ローカルレジェンド#8 帽子おじさん

Mari Hiratsuka
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Mari Hiratsuka
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タイムアウト東京マガジンにて連載中のローカルレジェンド。この連載では、新宿の伝説の新聞配達員「新宿タイガー」や、方南町のヒーロー「ベビーカーおろすんジャー」など東京の街にいるレジェンドたちを紹介している。

今回は、横浜を拠点に活動するアウトサイダーアーティスト「帽子おじさん」こと宮間英次郎に話を聞いた。宮間は、カンフー服を身につけ、デコラティブな帽子を被り街中に現れ人々を驚かせている人物だ。

伊勢市出身の宮間は、横浜の寿町や東京の三谷などドヤ街を転々としながら日雇い労働を職業に過ごしてきた。60代になったある日「帽子」を被りだす。そのきっかけを尋ねると「誰でも人生上手く行かない事があるからね、何かしないと人生終わっちゃうと誰でも思うじゃない。だからちょっと変わったことをやってみたいと思って」と話す。当初は、カップ麺の容器などを被って街を練り歩いていたのだが、徐々に装飾を始め、現在のインパクトある形になっていった。

そして、2006年に行われた滋賀県のボーダレス アートミュージアム NO-MAでの展示をきっかけにアウトサイダーアーティストとして注目されるようになる。同展示で作品を知ったスイス、ローザンヌ市にあるアール・ブリュット・コレクションの館長が、『アール・ブリュット ジャポネ展』へ宮間を招待したのだ。現地でパフォーマンスや帽子の展示を行い、その存在は海を越えた。

こうして、アウトサイダーアーティストとして知られようになった宮間だが、「チンドン屋に毛が生えたようなもの」、「ただ、帽子に物を載せただけで誰でもできる」と言う。

2014年に80歳を迎え、毎朝健康のために黒酢を飲み、趣味のカラオケを楽しみながら過ごしている。どこで「帽子おじさん」に出会えるのか。横浜で行われる祭りや、月に1度原宿、巣鴨、浅草などに出向くと教えてくれた。

タイムアウトマガジン8号より

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