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躍動する白井剛の身体をリアルタイムに視覚化「ON-MYAKU」

躍動する白井剛の身体をリアルタイムに視覚化「ON-MYAKU」
©igaki photo studio

テキスト:高岡謙太郎

 

コンテンポラリーダンサー白井剛、ピアニスト中川賢一、映像演出 堀井哲史(ライゾマティクス)による舞台『ON-MYAKU 2016 -see/do/be tone-』が、2016年1月30日(土)、1月31日(日)に東京文化会館 小ホールで行われる。その本公演に向けての試演会が、2015年12月27日に兵庫県の城崎国際アートセンター(KIAC)にて行われたので、その模様をレポートしたい。

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まず最初に言っておくと、この舞台の枠組みは既存の作品とは異なるものだ。舞踊と現代音楽という高尚な表現を、Purfumeなどを演出するライゾマティクスの一員である堀井によるメディアアートを通して、表現の理解を促している希少な作品となる。舞台上では、中川賢一が鮮やかに奏でる現代音楽の名曲に合わせて、白井剛が身体をしなやかに躍動させる。その皮膚には、加速度、ジャイロ、筋電の3種のセンサーが取り付けられている。測定されたデータが堀井の元へと送られ、データを用いたソリッドな映像とダンスがリアルタイムで連動する。未踏のコラボレーションには、各ジャンルのファンだけでなく、もともとそれらに馴染みのない人にまで刺激をもたらすであろう訴求力があった。

 

今回の公演の見どころは、舞台を演出する映像のメディアアート的な手法が、演奏される曲目によって変えられる点だ。脳波センサーが取り付けられた中川の、演奏時における緊張と弛緩のデータをビジュアライズしたプロジェクションなどがその一例だ。約1時間半の舞台は数多くの手法を扱い、聴衆を未知なる表現へと没入させた。筆者も「この楽曲では、映像と舞踊が赤外線センサーで連動しているのだな」「次はどの機材を使うのだろう」と、3者の相互作用に対する想像がかき立てられ、最後まで釘付けになった。美術館で展示してあるメディアアート作品と違って、リアルタイムで演技が行われることが、この舞台の手に汗握らせる点だ。城崎の試演会でのパフォーマンスは、まだまだ制作過程だという。東京文化会館での本公演に向けて現在も制作は続いている。

本公演の会場、東京文化会館は、「首都東京にオペラやバレエもできる本格的な音楽ホールを」という要望に応え、東京都が開都500年事業として建設し、1961年4月にオープンさせたもの。オペラ、バレエ、クラシックコンサートなど、世界中の著名なアーティストによる名演の数々が繰り広げられ、奇跡的とも言われる音響の良さと相まって、世界的に知られる歴史的なホールだ。クラシックの殿堂とも言われるこの場では、本作『ON-MYAKU 2016 - see/do/be tone -』のような公演は異色だ。

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この斬新な企画のステージに立つコンテンポラリーダンサーの白井剛は「コンサートホールということで生ピアノの響きがすごく楽しめる空間というのが大きなポイントです。会場が東京文化会館なので、もちろん音楽が好きな方にも来ていただきたいなと思っていますが、私や堀井さんの繋がりで、ダンス、デジタルビジュアル表現に興味ある方にも来てほしい。それと上野に美術館もあるのでハシゴをしてほしいな。現代音楽は普段の日常の中では聴き馴染みのない音楽ですが、興味深いものをどうやって紹介するのか、聴かせるのかも演出のテーマとしてありますね」と話す。

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試演会の行われた兵庫県の北部城崎市にある城崎国際アートセンターは、舞台芸術を中心とする芸術活動のためのアーティストインレジデンスとして、2014年4月に開館した。日本有数の温泉街である城崎で、豊かな自然環境のなか集中して制作ができる施設として、国内外のアーティストの滞在制作が行われる。創作した制作物を披露して地域住民との文化的な交流も行われ、その相互作用によって新たな創造と交流を目標とする、日本では珍しいタイプの施設だ。

『ON-MYAKU 2016』のプログラムも、この都会の喧騒から離れて作品制作のみに意識を向けられる環境に3名が集い、2015年12月上旬から1月中旬まで滞在制作が行われた。温泉に足しげく通ったという白井いわく「あと一ヶ所行けば制覇できるんですが、制作が佳境になり忙しくて行けていないですね。温泉に入ると眠くなって、集中もできるしリラックスもできます」とのこと。

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コンテンポラリーダンス、現代音楽、メディアアートが一堂に会し、3者の相互作用がここまでの高みに達している舞台は、本公演が初だろう。新しい表現をチャレンジする希少な舞台を東京文化会館で体験してもらいたい。

『ON-MYAKU 2016 - see/do/be tone -』の詳しい情報はこちら

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