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インタビュー:Kawaii Internationalリーダー

「カワイイ」の中心は原宿?SNS?Kawaiiリーダーに聞いてみた

テキスト:
Yukako Izumi
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インタビュー:泉友果子
撮影:豊嶋希沙

「カワイイ(Kawaii)」という言葉が世界中で知られるようになって久しい。今やこの言葉の説明をする必要はないだろうが、一体海外ではどんな進化を遂げているのか、そして彼らの聖地は今も原宿なのだろうか。NHK WORLDの番組『Kawaii International』が他都市から東京に招へいした、Kawaiiリーダーの3人に話を聞いた。写真は左から、ボリビア出身のKazumi、イギリス出身のBeackii、アメリカ出身のKacey。

自分の国でどんな風にカワイイを発信していますか?

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Beackii:私の出身はマン島っていう、イギリスにある小さな島なんです。そこで育ったから、カワイイファッションにはまったく出会うことがなかった。でもインターネットで日本のファッションを見つけた時、世界が急に開けた感じで、視線が釘付けになったの。それでイギリスで見つけられるものを自分なりに組み合わせてみて、そんなことをずっとしてきた。私は最近ロンドンに移ったんだけど、そこにはもっとカワイイコミュニティーのようなものがあって、それはいいなと思ってる。ロンドンで起こってるようなことがマン島でも起きるようになるのはまだまだ先って感じ。ロンドンで日本のイベントがある時とか、コミック・コン(ロンドンで行われるイギリス最大規模のカルチャーフェスティバル)とか、あとは日本人のアーティストのコンサートがある時とかに、私達は着飾って行くんだけど、そこでみんなが日本のファッションを着てるのを見るとすごく嬉しくなる。

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Kazumi: 私の出身はボリビア。カワイイ文化やカワイイファッションが好きな人みんなを呼べるようなイベントを企画しています。ワークショップとか、ティーパーティーとか。私たちはそこで好きなものや悩み事について話し合っています。私がいつも伝えたいと思っているのは、みんなひとりじゃないってこと。ほかにも似たような人がたくさんいるってこと。そして私たちの好きなことを分かち合い、ともに発展させていくことができるということ。私の活動はボリビア国内だけじゃなくて、ほかの南米の国々にも行きます。最近訪れたのはチリです。

今付けているものは作ったものですか?

Kazumi:そう、私がいつもしようとしているのは私たちの国の文化の一部を服に取り込むこと。こういったことが私の活動のキーになっているのは、私が人々の関心を集める活動を行っているから。メディア、テレビ、ラジオ、新聞を通して、人々がどのようにボリビアのカルチャーを追っているか、それをどのように国外のファッションと融合させているかを伝える。これがメディアに受けたのは、単に外から入ってくるものを受け取るだけじゃなくて、自分の国とその文化を国民の手によって発展しているというのがうけるから。

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Kaceyさんはどうですか?

Kacey:私は生まれはカリフォルニアだけど、ニューヨークの学校に行きました。ニューヨークのカワイイファッションはもっと小さい感じのものなんだけど、大きなイベントもあるし、ロリータも以前よりはよく見られるし、時々ナチュラルで、さりげない感じのカワイイファッションのようなものも見られる。でも全体的に言って、ニューヨークにカワイイファッションは全然ない。時々、自分のプロジェクトの写真撮影のために友だちを集めるんです。グループは小さい時もあれば大きくなることもある。それでみんなでカワイイファッションを着て歩き回ると、街の人たちはそれが日本のスタイルだってことに気付く。 

情報はどのようにキャッチしてるんですか?

Beackii:私の場合は主にインターネット。インスタグラムがとても良いのは、実際の日本のファッションを見れるところ。今日私も着てる服はすごく人気。あと私は日本の雑誌も大好き。以前はネットで注文していたんだけど、ロンドンで日本の書籍を扱ってるところとかは品揃えが良くて、だから実際にそこに行って自分で探してる。

Kazumi:私もBeackiiと同じでネット。インスピレーションを得られるサイトがあるの。あとなるべく日本の雑誌を入手するようにしている。南米にはこういう雑誌を売っているところがあまりないから、日本にいる誰かに頼んで、送ってもらう。ボリビアに住む私たちは雑誌が届くのに3、4ヶ月待たされるけど、その価値はある。それからどのメディアがストリートの流行に影響を与えているか。私はストリートの人々のDIYを見るのが好き。原宿ファッションとか。こういうのが私が一番よく見るもの。あと何個かサイトがあってフォローしてる。

Kacey:ほとんど同じ。インスタグラムでフォローして、時々ツイッターとかタンブラーとか。あとニューヨークにはBooks Kinokuniya(紀伊國屋)っていう日本の書店がある。そこには最新の雑誌が多くあって、例えば『Zipper』とか『Fruits』、あと『Kera』とか。

インターネットや雑誌で情報収集をして、発信も主にオンラインでできる現在、カワイイの聖地は今も原宿ですか?

