ローランズ

インタビュー:福寿満希

北参道にオープンしたカフェ ローランズは、障がい者雇用のモデルとなるか

テキスト:
Time Out Tokyo Editors
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テキスト:泉 友果子
撮影:豊嶋希沙

20175月に、フラワーショップを併設したカフェのローランズ social flower & smoothie shop 原宿(以下、ローランズ原宿)が、北参道、千駄ヶ谷エリアの一角にオープンした。店内は植物であふれ、スムージーや野菜たっぷりのランチを提供する。周囲の店と違うのは、精神的な病気や障がいを持ったスタッフが働いているということ。

ローランズは、28歳の福寿満希による情熱的なプロジェクトである。現在、ローランズ原宿の障がい枠のスタッフは約20人で、彼女の目標は、彼らに毎月最低13万円の給与を支払うこと。これは、特別な支援を必要とする従業員への国の平均給与を超える額だ。週に2030時間働き、調理、スムージーのミキシング、給仕、ブーケットの作成をしている。

年齢が若いとはいえ、福寿がビジネスを始めたのは最近のことではない。23歳の時には最初のフラワーショップをオープンし、今年オープンした原宿店は彼女にとって3つ目の店舗となる。ローランズ全体では総勢60人が働いている。都心において最初のカフェであるローランズ原宿をオープンする前から、障がい者を雇用する経験を積んでいた。

障がい枠のスタッフを雇うことに対して関心をもったきっかけは、彼女が特別支援学校を訪問した時にさかのぼる。そこで彼女は、精神的な障がいを持つ人のうち、約15パーセントの人しか仕事を見つけていないということを知った。「この衝撃は私の中にずっと残り、のちに花を扱う仕事をしたいという願いと障がい者を雇うという願いが結びつきました」。

ローランズのスタッフの何人かは、フラワーショップで働けるとは考えもしなかったという。「花のおかげだと思うのですが、ここでは彼らは、精神障がい者にとってはまれなことなのですが、平常心を保って働き続けることができます」と福寿は話した。

福寿はまた、個々のスタッフの限界に応じて作業内容を調整することの重要性を強調する。「スタッフの多くは同時並行で物事を行うのがあまり上手ではないけれども、ひとつのことに対して集中できるので、ひとつずつタスクを任せると効率良く作業できます。また、お客様の感情を汲(く)み取り、ニーズを理解するのがとても上手です」。

日本で働くということについて言えば、障がい者は福祉施設での仕事を提供されるか、障がいをもつスタッフを雇用する義務がある会社で単純作業を行っていることが多い。とはいえ、そうした仕事は必ずしも障がい者がやりがいを感じられるものではなく、彼らの社会性に与える影響も小さなものである。「多くのお客様は、精神的な障がいを持つ人がサービスしていることに気づきもしなかった、とおっしゃいます」と福寿は言う。障がいがあっても、社会とつながりながら働くことはできる。福寿のメッセージが、地域の人々を中心に届き始めているようだ。

※情報は2017年8月取材時のもの。

ローランズ social flower & smoothie shopの詳細はこちら

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