ゆりやんレトリィバァ、初監督作『禍禍女』を経てわがままになる

一人の女性の成長の物語だと気づいた時、自身も大きな一歩を踏み出していた

Genya Aoki
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ゆりやんレトリィバァ
TAKASHIHANZAWA

ピン芸人日本一を決める「R-1グランプリ」と、女性芸人ナンバーワンを決める「THE W」の2冠を達成。アメリカのオーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント」にも出場し、活動の軸足をアメリカへ向けている。テレビで「次にやりたいことは映画監督」と宣言したところ、それを観たプロデューサーから連絡があり、初監督作『禍禍女(まがまがおんな)』が誕生した。

恋愛体験が「ホラー」になった ―この作品はどんな内容ですか?

ゆりやんレトリィバァ(以下同):この作品には、私自身の恋愛体験を詰め込みました。片思いの苦しみ、届かない思い、振り向いてくれない相手への執着とか、そういうのをプロデューサーさんに熱く語ったんです。そしたら「それはホラーですよ」と言われたんです(笑)。

映画館でこそ観てほしい

―映画館での上映にこだわりがあったそうですね。

はい。私自身、5歳の頃に映画館で観たある日本映画が、トラウマのように今も心に残っているんです。あの恐怖と興奮を、次世代の子どもたちにも届けたい。その思いから、より多くの人が劇場で観られるよう、年齢制限がかからないギリギリの表現をチーム全員で模索しました。

また、タイトルの漢字表記、日本酒、昔ながらの日本家屋、童謡を思わせるテーマ曲など、随所に日本的な要素をちりばめているのも見どころの一つです。

簡単には変われない、それでいい

―この映画は恋愛映画であるとともに、主人公の上原早苗(南沙良)らの人間的な成長を描いてるのだと感じました。そうしたことは意識しましたか?

撮影も編集も終わってからハッと気づいたことなんですが、感じてくれたようにこのお話は「一人の女性の成長の物語」と言っても過言ではありません。ここに出てくる人、早苗もわがままで、幼くて、それは私自身のことでもあるんです。

今まで私にとっての恋愛って、「好き好き好き」って、好きな人に伝えることが正義だと思っていて。「無理です」って​​何度相手に断られても、言い続けたらいつかは振り向いてもらえるんじゃないかと思いながら、好き好きって言い続けて思い続けて、何年も片思いするみたいなことばっかりしていたんです。まさに、劇中の早苗と同じですね。

でも実は恋愛って、好きな人をどれだけ自分が好きかではなく、相手の都合を考えるとか、思いやることが大事なんだって、最近気づいたんです。その時、主人公の早苗の物語が自分と重なりました。人が聞いたら当たり前のことなんでしょうけど、私からしたらすごく大きな一歩だったんです。そういう意味で、私も早苗も成長したんだろうなって思います。

だけど正直に言うと、成長したって思っても、結局私は、次に好きになった人からLINEの返事が来なかったら、やっぱりまたおかしくなっちゃうとも思うんです(笑)。頭では分かっていても、やっぱり急にコロッと変われないみたいな。人ってそんな簡単には変われないじゃないですか。そんな感じで、早苗もそのままで居続けてくれるんじゃないかなあと思っています。それでいいんだと思います。

『禍禍女』から『わがまま女』へ

―撮影を通じて、ご自身に変化はありましたか?

わがままな人間になりました(笑)。監督は常に決断を求められるんです。自分は何が好きで、何を求めているのか。曖昧にせず言葉にし続けるうちに、自分が一体何が好きなのかって、意外と知らないことが多いんだと分かりました。

だから、常にそれをちゃんと言葉にするのを日々やっていましたね。「ご飯はカフェとレストランがありますけど」って聞かれたら「スンドゥブみたいな辛いのが食べたいです」とか。元々は遠慮がちだったんですが、自分の意志をはっきり伝えられるようになりました。

「ゆりやんレトリィバァ監督」を形作った3本の映画

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年)

全ての始まりと言える作品です。マイケル・J・フォックス(Michael J. Fox)に恋をしたことで映画に目覚め、アメリカへの憧れが芽生えました。この映画がなかったら『禍禍女』は生まれていませんでした。人生を変えた一本です。

【初回限定生産】バック・トゥ・ザ・フューチャー トリロジー 40th アニバーサリー・デラックス・エディション 4K UHD + ブルーレイ セット: 価格: 19,800 円 (税込)
発売・販売元: 株式会社ハピネット・メディアマーケティング
Film © 1985/1989/1990 Universal Studios. All Rights Reserved. Artwork and Packaging Design © 2010 Universal Studios. All Rights Reserved. ※記事公開時の情報です。

『ミザリー』(1990年)

キャシー・ベイツ(Kathy Bates)演じるアニーの狂気に、大学生の頃とても共感しました。怒りを語るうちに、その人が目の前にいるかのように感情が高ぶっていく――あの感覚が自分にもあると気づき、『禍禍女』の早苗のキャラクター造形にも取り入れました。作中にはオマージュもありますよ。

『ミザリー 4Kレストア版』価格  Blu-ray¥6,380(税込) 発売・販売元 KADOKAWA

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『時計じかけのオレンジ』(1971年)

監督したスタンリー・キューブリック(Stanley Kubrick)の美学に引かれました。バイオレンスなシーンにクラシック音楽が流れる違和感、見てはいけないものを見ているようなワクワク感。気持ち悪さとおしゃれさが同居する世界観は、『禍禍女』の空間演出でも影響を受けています。

『時計じかけのオレンジ』デジタル配信中 権利元:ワーナー ブラザース ジャパン合同会社 ブルーレイ&DVD発売元/販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング © 2011 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

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