
2010年代に公開されたLGBT映画5選
ヴィヴィアン佐藤が選ぶ、5つのLGBT映画
2010年代、世界と日本で話題になった経験と回想をめぐる5編のLGBT映像叙事詩。私たちは過去に縛られては生きていけないが、過去を何度も回想し救済してあげること。過去は完全に終了してしまったことではなく、未来と同様に現在にも含まれていて、何度も物語し直す必要がある。そのことではじめて「いま」を生きることができる。現代性に溢れた5編のLGBT映画を見つめることで、私たち自身の物語を語り直すことができるはず。それが未来の生きやすい社会へのバトンとなるはずである。
わたしはロランス(2012年)
監督:グザヴィエ・ドラン
映画を第7芸術、つまり、建築と絵画、彫刻、音楽、舞踊、
キャロル(2015年)
監督:トッド・ヘインズ監督
夫や恋人という異性のパートナーがいる、キャロル(ケイト・ブランシェット)とテレーズ(ルーニー・マーラ)による愛の逃避行を描いた物語。原作は『太陽がいっぱい』のパトリシア・ハイスミスの『The Preice of Salt』。物語や結末といったナラティブ性や感情移入の次元ではなく、名匠ヘインズはあくまでも耽美(たんび)的情景や、運命的瞬間を眩暈(めまい)を起こすほど精緻(せいち)な描写に成功している。幸福や美しさの真髄とは、瞬間瞬間の永遠性と回想性に宿る。永遠回帰し続けるイメージは圧巻。
GF*BF(2014年)
監督:ヤン・ヤーチェ
ゲイとストレート男性、ストレート女性との27年にわたる三角関係の物語。1985年、戒厳令下の台湾高雄での高校時代。1990年の民主化一歩手前の学生運動真っただ中の台北。1997年、民主化が進み、互いが社会人となりそれぞれの道を歩み出した時代。そして2012年、すべてを回想し、物語を浮上させる。社会の取り締まりが厳しい時代こそ自由を謳歌し、民主化が進めば進むほど閉塞していく現実。あまりにも哀しい運命をもつ3つの星を描く。サウダーヂ(郷愁)という感情が成り立つのはアジアの中では台湾だけだろう。
恋するリベラーチェ(2013年)
監督:スティーブン・ソダーバーグ
マイケル・ジャクソンやレディー・ガガよりはるか以前に、音楽をショウビズと捉えていた先駆者がいた。リベラーチェは、1950年〜1980年に活躍したアメリカのゲイのピアニスト。エイズで亡くなるまでの最後の10年を、マイケル・ダグラス(リベラーチェ)が熱演。派手なコスチュームと演出過多なステージには、高級車や噴水まで登場。映画は元恋人(マット・デイモン)の回想録を基にしており、セレブリティの常軌を逸したプライベートまでが克明に描かれている。リベラーチェが、エルビス・プレスリーやエルトン・ジョンに与えた影響は絶大。
無伴奏(2015年)
監督:矢崎仁司
直木賞作家の小池真理子による、自伝的小説を原作とした作品。学生運動が吹き荒れる1969年を背景に、斎藤工と池松壮亮、成海璃子が、仙台のクラシック喫茶「

ヴィヴィアン佐藤
美術家、文筆家、非建築家、ドラァグクイーン、プロモーター。
今年は、東京レインボープライドに参加する?しない?
二丁目の人はレインボー・プライドをどう思う?聞いてみた
性の多様性や、性的マイノリティ(LGBT)の人々への理解を深めるイベント『東京レインボープライド』が4月28日(土)〜5月6日(日)に行われる。毎年、LGBT当事者からノンケ(異性愛者)、親子連れなど幅広い人々が参加し、すっかり恒例のイベントとなった。昨年には参加者が10万人を突破し、規模は年々拡大、企業の参加も増えてきた。LGBTの聖地・新宿二丁目の人々は、どんな思いでこのイベントを見つめているのだろう。夜の二丁目で聞いた。