メキシコ、旧刑務所を観光地として再開発

博物館や文化センターなど整備

Sophie Dickinson
テキスト:
Sophie Dickinson
翻訳:
Time Out Tokyo Editors
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刑務所というと血なまぐさいイメージがするが、片や何十年もの間、観光スポットとして観光客を魅了してきた。例えば、アル・カポネが「住んでいた」カリフォルニアのアルカトラズ島は、現在公開されていて観光客に人気。北アイルランドのベルファストにある、紛争の歴史を物語るクラムリン・ロード刑務所では、見学ツアーが楽しめる。

そして今、かつて刑務所があったメキシコの島も観光地として生まれ変わろうとしている。その島とは、メキシコの太平洋岸から船で4時間の距離にあるマリアマードレ島。4つの島から成るマリアス諸島に属し、2019年に閉鎖されるまでの1世紀以上流刑地だった。一方、同諸島はユネスコ世界遺産に登録されている自然の宝でもあり、トリマリアアライグマのような珍しい野生動物も生息する。

メキシコ政府は今、エコフレンドリーな観光マーケットへの訴求を目指し、この旧刑務所を博物館や文化センターにするための整備を進めている。さらに、海軍による見学ツアー開催や高速フェリー運航も検討中だという。

この刑務所は開所中、受刑者に対する衝撃的な扱いで知られていた。ブルームバーグの取材に応じた、元受刑者のベアトリス・マルドナドは、500人の受刑者がたった5つのトイレを共有していたことを証言。「誰かが病気になっても、彼らは私たちに注意を払わなかった。私の友人の胆のうは破裂しました」と語っている。脱走を試みて溺死した者もいたようだ。

この再開発計画について、メキシコの大統領であるアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドールは「地獄だったものが楽園になりつつある」と述べている。

整備終了後、観光客は島の歴史を学べるほか、旧刑務所の建物に宿泊することもできるようになる。古い建物の利用は、環境的に重要な土地でこれ以上建設が進まないようにするためでもある。

刑務所閉鎖の要因の一つにもなった季節風による開発の中断がなければ、整備は早くて3カ月で終了すると予想されている。

原文はこちら

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