I, Tokyo:ヨルゲン・アクセルヴァル

国際的な東京人の生活を覗いてみよう

Time Out in association with NHK-World Japan |
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写真家兼アーティストであるヨルゲンが、東京の印象とそこでの生活について、芸術家の視点から語る。

ーニューヨーク市での15年を経て、2011年に東京に引っ越されましたね。同年には大震災が日本中を震撼させましたが、その渦中に東京を新たな住まいとして選んだのはなぜですか?

東京が大好きだったからです。私の飛行機が着陸、いや着陸を試みたのは、2011年3月11日、東日本大震災が発生したまさにそのときでした。飛行機は成田空港の滑走路に接地した直後に再び離陸を行い、それからしばらくして横須賀基地に着陸しました。機内で10時間待機させられた後に、ようやく羽田空港で降りることができました。日本での生活は波乱に満ちた始まりでしたが、被災者の方々のことを思えば、何でもないと思います。

ー初めて東京人になれたと感じたのはいつですか?

個人的に心から感じたのは来日後すぐのことでした。大震災の直後に来日したからだと思います。当時は外国人居住者の多くが日本を離れ、訪日客の数も激減していましたから。ひとりの芸術家としては、都内の複数のギャラリーで自分の作品を展示したり、日本国内で自分の本が出版されたときに、東京都民になれたと感じました。自分を都民と呼ぶ「法的な資格」を得たのは、在留カードを取得して、日本で税金などを払い始めた日のことです。

ー主に写真家として活動されていますが、写真の題材として東京をどう思いますか?

東京はもともと、美しい街ではありません。戦後建築の多くは醜いと思います。しかし、東京には素晴らしい魅力もあります。私はパークハイアット東京の建物を約7年間撮影していました。そこで撮れた写真は、国立新美術館で展示され、本として出版もされました。今でも毎日新しく興味深いものとの出会いが続いています。良くも悪くも東京は変化を続けており、どちらにせよ、インスピレーションを与えてくれる街なのです。

ー東京に移られて7年になりますが、自分の中で変化したことはありますか?また、その変化は仕事に影響を与えていますか?

東京のおかげで、人柄が良くなりました。ニューヨークは活気に満ち溢れていて大好きな都市ですが、そこは怒りや自己中心さが蔓延する場所でもあります。東京はニューヨークよりゆったりとしていて、はるかに親切です。集中して仕事を片付けるのに適した場所です。私の芸術様式は来日時にすでに確立されていて、それ以来、核心的な部分は大して変化していません。もちろん、ときには無意識のうちに、日本文化による影響も受けることもあるでしょうが。日本の美意識は、私の作品にほとんど影響を与えていません。

ー日本の美意識で一番好きな点は?

侘びと寂びのコンセプトが好きです。不完全を受容し、その価値を認めるという考え方です。侘び寂びの意味を知る前から、ずっと写真で目指してきたものです。

ー友人が日本に来たら、東京のどこに連れて行きますか?

東京で本当に素晴らしいと思うのは、ぶらぶら歩きまわって、街とその人々を眺めるだけで良いという点です。サイクリングをしたり、自転車に乗って誰かに街を紹介する場所としては、これまで住んだ中で東京が一番です。

ー最後になりますが、海外から来た人のために、東京で生き抜くための知恵などありませんか?

いつも楽しくポジティブに。ここは何もかもが違います。全く違います。でもそれだけです。違うからといって、間違っているとは限りません。ほとんどの人はある時点で不満を抱くでしょう。私も以前は不満が爆発していたし、今でもたまにそうなります。しかし、努めて状況を笑い飛ばすことにしました。意識的な選択としてです。

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