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「痛風」という名のついた個性派割烹と注目の若手料理人

「痛風」という名のついた個性派割烹と注目の若手料理人

 

 

代沢にある個性派割烹、Salmon & Troutの店主森枝幹は、29歳という若さながら、これまでにシドニーのTetsuya’s、ミシュラン二つ星の日本料理店である東京の湖月、マンダリンオリエンタルのタパスモラキュラーバーといった名店で研鑽を重ねた実力派。その経験もあってか、生み出す料理は、ジャンルに縛られない自由な発想に溢れている。
 
森枝の活動は店にとどまらず、2016年は渋谷のFabCafeにて12ヶ月連続で開催されるイベントTHE OYATSUにも参加。気鋭のシェフが月替りで登場し、自らの思想、コンセプトを「おやつ」として発表するという企画で、シェフのコーディネーターを務めている。また3月には、新宿ゴールデン街にオープンするレモンサワーをメインに据えるというユニークなバー、the open bookの店づくりにも参加している。
 
そんなユニークな活動も手伝って注目を集める森枝のホームは、やはり一筋縄ではいかない。まず、店を見つけると目に入るのは、窓一面に飾られた自転車。知らなければ、飲食店だと気付かないような不思議な外観だが、店内に入ると、カウンター席数席とテーブル席が一組のアットホームな空間が広がっていた。

 

 

 

店名は、「Salmon & Trout」だが、特に魚介料理に特化した店というわけではない。イギリスのスラングで「痛風」という意味だが、それにも特に深い意味はないという。力の抜けた店名とは対照的に食材へのこだわりは強く、大半は関東近郊の知り合いの生産者から直接仕入れたものだという。

 

店主の森枝

ともに店を切り盛りするメンバーも個性派揃い。物件を紹介した大家であり、アルコールメニュー担当の柿崎は、自転車の受注販売業も営んでおり、店に並んだ自転車も彼の仕業。この店を窓口として利用しているという。酒好きが高じてイタリアのワイナリーでワイン製造に従事した経験を持つ柿崎は、ワインはもちろんのこと、日本酒にも精通。味のごまかしの効かない無濾過生原酒を中心に、製造工程など、ワインと同じ評価基準で選りすぐった銘柄を揃えている。店では、そのなかから料理一皿ごとにセレクトしてくれる酒を少しずつ飲むながら食事を楽しむことができるのだ。

大家兼アルコールメニュー担当の柿崎

また、この日は不在だったが、ソムリエとして勤務する森枝の同級生、山崎は、昨年メジャーデビューを果たしたバンド、Toldのギタリストとしての顔を持ち、それぞれがジャンルを限定せず、自由に活動を続けている。

訪れたのは昨年末。以前から親交のあったオーストラリア出身の人気イラストレーター、グレース・リーをフィーチャーしたクリスマスディナーイベントを開催していた。2人で考えたという『トナカイじゃない君とさいたまサンタ』という物語を、紙芝居仕立てにしてランチョンマットで展開。一皿食べ終えるたびに1枚ずつめくっていき、話にちなんだ料理が供されるという趣向だ。

ストーリーは、クリスマスを目前に風邪をひいてしまったサンタを元気にするため、「トナカイじゃない君」が様々な食材を求めて旅をするというもの。可愛らしいイラストに似合わぬ、少々過激な展開のストーリーとなっていた。 

コースは、ケンタッキーウィスキーの『エヴァン・ウィリアムス』にニンジン、カボチャ、ヤーコン、ミックススパイス、ライムなどを合わせた食前酒からスタート。

はじまりに供されたのはオニオングラタンスープ。スープの中にパンが浮かんだものではなく、鶏のコンソメベースのスープが入った細長いカップに近隣の人気店KAISOのバゲットで蓋がされていた。バゲットには、奄美大島の原生林で採れたハチミツがかかりほんのり甘い。

2皿目は器に知り合いの陶芸作家の作品を使用。一枚一枚異なる絵柄のカラフルな皿の上には、トマトと菊芋の前菜。菊芋はチップスのかりっとした食感とモッツァレラチーズと菊芋のクリームのもったりとした食感のコントラストが楽しい。

3枚目に描かれている青い卵と豚は、世田谷区にある農場、吉実園のもの。 アローカナという品種の鶏が産む珍しい「青い卵」は、スクランブルエッグ風のかに玉に。豚は、もともと宮城県で生産されていたが、東日本大震災後、吉実園に引き取られたという経緯を持つ銘柄豚『有難豚』。こちらはスペアリブで、みりんかす、黒味噌、バルサミコ酢仕立ての自然な甘さだ。

 

 

 

 

 

 

魚料理は、小田原で水揚げされたカマスのフィッシュ&チップス。食べ終えた後から皿に追加されたのは、ウニが乗ったホタテのアメリカンドッグ仕立て。衣の中には、ホタテとともになんとバナナが包まれていた。

口直しのフルーツも一捻り。キウイにあわせたのは、フェンネル、マジョラム、パクチー、ディルなどたっぷりのハーブ。

紙芝居もクライマックス。旅の末にメインディッシュとなったのは、鹿肉もとい「トナカイじゃない君」。飛び散ったラズベリーとビーツのソースがショッキングだが、レアでしっとりとした肉との相性は抜群。赤ワイン仕立ての岩塩も添えられ、赤尽くしの一皿だ。

 

 

デザートは、ドイツの伝統菓子シュネーバレンに、みりんかすのクリームを添えたもの。大充実のコースがさっぱりと締めくくられた。

通常の営業時は、好き嫌いやリクエストを聞いてくれ、自由度の高いコース料理を楽しむこともできるという。

これまでにも台湾人のシェフを招いてのコラボレーションイベントなど、様々な試みを行ってきた森枝。「驚きを与えるようなものを提供したい」という言葉通り、これからも様々なジャンルのクリエイターを巻き込んでの刺激的な活動に期待したい。

Salmon & Troutの詳しい情報はこちら

 

イラストレーターのGrace Leeと店主の森枝

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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