Beackii:日本の外に住むほとんどの人にとって、やっぱり原宿はカワイイファッションとカワイイ文化のアイコンのような場所だと思う。ほかにもそんな場所があるんだったら知りたい。私が今回日本に来て真っ先にしたかったのは、竹下通りに行くこと。私が世界で一番好きな場所。だからホテルに着いて、自転車を見つけて、すぐに直行した。大好きだから100回行っても飽きないと思う。

Kazumi:原宿が聖地か……私の場合、どんなカワイイを選ぶかによると思う。原宿だったらアクセサリーをたくさん使ったポップアップスタイルのファッションを見ることができる。でもガーリースタイルに興味があるんだったら、渋谷にも目を向けると思うし。渋谷はファッションの最先端。あと私は最近白塗りを始めたんだけど、これは原宿発でも渋谷発でもない。どのスタイルを選ぶかによるんじゃないかな。

カワイイといえばこの人、と思っている人はいますか?

Kacey:紅林大空さん。雑誌の『KERA』とかに出てるモデルなんだけど、彼女は超キュートで、ハッピー。いつもカラフルでかわいい。

3人とも今はそれぞれのメディアを持っていてたくさんのフォロワーがいますが、雑誌などのメディアに取り上げられたり、撮影されるのは意味があると感じますか?

Beackii:絶対そうだと思う。誰もがオンライン上で有名になれるし、何かをして認識されるようになれるとは思う。でも従来のメディアは格が高いというか、それに取り上げられることはほかと一線を画す。でも名の知れたメディアに取り上げられて、何年にも渡って国際的に注目を集めて、認識されるのはとてもいいなと思う。ともするとそれに飲み込まれる可能性もあるけど。

Kazumi:同感。単にファッションだけじゃなくてすべてにおいて。人に写真を撮られて認知されるのなら、それはその人がうまくやってるということだと思う。

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自分のメディアでは誰に発信しようとしていますか?

Beackii:私の場合はオーディエンスをYoutubeで見ることができる。メインのオーディエンスはイギリスの18~24歳と、アメリカの18~24歳。だから私がいいなって思ってるのは、私みたいな人たちと繋がれること。おそらく私のオーディエンスのほとんどは欧米の若い女性だって思うんだけど、こういう人たちはオルタナティヴの日本のファッションに興味を抱いていて、こういう人たちと何かを共有できるのはいいなと思う。

Kazumi:自分のウェブページの統計を見ていると、ああ、違うタイプのファッションが好きな人がたくさんいるなって。自分の生き方に自分の個性を反映できる人たち。

Kacey:私のはおそらく若めの大人、男性、女性かな。あと中性的な洋服のようなのもある。日本のファッションにそれほど関心を寄せていない人たちもいると思うんだけど、私のやってることを見て、私もこんなふうになりたいって思ってくれたらいいなと思う。それからアニメとかマンガの世界が好きな人たちもいるから、これから日本のカルチャーを好きになっていくような人とか、すでに大好きな人とか、幅広いジャンルの人たちって感じ。

今男性もオーディエンスにいるって言ってましたね。ジェンダレスはファッションのキーワードになっていますが、カワイイもジェンダレスになってきていますか?

Kacey:今はノージェンダートレンドとかほかにもそういったようなものがたくさんあるから、誰もが自分のしたいことをしてる。他人が何しているかってことじゃなくて、自分次第。男の子でも、そうじゃなくてもキュートなのが好きな人はたくさんいるし、あとは着ると背が高く見えるような真っ黒なスタイルだってある。こういうスタイルがアメリカでも見られるようになってきた。

Beackii:ジェンダレスはロンドンでは特にそう。そういうのをもっとよく見るようになって、それはすごくいいなと思ってる。ジェンダーとか関係ないし、みんなたぶん自分が着たいものを着てる。あと去年の傾向から私が分かることは、男性ファッションでピンク色がとても人気だったってこと。ささいなことだって分かってるんだけど、でもトレンドに完璧に現れているのを目の当たりにできるのはいいことだと思う。だからちょっと切り崩された感じで、今ではピンクが誰もが着れる色になったし、こういうちょっとしたことが私をとてもハッピーにしてくれる。このトレンドがもっと柔軟なものになって、国とか政府とかに限らず、みんなのファッションになるといいなって願ってる。

Kazumi:私の(南米の)場合は男性にとってはまだ難しいかな。私がこの活動を始めた時最初に気付いたことは、女性は女の子たちと来てくれて、何をしても楽しかったんだけど、男の子たちは来ないことに気付いて。だから『原宿エクスペリエンス』という活動を始めたんです。服を選んで、作り直して、カワイイファッションにして。それで多くの男性も来てくれたんだけど、ここで気付いたのは、彼らはこのカワイイファッションを着たいんだけど、どうしたらいいか分からない。たぶんひとりでするにはシャイなのかな。だからグループで参加できるようにした時は彼らも来てくれて、今私のグループには3、4人の男の子がいて、彼らも始めたところ。カワイイファッションを試してみたいと思ってる人はたくさんいる。

Beackiiは12万人以上のYouTube登録者、Kazumiは8490人のフェイスブックファン、Kaceyは4602人のフェイスブックファン、とそれぞれ多くのフォロワーをもつ彼女たち。このインタビューが終わるとすぐさまムービーで自分撮りをし、「タイムアウト東京にインタビューを受けました」と、記録をしていた姿が印象的だった。NHK WORLDの番組『Kawaii International』では、彼女たち3人がイベントでプレゼンテーションし、これからカワイイを広めるためには、などをテーマに話し合ったシンポジウムを2017年4月1日(土)に放送する。

『Kawaii International』の視聴方法や詳細はこちら

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