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同性婚への第一歩、渋谷区の同性カップル条例案
長谷部区議会議員がカイザー雪に語る、「同性婚へ着実に近づいた」
2013年に米国カリフォルニア州にて同性婚を果たしたカイザー雪が、同条例の発案者、渋谷区議会議員の長谷部健に話を聞いた。
※編集部追記(4月3日):同条例は、2015年3月31日の区議会において賛成多数で可決、成立
80年代より始まった同性婚への長い道のり
たくさんのLGBTと知り合って「何だ、普通じゃん!」とわかった
そんな背景もあり、国内で同性婚が話題に上がる機会も最近特に増え、この条例案は満を持して現れたように見える。2012年の6月の区議会の質疑応答で、渋谷区の長谷部健区議が「同性カップルに証明書を発行できないか」といった内容の質問をしたことが最初のきっかけだ。長谷部は次のように話してくれた。「僕も20年以上前は、LGBTについては少し『うわぁ』という気持ちが正直ありました。そういう方のことを知らないから。でもサンフランシスコなどに行って海外でそういった方を当たり前のようにたくさん見て、日本でも性同一性障害の杉山文野君と知り合って、そこから大勢のLGBTと交流し始めました。そうしたら、『何だ、普通じゃん!』と思って。だから『慣れ』なんですよね。それでこの10年間LGBTの友人の悩みを聞いているうち、同性婚のような制度が必要だということを認識したのが動機です」。


第一歩として、まずは人々の意識を変える
渋谷区の病院や不動産などで夫婦同様の扱い、外国人パートナーも視野に
認定条件について、長谷部は説明する。「20歳以上の渋谷区に住民票がある人。あとは公正証書を作成するだけ。国の法律に相当する相続権や配偶者の相続年金などの権利は残念ながらまだ含まれていませんが、渋谷区の病院や不動産など民間の企業では、結婚している夫婦同様の扱いになる権利が含まれます。また、外国人のパートナーを持った場合も、証明書が発行できるようにしたいですね。最初はケースバイケースになると思いますが、配偶者ビザが下りるのも不可能ではなくなるかもしれません」。実際には、外国人の同性パートナーと海外で同性婚を行い、海外での配偶者ビザを取得している日本人はすでに存在している。今のところ日本政府はそういった結婚の登録や配偶者ビザは基本的に認めていないが、2013年末に、同性婚を行っている在日米軍所属の軍人のパートナーを配偶者と認め、家族滞在ビザを与えた実例がある。今後国際同性カップルも、日本で生活ができる日がそんなに遠くないのかもしれない。
渋谷区議会議員。東京都渋谷区生まれ。株式会社博報堂勤務を経て、2003年にNPO法人green birdを設立。同年、渋谷区議会議員に当選。現在に至る。

テキスト/カイザー雪(Yuki Keiser)
スイスのジュネーブ国立大学文学部卒業後、奨学金プログラムで東京大学大学院に2年間留学。その後、10年間東京でヨーロッパのファッションブランドのエリアマネージャーやPRを務め、2013年に渡米。現在は、日本のインポート会社の通訳アドバイザーを務める傍ら、サンフランシスコのIT企業などの顧客に、日本文化のコンサルティングや東京のトラベルキュレーター、日本語と日本のカルチャー、フランス語の教師を務めている。