インタビュー:永田龍太郎

アパレル企業から渋谷区の課長へ。マーケティング手法に学ぶLGBT施策
インタビュー:永田龍太郎
作成者: Time Out Tokyo Editors |
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2015年末に、全国の自治体に先駆けてパートナーシップ証明書の発行を開始した渋谷区。パートナーシップ制度を含む『渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例』だけでなく、それをより現実に即したものとするべく行った人事もまた話題を呼んだ。アパレル企業のGAPに勤めていたころに同性愛をカミングアウトし、LGBTのための活動に取り組んできた永田龍太郎が、渋谷区長の要請を受け、区の男女平等・ダイバーシティ推進担当課長に就任したのだ。活動拠点の渋谷男女平等・ダイバーシティセンター<アイリス>で、同課の取り組みについて話を聞いた。

Camera

同センターは元々1990年代より、男女共同参画社会の実現のために活動を行ってきた。男女間の性差だけではなく、同性愛や性別違和なども視野に入れ、より深く掘り下げた性差について細やかに対応するために、同センターを発展的に引き継いだということだろう。「女性差別の問題とLGBTの問題は、まったくの別物というものではありません。たとえば『女性らしさ』の女性への押し付けは、トランスジェンダーの女性にとっても何倍にも凝縮されたかたちで押し付けられている」と、永田は話す。「女子力」などという抑圧的な言葉がはびこるこの国では、「女性らしい」女性を演じなければいけないという無言の圧力が、かつて男性だった経験のある人にとっては、より重くのしかかるだろうことは容易に想像できる。そのような現状を直視して、「男女平等」「LGBT」を2本柱に「性の多様性」を広く啓発することが、区の花ハナショウブ(アイリス)を虹色に染めたシンボルを掲げた同課の使命だ。

永田龍太郎

人権講座や相談窓口の設置、ラウンジやライブラリーを通した交流などが具体的な業務になるが、なぜ民間企業から永田が抜擢(ばってき)されたのだろうか。「区長もいつも言っていることですが、差別や偏見というのはマジョリティの意識が問題なんですね。それを変えていくための取り組みには、広報やマーケティング的な知見が必要だ、と。また、区民だけでなく組織の内部に対する啓発も必要です。そういう意味で、前職で社内外に向けてやってきた経験があるのなら、とお声がけを頂戴しました」。実際に、『ベルリン国際映画祭』でも大きな評価を得た、トランスジェンダー女性の家庭を描いた映画『彼らが本気で編むときは、』を使った職員向けの研修を行った際は現場職員から管理職まで様々な所管の職員が参加したという。民間企業でのマーケティング経験などを持つ永田が主張するように、「LGBTについての知識を得るだけでなく、自分ごととして感じられる」ためには、映画などの「楽しいもの、美しいものといったコンテンツ」が力を持つ。

永田龍太郎

任期は3年、「現在は過渡期」と語る永田の展望は。「3年たったときに、事業の枠組みを残しておくことが私の仕事。バトンを受け取る人、次にやってみたいという人がプロパーの職員から現れてくれることを考えながら取り組んでいます」。ギリシャ語の「イリス(虹)」を語源に持つアイリスらしく、渋谷の多様性に今後も期待したい。

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