インタビュー:中村貞裕

東京っぽいと思われたら成功、渋谷のてっぺんに作ったパラダイスラウンジ

作成者: Shiori Kotaki |
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写真:Kisa Toyoshima

大規模な再開発工事が続く渋谷。「100年に一度」ともいわれるプロジェクトの中核をなす高層ビル、渋谷スクランブルスクエアが2019年11月に開業した。渋谷エリア内では最も高い地上47階建て、最上層階には屋上も含めた展望施設「渋谷スカイ」が誕生し、渋谷を象徴する新たなランドマークとなった。展望施設内のミュージックバー、パラダイスラウンジを運営するトランジットジェネラルオフィスの中村貞裕(なかむら・さだひろ)、および展望施設の演出を手がけたライゾマティクスの齋藤精一(さいとう・せいいち)の2人に話を聞いた。

「(展望施設にカフェが入る)話を聞いて、絶対にやりたいと思った」と話すのは中村貞裕。さまざまな飲食店やアパレルブランドのカフェなどを仕掛けてきたトランジットジェネラルオフィスの代表取締役だ。事業も東京エリアでの展開に注力されているが、中村自身も子どものころから東京をフィールドにしていた。なかでも渋谷への思い入れはひときわ強い。「僕らの世代にとっては、東京といえば渋谷。小さいころから渋谷に通っていたし、特に学生時代に遊ぶのは全て渋谷だった。渋谷の街で、まさに文化が生まれる現場をこの目で見てきたんです」

渋谷にこだわるのは、中村が提唱する「ホットトーキョー」というアイデアとも関連がある。「『クールジャパン』というと、オタクのカルチャーや匠(たくみ)の世界が多くて、ミーハーな僕にはピンとこないんです。そこで『クールジャパン』に対抗して『ホットトーキョー』というフレーズを打ち出しています。東京をホットにすることで、日本を盛り上げていきたいな、と。ずっと『ホットトーキョー』を言い続けている自分としても、渋谷のてっぺんを押さえないといけないなと思っています(笑)」

パラダイスラウンジ

渋谷に育てられたと自身を表現する中村が、「渋谷のてっぺん」に作ったのがミュージックバーのパラダイスラウンジだ。Fantastic Plastic Machineの音楽や『BEAMS』の制服、今最も勢いのある料理人の長谷川在佑が監修したフードと、まさに渋谷らしいコラボレーションが実現した。「僕のなかでは渋谷イコール音楽のイメージで。(FPMの)田中さんには以前から『中村くんがラウンジをやる時には、最高の音楽を提案できるから』と言われていたんです」

「一方で渋谷はグローバルな街。世界を代表する展望施設にならないといけないという思いもあって、インテリアデザインは海外で活躍するトム・ディクソンにお願いしました」。世界中から注目を集めるイギリスのデザイナー、トム・ディクソンのチームによる洗練されたデザインによって、ディスコ風のレトロな雰囲気と最先端のカルチャーがバランスよく融合する空間が出来上がった。絶妙なミックス感覚もまた渋谷らしさだろうか。「特に深く考えて組み合わせているわけではないんです。感覚です。でも、心の奥に蓄積されてきた昔の渋谷の感性や、今の渋谷に対する理解があって、無意識に選び取っているのかもしれません」

オーストラリア発のギリシャレストラン、アポロ(THE APOLLO)や、2019年11月にオープンしたハワイ発のベトナムレストラン、ザ ピッグ アンド ザ レディー(THE PIG & THE LADY)など、海外のレストランを日本に展開する事業でも成功を収めてきた中村にとって、現地らしさを表現するのは得意分野だが、東京らしさの表現についてはこう考える。「パラダイスラウンジでは『東京っぽい!』と思ってもらえたら成功。今後は、東京らしいアーティストを招いてのDJイベントなども考えています。東京には最先端の街であり続けていてほしいんです。ニューヨークやロンドンと並ぶ位置から東京が落ちてしまうのは、僕は嫌なんです」

渋谷のてっぺん、パラダイスラウンジで最先端の街「東京」を感じてほしい。

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