熱海こがし祭り
画像提供:一般社団法人熱海市観光協会 | 熱海こがし祭り
画像提供:一般社団法人熱海市観光協会

「熱海こがし祭り」に参加して地元民のように楽しむ1泊2日ガイド

7月15・16日開催、法被を着て山車を引き、街に溶け込む

Genya Aoki
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熱海最大の夏祭り「こがし祭り」を知っているだろうか。起源はじつに1300年前、710(和銅3)年まで遡る由緒ある祭りである。熱海といえば、8月の花火大会が有名だが、花火は観光客のもので、熱海で暮らす人々にとって夏の祭りといえば、「こがし祭り」を指す。

毎年7月15・16日に開催されるこの祭りは、熱海の総鎮守・来宮神社の例大祭。海辺で神様に『麦こがし(麦を炒ったもの)』を供えた事から「こがし祭り」の別名がついたとか。町内ごとに趣向を凝らした木彫り・装飾山車が練り歩き、夏の夜の商店街を圧倒的な熱気で包み込む。

しかし近年、少子高齢化の波はこの祭りにも押し寄せている。かつて30基以上あった山車は年々その数を減らしている。

そんな中、熱海のまちづくりを手がける株式会社machimoriが運営するguest house MARUYAが始めたのが、観光客を「祭りに参加する仲間」として迎え入れる試みだ。2023年からスタートした「【こがし祭りで熱海と繋がる】お祭り参加プラン」は、その時期にMARUYAに泊まり、法被を着て山車を引き、地元の人々と肩を並べて神輿を担ぐというもの。祭りの夜には直会(なおらい)で杯を交わす。こうして全国から「祭りを観に来た人」が「祭りを継承する一員」へと変わっていく。

「熱海銀座の人は、外からの人に対してみんなウエルカムですよ」と語るのは、株式会社machimori「まちやど事業部」の近藤椋介だ。ここでは、祭りと街と人が交わる、1泊2日の熱海ガイドを紹介しよう。

熱海出身ライターの谷口素子とともに、祭りの前後に行くべきレストランや土産スポット、カフェなどを網羅している。ぜひチェックしてほしい。

なお、プランの予約は特設ウェブページで受付けている。

【7月15日】10時 熱海駅着

駅舎を出るとすぐに磯の香りが鼻先をくすぐる。それだけでもううれしくなってしまう。祭りの日はこの時間でも多くの人でにぎわっている。昼時にもなると商店街は人でごった返す。

  • ショッピング
  • フード&ドリンク(特産品)
  • Shizuoka

熱海さとり本店

小腹が空いたら「熱ぶら」を楽しみたい。近年では「食べ歩きの街」と言ってもよいほど、多様なテイクハンドメニューが独自の進化を遂げている。中でもおすすめしたいのは、静岡県産のオリジナルブレンド抹茶「さとり」をふんだんに使った「お濃茶スイーツ」だ。

暑い日なら、「冷やし富士山モンブランクレープ」(1200円、以下全て税込)を味わってみて。渋みと甘さのバランスが絶妙な「お濃茶ソフト」が贅沢に乗ったクレープである。

地元民ライター谷口の食べ歩きメモ>

熱海駅の改札を出ると右側にある「平和通り商店街」と「仲見世通り商店街」は食べ歩き天国です。人気は、串に刺さった温泉まんじゅうや、揚げたてのさつま揚げ。ベンチも設置されているので座って食べることもできます。両商店街ともアーケードがあるので、雨が降っても快適にお買い物ができるのもうれしいですね。

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  • Shizuoka

レストラン フルヤ

ランチは、駅前にある老舗のレトロ洋風レストランで。移り変わる熱海にあって、1954年創業したこの店は、外観・内観・食事メニュー全てがトラディショナルな古き良き洋食屋そのものだ。現在は2代目と3代目がキッチンに立ち、二人三脚で人々の胃を満たし続けている。

