切手やパスポート、ケチャップまで? エリザベス2世の死去で変わるもの

イギリス人の伝統や日常生活と関わりが深かった「女王」

Ella Doyle
編集:
Ella Doyle
翻訳:
Time Out Tokyo Editors
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2022年9月8日、イギリス女王のエリザベス2世が、70年にわたって王位継承し、96歳で他界した。女王は何十年もの間、我々イギリス人の伝統や日常生活において大きな部分を占めており、毎日使う多くの物にも彼女の顔が描かれていた。

チャールズ皇太子がイギリス国王に即位した今後、これまで慣れ親しんできたものも大きく変わり始める。女王の死は紙幣、切手、コイン、パスポート、そしてケチャップなどにどんな影響を与えるだろうか。これまで分かっていることを以下にまとめた。

切手

1967年以降に発行された全ての切手には、エリザベス2世の横顔が描かれてきた。しかし今後、ロイヤルメール(イギリス郵便事業を営む企業)は、彼女の肖像が入った切手の製造を中止し、チャールズ3世の肖像が入った新しい切手を製造する予定だ。

現在の切手をたくさん持っていても心配はいらない。今後も、手紙や小包にリジー(「エリザベス」の愛称)の切手を使うことはできる。

新しい国王であるチャールズ3世の切手がどのようなものか気になるところだが、新しいデザインについてはまだ何も明かされていないので、少し待つ必要がある。しかし、2018年に70歳の誕生日を迎えた彼の記念切手が発売されているので、それを見ればイメージが湧くかもしれない。

​​郵便ポスト

切手だけでなく、郵便ポストも変わる。イギリスの郵便ポストの60%以上には、エリザベス2世を意味する「EIIR」マーク(Eはエリザベス、Rは「女王」を意味するレジーナの略)が付いているのだ。

新しい郵便ポストには国王の紋章が入るようになるが、正直なところあまり馴染みがないため、見ても気づかないかもしれない。ちなみに、スコットランドの郵便ポストに付いているスコットランドの王冠は変わらない。

硬貨や紙幣

イギリスで流通している290億枚の硬貨には、全て女王の顔が刻印されている。女王が88歳になった2015年に、新しい硬貨が発行されたのは記憶に新しいだろう。それを含め、デザインは全部で5種類ある。

また、1960年からはイングランド銀行が発行している紙幣にも女王が登場している(スコットランドと北アイルランドで発行される紙幣には登場していない)。

いずれは、チャールズ3世の顔を持つ新しい硬貨や紙幣が発行される予定だが、これらがいつ展開されるのかについて、王立造幣局はまだ予定を明らかにしていない。その間、女王の硬貨と紙幣は、おそらく非常に長い間、流通し続けるので、まだ捨てない方がいいだろう。

ただ、新しい硬貨におけるチャールズ3世の肖像が、(前の君主とは向きを変えるこれまでの伝統を引き継ぎ)エリザベス2世とは逆向きの左向きであることはおおむね間違いないだろう。新しいデザインは、南ウェールズにある王立造幣局で作られる予定だ。 

パスポート

パスポートの表記も変わる。現在、イギリスのパスポートの表紙裏の文言に「Her Majesty」とあるが、これが「His Majesty」に変更になる。しかし、慌てる必要はない。今までのパスポートも有効だ。 

国歌

そう、国歌の歌詞も変わる。これまでの国家「God Save the Queen(神よ女王を救いたまえ)」は、10日にチャールズ3世が正式に国王と布告されたことで、もう歌われなくなり、新しい国歌は「God save the King(神よ国王を救いたまえ)」となった。

警察のヘルメット

もう忘れてしまったかもしれないが、イギリスの警察のヘルメットプレートには、女王の顔が大きく描かれている。これも今後、チャールズ3世の顔に変更されるはずだが、いつになるかはまだ不明だ。

勅選弁護士

 Queen’s Counsel」と表記されてきた勅選弁護士は、簡単に言えば、多くの人が考えている通り「King’s Counsel」となる。これは肩書の変更だけで、任命されている法廷弁護士や事務弁護士はそのまま職務を続ける。

そして……ケチャップ?

そうなのである、本当に。イギリス人が家庭で使う食料品や美容製品の中には、「ロイヤルワラント(王室御用達)」の認定を受けているものがある。これは、それらを作っている会社がイギリス王室にも製品を供給していることを意味する。全部で約900種類あるこれらの製品の中で、エリザベス2世が選んだ物には、イギリスの国章とともに「女王陛下のご指名により」という小さな文言が付けらている。

死去によって、女王によるロイヤルワラントは無効となるが、認定を受けた会社は、紋章や文言を外す期間として2年間の猶予を与えられる。チャールズ3世は、プリンス・オブ・ウェールズとしてすでにいくつかの認定を発行しており、これは国王としての在位期間中も継続される。

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