インタビュー:MIYAVI

映画『不屈の男 アンブロークン』に出演したロックスター

テキスト:
Time Out Tokyo Editors
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テキスト:Leslie Lee III
撮影:Manabu Morooka
 

アンジェリーナ・ジョリー監督を務めた映画『不屈の男 アンブロークン』が、2016年2月6日(土)から渋谷のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開される。

1936年のベルリンオリンピックに出場した陸上選手で、第2次世界大戦中に日本軍の捕虜になった米軍パイロット、ルイス・ザンペリーニの体験を描いた作品だ。MIYAVIは、ザンペリーニを追いこむ日本人将校の渡辺睦裕役で出演している。タイムアウト東京では、2015年4月に同作品について、MIYAVIにインタビューを行った。その記事をここで紹介しよう。

もしかしたらミュージシャンとしてのキャリアにダメージがあるかもしれない、とも思いました。

アンジェリーナ・ジョリーが東京に来て、自身が監督する次回作へ出演するよう説得されたときのMiyaviは、すでに国際的なロックスターであった。大阪生まれで33歳のMiyaviは、数々のソロアルバムやスーパーグループ、S.K.I.N.のメンバーとしても知られており、アンジェリーナのオファーを受けることを当初ためらったという。「リスクがあるかもしれないと感じました。もちろん俳優としての経験はなかったし、映画のストーリーも物議を醸すものだったので。もしかしたらミュージシャンとしてのキャリアにダメージがあるかもしれない、とも思いました」。

リスクを負った価値はあった。2014年12月に公開された『不屈の男 アンブロークン』で捕虜収容所の残虐な監視官ザ・バードを演じたMiyaviの演技は広く称賛された。「自分が悪者になりきればなるほど、作品としてメッセージが浮き彫りになり優れた映画になると考えました」。この映画、そしてロサンゼルスへ拠点を移したことが後押しとなり、Miyaviはさらに有名になった。気が付けば数限りない授賞式やアフターパーティーに出席していた。エレン・デジェネレス個人から、彼女のトークショーへの出演依頼が来たこともあった。
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アンジーの、仕事への情熱と意気込みはとてつもないんです。

『The Others』は今までになく様々なジャンルの曲が集まったアルバムだ。彼の特徴である合唱アンセム(『Into the Red』や『Let Go』)を筆頭に、雰囲気のあるファンク(『Come Alive』や『Unite』)やエレクトロメタル(『Odyssey』や『The Others』)も収録している。Miyaviは自分のテイラーギターをテレキャスターに替えた。「以前は唯一無二である事に重きを置いてた。たとえそれがよい音であっても典型的な音は使いたくはなくて。でも今は、もっと音楽自体を大きく捉えていますね」。同アルバムはMiyaviのスラップ奏法も存分に楽しめるが、R&Bの『Alien Girl』が傑出している。Miyaviがアンジェリーナ・ジョリーについて話すのを聞いていると、この歌は彼女に影響を受けたのではないかと思ってしまう。「アンジーの、仕事への情熱と意気込みはとてつもないんです。世界を良くするという使命を持っていて、もう同じ人間じゃないというか、この世界を癒すために地球外から来たんじゃないかと思わされたり」。

『シンドラーのリスト』を観たあとにドイツを嫌いになる人はいないでしょ。

『Unbroken』は、戦時中の日本の描写に関して国内で激しい非難があり、配給会社が見つかっていない。Miyaviは、同映画を観る前から非難している日本人のネットユーザーらに手厳しい言葉を投げかける。「だって『シンドラーのリスト』を観たあとにドイツを嫌いになる人はいないでしょ。それはドイツがその歴史を乗り越えて証明してきたことをみんなが知っているから。『Unbroken』を観たことで日本を嫌いになる人はいないですよ。現に抱えきれないくらいポジティブな感想が世界中から届いているしね」。

出演を引き受けたことやロサンゼルスに拠点を移したことを、Miyaviは後悔していない。すでに、次なる挑戦を待ち構えている。「僕が映画に出ること、ましてや英語で演技をすることを予想していたファンなんていないと思う。僕は人生を通じて何だって可能なことをファンのみんなに証明したいです。進み続けること、そこで見える景色を、みんなと一緒に見たいと思っています」。
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