地元民ライター谷口の食べ歩きメモ>

私が必ずオーダーするのはオムライスです。卵はかためでしっかり火を通し、その上に真っ赤なケチャップをたらーりとかけるクラシックスタイル。青い天井は熱海の空と海をイメージしたもの。レトロで統一された店内に一歩足を踏み入れると、そこは「昭和の熱海」です。

  • ホテル
  • ゲストハウス
  • Shizuoka

guest house MARUYA

観光客がこがし祭りにも参加できるプランを開発したゲストハウス。この旅の目的地であり、出発点であり、拠点でもある。運営は、熱海の街なかの再生を手がける街づくり会社・machimoriが運営しているだけあって、熱海を知り尽くしたコンシェルジュが案内する場所はどれもディープ過ぎると評判だとか。

内装もウェルメイドなバーカウンターのあるラウンジ、ドミトリーながら、1部屋ずつに個性的な壁紙が貼られていたり、畳の部屋があったりと気分が上がる空間演出が施されている。風呂や食事は街に出て楽しむスタイルなのも、街そのものに泊まるようで楽しい。

地元民ライター谷口の食べ歩きメモ>

宿泊費が1万円超えが当たり前の熱海で、リーズナブルに泊まれる「guest house MARUYA」。熱海の中心地・銀座町の商店街にあるので、市内観光の拠点としても便利です。家族で泊まった友達は「マルヤ面白い! クセになる」と言うほど、刺さる人には刺さるお宿です。

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14時 祭りの準備を始める。

お祭り特別ワークショップ

「観る側から、まちの一員へ」と生まれ変わるための準備体操として祭りの背景や熱海への溶け込み方を学ぶワークショップに参加しよう。ナビゲーターは、全国16地域で祭りプログラムを展開しているマツリズムの代表理事・大原学と移住者ながら熱海の祭りに深く関わってきた戸井田雄の2人。身ぶり手ぶり掛け声などのノンバーバルな内容が多いので、外国人も安心だ。

1時間30分程度とやや長いが、初参加で勝手が分からない人や地域に混ざれるか不安といった人も、このワークショップを通じて、特別な日をともにつくる大切な一員へと意識が変わるのである。

16時 縁日を楽しむ。

街の一員への意識が芽生えたら、商店街へ繰り出そう。祭りの日は縁日屋台が出店し、各所でにぎわう。思い思いの過ごし方をして楽しんでほしい。

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17時30分 こがし祭りの山車を引く。

こがし祭りの山車出発

いよいよ始まるこがし祭り。市内の各町内の木彫り山車、装飾山車が合わせて20基以上参加する「山車コンクール」に飛び込もう。

「銀座町」の一員として、法被を着て、審査会場となる(「サンビーチ」バス停付近)へ向かう。引き手たちの活気あふれるかけ声やパフォーマンスも審査対象となるので、頑張りどころだ。商店街に山車が居並び合戦するのも大迫力で、クライマックスの一つである。

地元民ライター谷口の食べ歩きメモ>

四隅に3基の山車が集結して始まる「おはやしセッション」は見どころの一つ。この時は観客も輪の中に入り、参加者が一体となってお祭りを楽しみます。

21時 慰労の杯を交わす。

直会

山車引きが終わったら、guest house MARUYAに戻って参加者一同相語らう食事会が開かれる。祭りをともにしたことですんなりと打ち解けることができるだろう。宿のスタッフがフォローアップもするので、安心して食べて、飲んで、語らってほしい。

なお、神に供えた御神酒や神饌(しんせん)を、参列者一同で分け合って飲食することは、神様と同じものを食すことで神々の恩恵にあずかり、心身を清め、日常の生活へと戻る区切りの意味があり、運営についての反省もここで行われる。

熱海の人々の多くは商業をなりわいにしており、翌朝は店を開ける。そのため、会は1、2時間程度で楽しくもサッパリと終わる。

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【7月16日】9時 熱海名物はモダンに味わう。

Himono Dining かまなり

モーニングを提供する店が少ない熱海で、「Himono Dining かまなり」は朝からしっかり腹を満たしてくれる一軒。老舗の干物屋「釜鶴」がオープンしたレストランなので干物は絶品である。おすすめは「ひものオーバーライス」(1,500円)は、肉厚の干物をメインとしたワンプレートだ。

