インタビュー:バトルス(BATTLES)

来日公演で披露される、濃度を増したバンドサウンド

テキスト:
Kunihiro Miki
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インタビュー:三木邦洋

初の全編インスト作品となる新作『La Di Da Di』を引っさげてバトルスが帰ってくる。今回のインタビューでは、メンバーのイアン・ウィリアムズ(Gt、Key)に質問を投げかけた。

ーもうすぐ来日公演ですが、日本の文化についてはどう思っていますか。

俺は日本が大好きで、素晴らしいところだと思っている。日本に行くのは大好きだ。だが、俺は西洋人、アメリカ人で、日本語を話せない。過去10年で、日本には何度か行く機会があったけれど、正直言って、日本のことを理解しているとは言えないと思う。日本はすごく興味深い場所だ。国の歴史も軌道も俺たちの世界とはまったく違っていて、日本に来ると魅了されることも多いが、とにかく驚かされることが多い。俺には理解できない。日本にいて、楽しんだり音楽を演奏したりする、というような単純なことは理解できるけど、深いところでは理解していない。でも最高な国だと思う。でも理解していない。

ーなるほど。日本の祭りは行かれたことがありますか?地方によって色々なビートや踊り方があって、本当に強烈で素晴らしいダンスミュージックなんです。

とても面白そうだね。行ったことはないけど、ぜひ行ってみたいと思う!君は祭りに行ったことある?

ーはい。夏や秋に日本の各地でやっています。各地域で開催しているので、日本にいればどこでもお祭りに参加できますよ。

いいね!ぜひ行ってみたい! 

ー今作の『ラ・ディ・ダ・ディ』についてですが、制作時に最も労力を費やした行程は何でしょうか。音の引き算がかなりなされているように思えたのですが。 

その行程に労力を費やすとは言わないけど、制作の初期の段階でサウンドに注目するという過程に時間を費やしている。サウンドの特徴やテクスチャを意識する。ギターの音を、ギターの音のように聴こえなくしてみたり、キーボードの音をキーボードらしくなくしてみたり。音を裏返しにするというか、音の特徴を入れ替えたりしてみる。

ー前作『グロス・ドロップ』とはあらゆる点で様変わりした内容ですが、『ラ・ディ・ダ・ディ』の曲をライブで実演したときの感じも過去のものと大きく違いますか?すごくライブ映えしそうな曲に思えました。 

ああ。ライブで実演すると違った感じがする。良い感じだよ。ライブでアルバムの曲を演奏するのはすごく楽しい!





ーあなたたちの中には、常に実験的で斬新なものを、という意識があるのでしょうか。BATTLESはある意味とてもトラディショナルなロックバンドだとも言えると思うのですが。 

俺も自分たちが、ある意味、トラディショナルなロックバンドであるということが気に入っている。だが、自分たちが過去にやってきたことに頼るのではなく、先へ先へと進んで行きたいという一面もある。今でもバンドの新しい位置付けの仕方を模索している。それは作品を作るごとに思うことだ。そういった意味では実験的なのだと思う。

ードラムのジョン・ステニアーは日々ドラムとどう向き合っているのでしょうか。

彼はあまり練習しないよ。ドラムを演奏するときは、ドラムの前に座って、ひたすらドラムを叩きまくるだけ。

ー練習ばかりしているのかと思いました。あなたはミュージシャンになっていなかったとしたら、どんな職業についていたでしょう。

それは良い質問だね。俺は多分、物書きになっていたと思う。

ー時間があるときは、何か書いたりしているんですか?

もっとそういう時間があればいいと思う。自由にできる時間があまりないんだ。でも時間があれば書きたいと思う。

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ー今回のアートワークについて教えて頂けますか。

ニューヨークシティでは、街角の小さな食料品店のことをボデガというんだけど、デイブ(・コノプカ)がここ何年かで、ボデガのデリに貼ってある食べ物のポスターにインスパイアされていた。サンドイッチの写真のとなりに、ローストチキンの写真があったりする。よくある、不味そうな食べ物の写真だよ。写真もひどいし、それがフォトショップで一緒にまとめられていたりする。そのまとめかたも本当にひどい。デイブはそれにインスパイアされ、食べ物の画像を作り始めた。それが今回のアルバムカバーに至った。 

ーあなたたちが日々影響を受けるものは、新しいものが多いですか。それとも古いもの?

それは難しいな。永遠の問いかけで、古いものに新しさを感じるときもあるし、新しいものが古く感じられるときもある。影響を受けるものはどこから来るのかわからない。俺は今ケンブリッジにいて、ケンブリッジに来るのは初めて。だから、この取材が終わったら、ケンブリッジを散歩して中世の街を歩く。そこで素晴らしいものを見て影響を受けるだろう。それはとても古いものだろう。

ー最近素晴らしいと思ったアーティストは?

アメリカのバンドでデッド・ライダーというのがいる。彼らはすごく良いと思うね。



ーリラックスしたいときはどんな音楽を聴いていますか?

良い質問。うーん何だろうな。ブライアン・イーノの名作とか。そのあたり。

ーバンドの次のステップはどんなものになるのでしょう。BATTLESの新作を聴くという体験に、リスナーは毎回ドキドキしていると思います

毎回、サウンドに引率されることが大事だと思う。面白いと思えるサウンドを見つけるまで、色々な実験をして、色々な演奏方法を試してみるということ。次のアルバムも、サウンドによって構築されていくものだと思う。音楽の論理そのものからでき上がっていくもので、意識的な考えから生まれるものではないと思う。次のステップは、意図的に考えたり分析したりする脳から生まれるものではない。単純に音楽から生まれる。音楽に導いてもらうだけだ。俺たちは、相談して「次のアルバムはスカのアルバムにするべきだ!」と決めるようなバンドではないから(笑)。

―バトルスのスカアルバムは面白そうですけどね。

スカトルズ(SKATTLES)(笑)。

ー最後に、ライブを心待ちにしている日本のファンに一言いただけますか。 

日本に行くのは毎回楽しみだよ。日本はツアーの中でも毎回ハイライトになる。11月に日本に行くのを楽しみにしている。ライブに来て!楽しめると思うよ!

『BATTLES』来日公演の詳細はこちら

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