつくはずだ。

名前:クロ(♀)
性格:マイペースでやや警戒心が強め。なつくことはないが、もし自分の周りを自由に歩き回ってくれたら、それは少し心を許してくれた証拠
好きなこと:赤いひもで遊ぶこと。しかし最近は大人になったのか、あまりひもを追いかけなくなったそう

クロは、2歳ちょっとになるこの店の看板猫。実はもう一匹アオ(♀)という看板猫もおり、2匹は姉妹だ。店主の弦間友裕が友人の知り合いから譲り受けたという猫たちで、彼女たちは2年ほど前、名古屋からこの街にやってきた。

2匹とも店主とともに店の2階に住んでいて、気が向いたら出勤するというスタイル(うらやましい……)。アオは、クロよりもかなり気まぐれな性格のため、出会える確率はクロよりも少なく、取材をした日も、ちらっと様子を見に来たがすぐに2階に上がってしまい、自由気ままに過ごしていたようだった。

以前、店で展示を行った絵描きが描いたというクロとアオ 

まだあどけなさの残るその表情やしぐさに、きっと誰もが心をつかまれてしまうはず

クロはだいたい店のオープン準備をしている14時30分ごろ、アオは店がオープンしてから数時間経った夕方ごろに顔を出すことが多いそうだが(気分がいいときは昼頃から降りてくることもあるが、基本的には夜型)、あくまでも気まぐれでの出勤のため、毎日店に立っているわけではない。

そのため、そんな彼女たちにタイミング良く遭遇できたら、立ち上がって近付いたり、ベストな構図で写真を撮影したくなる気持ちは十分に分かる。しかし、仲良くなりたいのであれば、やめておこう。人馴れはしているものの、やや警戒心が強いので、イートインスペース側で人が立っていると、こちらにはやって来ず、1階へ降りてきてもまた2階へと逃げ帰ってしまうのだそう。

彼女たちに心を許してほしければ、高ぶった気持ちはそっと胸の奥にしまい、「あくまでも私は私の時間を過ごしているんですよ。別に気にしてませんよ」とクールな態度で椅子に腰掛け、静かに彼女たちとこの空間を共にするのがいい。そして、だんだんと慣れてきてシャッターチャンスが訪れた際には、ひっそりとそのシャッターを切って、愛らしい姿を写真に収めさせてもらおう。

クロの定位置は、一番手前のカウンター席と、パソコンの隣に置かれた椅子、そして一番大きなテーブルに設置された青色の椅子 

小学生たちを見つめるクロ。窓の外を眺めていることも多いそうで、マイペースながらもしっかり店番はしているようだ 

自ら触らせてくれるような性格ではないが、だからこそ「ちょっと慣れてくれたかも」と感じた時のうれしさは大きい。「オープン時間はだいたいこのくらい」という、ゆるっとした店の雰囲気も相まってか、なんだか不思議と自分のペースで過ごせる同店。2匹の自由気ままな看板猫と(会えない可能性もあるが)、のんびりした時間を過ごすという週末もいいかもしれない。

勤務先:ことたりぬ
看板猫になるまでの経緯:名古屋から引っ越してきた先が喫茶サロンだったことから、自然と

—ある1日のスケジュール—
14時30分 オープンの準備をし始めた頃に2階から出勤。定位置でくつろいだり、窓の外を眺めながら店番をする
20時00分 店が閉まると共に、2階にある自宅へ帰宅
 

喫茶サロン ことたりぬ
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喫茶サロン ことたりぬ

レストラン 若林

東急世田谷線『若林』駅からすぐのところにある喫茶サロン。型にとらわれない自由で柔軟な営業スタイルが魅力の一軒だ。

その柔軟さは提供されるドリンクやフードも同様で、メニューは客のリクエストを受けながら作り上げていったのだという。今現在のメニュー表には、コーヒーやハーブティー、アルコールといったドリンクのほか、バタートーストやサンドイッチといった軽食が記されているが、持ち込みや材料さえあればできる範囲でリクエストに応えてくれるそうなので、食べたいものをお願いしてみるのもいいだろう。

東京の店で働く看板猫たち

山田屋の家庭用品
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パブリックキャットシリーズ

Things to do

都内や東京近郊の店で働く看板猫を紹介するシリーズ。カフェや花屋、セレクトショップなど彼らの職場はさまざまだが、その愛らしい姿にきっと誰もが癒されることだろう。豊かな表情を収めた写真とともに、店にやってきた経緯や好きな食べ物、性格なども紹介していくので、仕事に励む姿はもちろん、彼らのマイペースな一面もぜひのぞいてみてほしい。

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