地元民ライター谷口の食べ歩きメモ>

地下から湧く源泉の「釜成の湯」で楽しむ足湯も、ぜひトライしてみてください。源泉の足湯は、温泉地・熱海ならではの贅沢です。サンビーチの近くにあるので、散歩しがてら朝食を食べるのもおすすめです。

味の幸華

1931(昭和6)年創業老舗。作家・坂口安吾が好んで通ったことで知られている。彼がよく食べたのは「五目そば」。自家製の太麺に、カニ、エビ、イカと半熟のポーチドエッグが乗っている。焼売や餃子の皮も自家製で、三代にわたって受け継がれる変わらぬ味を楽しんでほしい。

地元民ライター谷口の食べ歩きメモ>

熱海には有名な町中華が多く点在します。「味の幸華」もその一つ。名物の「ジャンボシウマイ」は、ガブリとかむとそこから肉汁がジュワーとあふれてきます。私は「幸華特製手打ちそば」の大ファン。周囲が赤いチャーシューの脂がスープに溶けて、自家製手打ち麺と絡み合い、箸が止まりません。お腹に余裕があるときは「幸華特製チューシュー麺」一択です。

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12時 海の街の祭りを観賞する。

御鳳輦浜降り

42歳の厄年を迎えた男性たちが「みょうねん、みょうねん」と唱えながら、豪快に水しぶきをあげて海へと入っていくこがし祭り2日目のクライマックスの一つがこの「浜降り」だ。

熱海では42歳を迎える男の通過儀礼として「御鳳輦(ごほうれん)」と呼ぶ風習があり、神々を乗せた御鳳輦は、毎年42歳になる男子により担ぎ上げられ、町中を練り歩き、熱海の繁栄と無病息災を祈願する。

地元民ライター谷口の食べ歩きメモ>

白装束に包まれた男たちが、胸まで海に入り練り歩く姿は感動すら覚えます。てんぐが空高く撒く茶色の「麦こがし」は、無病息災や身体健全のご利益があり、地元の人たちは積極的にかけてもらいます。

  • ショッピング
  • Shizuoka

熱海分福

親水公園の近くに2023年3月にオープンした店で、熱海で数少ない雑貨店の一つ。ギャラリーを併設しており、店主の鈴木ほのかの感性に沿ったアーティストの個展が定期的に開催されている(期間中は、ガラス作家の五十嵐桃子による個展が開催)。

感度の高い雑貨やアパレルの数々にも目を引くが、熱海温泉とコラボレーションしたフレグランス付きバスソルトやマッチ箱など心くすぐられる個性的な熱海土産を見つけることができる。

奥はカフェ&バーになっており、静岡県産の紅茶やクラフトビールなども楽しめる。

※16日は14時程度には閉まる可能性があるので、注意してほしい

地元民ライター谷口の食べ歩きメモ>

ロゴマークをデザインしたキャップ、マグカップ、ポロシャツのほか、熱海をイメージした手拭いなども人気です。「大切な人へのお土産を買いたいのだけれど、いいお店はない?」と相談されたら、「熱海分福をのぞいてみたら。おしゃれなものが多いよ」と答えています。

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  • ショッピング
  • 原宿

静電気

海岸から熱海駅へと向かう坂の中腹にある、古着と雑貨と軽食の店。道路脇を外れた高台立地もまた、熱海らしくて良い。トタン古家をほぼセルフDIYしたという。南国植物が植えられているせいか、どこか東南アジアの民家のような雰囲気がある。

古着は中東やパキスタン、ユーロ圏などの商品が多く、感性豊かな点ものがセンスよく揃っている。喉が渇いたなら「エスプレッソトニック」がおすすめ。爽やかさな苦みが、古着の香りとどこか調和している。

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